ハードボイルド・スクール|ダシール・ハメット邦訳リスト

ダシール・ハメット【Dashiell Hammett 1894-1961】
メリイランド州生まれ。職と転々とした後、ピンカートン探偵社に勤務。パルプマガジン作家になった後はその経験を元にコンチネンタル・オプ・シリーズを発表し人気を得た。徹底した客観描写と硬質で非情な文体を確立し、同時代に活躍したヘミングウェイらとともにハードボイルド派の礎となった。また、反ファシスト主義者で共産党員でもあったため、1940年代末の赤狩り最初期の標的とされ、証言拒否により投獄されたこともあった。

リストの枠の色は■青■はコンチネンタル・オプを主人公とした短・中篇小説を、■緑■はそれ以外の短・中篇小説を、■赤■は長篇小説を表しています。尚、後に長篇としてまとめられた短篇や邦訳の確認されていない作品、エッセイなど小説形式でないものは掲載しておりません。また、グレーで表記されているものは現在絶版となっていると思われる刊行物です。

[和書] ダシール・ハメット   [洋書] Dashiell Hammett

1922(大正11年)パルプマガジン作家として本格的な執筆活動に入る。ハメット26歳
 The Parthian shot
最後の一矢 小鷹信光訳/草思社『チューリップ』
 The Barber and His Wife
理髪店の主人とその妻 小鷹信光訳/草思社『チューリップ』
 The Road Home
帰路 小鷹信光訳/河出文庫『ブラッド・マネー』
帰路 小鷹信光訳/草思社『チューリップ』
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1923(大正12年)ピーター・コリンズ名義で初のコンチネンタル・オプ物を発表
 The Sardonic Star of Tom Doody(Wages of Crime)
犯罪の価 田中小実昌訳/ヒッチコックマガジン1963年1月号
 The Vicious Circle(The Man Who Stood in the Way)
厄介な男 丸本聡明訳/HMM1976年8月号
 The Joke on Eloise Morey
軽はずみ 稲葉明雄訳/宝石1961年11月号
  Holiday
休日 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集2 スペイドという男』
休日 小鷹信光訳/草思社『チューリップ』
 The Crusader
怪傑白頭巾 小鷹信光訳/河出文庫『ブラッド・マネー』
 Arson Plus
放火罪および… 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫『コンチネンタル・オプの事件簿』
放火罪および… 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集1 フェアウェルの殺人』
 The Dimple(In the Morgue)
死体置場 田中小実昌訳/HMM1959年11月号
 Slippery Fingers
つるつるの指 小山内徹訳/別冊宝石93号(1959年11月刊)
 Crooked Souls(The Gatewood Caper)
身代金 妹尾アキ夫訳/宝石1955年5月号
黒づくめの女 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集1 フェアウェルの殺人』
 The Green Elephant
厄介なプレゼント 久慈波之介訳/探偵倶楽部1958年9月号
緑色の悪夢 稲葉明雄訳/HMM1994年7月号
 It(The Black Hat That Wasn't There)
暗闇の黒帽子 井上一夫訳/EQMM1960年7月号
暗闇の黒帽子 小鷹信光訳/草思社『チューリップ』
 The Second-Story Angel
深夜の天使 田中小実昌訳/ヒッチコックマガジン1963年2月号
 Laughing Masks(When Luck's Running Good)
ついている時には 田中融二訳/EQMM1960年4月号
 Bodies Piled Up(House Dick)
雇われ探偵 鮎川信夫訳/EQMM1956年7月号
戸棚のなかに屍が三つ 黒羽新訳/探偵倶楽部1958年3月号
やとわれ探偵 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集2 スペイドという男』
雇われ探偵 稲葉明雄訳/集英社文庫『コンチネンタル・オプ』
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1924(大正13年) 肺結核が悪化し一時的に家族と別居
 Itchy(Itchy the Debonair)
紳士強盗イッチイ 森郁夫訳/EQMM1959年10月号
 The Tenth Clew(The Tenth Clue)
十番目の手掛り 狩久訳/探偵倶楽部1958年1月号
十番目の手がかり 田中西二郎訳/中央公論社『血の収穫/ビロードの爪』
十番目の手がかり 木村二郎訳/立風書房『コンチネンタル・オプ』
十番目の手がかり 田中融二訳/講談社文庫『死刑は一回でたくさん』
 The Man Who Killed Dan Odams
オダムズを殺した男 福島伸一訳/探偵倶楽部1958年7月号
ダン・オダムズを殺した男 遠川宇訳/EQMM1965年9月号
ダン・オダムズを殺した男 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集2 スペイドという男』
ダン・オダムズを殺した男 田中融二訳/講談社文庫『死刑は一回でたくさん』
 Night Shots
夜の銃声 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集1 フェアウェルの殺人』
 The New Racket(The Judge Laughed Last)
判事の論理 石田善彦訳/EQ1978年5月号
判事の論理 小鷹信光訳/河出文庫『ブラッド・マネー』
  Afraid of a Gun
拳銃が怖い 小鷹信光訳/草思社『チューリップ』
 Zigzags of Treachery
裏切りは死を招く 黒田昌一訳/別冊小説宝石1972年爽秋号
裏切りの迷路 小鷹信光訳/草思社『チューリップ』
 One Hour
一時間の冒険 杉本エリザ訳/探偵倶楽部1956年5月号
一時間 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集2 スペイドという男』
一時間 田中融二訳/講談社文庫『死刑は一回でたくさん』
 The House in Turk Street
ターク街の家 邦枝輝夫訳/宝石1961年11月号
ターク通りの家 藤井裕三訳/立風書房『コンチネンタル・オプ』
ターク通りの家 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫『コンチネンタル・オプの事件簿』
ターク街の家 稲葉明雄訳/集英社文庫『コンチネンタル・オプ』
 The Girl with the Silver Eyes
銀色の眼の女 邦枝輝夫訳/別冊小説宝石1974年4月号
銀色の目の女 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫『コンチネンタル・オプの事件簿』
銀色の眼の女 稲葉明雄訳/集英社文庫『コンチネンタル・オプ』
 Women, Politics and Murder(Death on Pine Street)
午前3時路上に死す/font> 都筑道夫訳/探偵倶楽部1956年4月号
パイン街の殺人 田中融二訳/講談社文庫『死刑は一回でたくさん』
 The Golden Horseshoe
絞首台は待っていた 久慈波之介訳/探偵倶楽部1957年9月号
金の馬蹄 砧一郎訳/早川書房『探偵コンチネンタル・オプ』
黄金の蹄鉄 石田善彦訳/立風書房『コンチネンタル・オプ』
 Who Killed Bob Teal?
だれがボブ・ディールを殺したか 砧一郎訳/早川書房『探偵コンチネンタル・オプ』
  Nightmare Town
悪夢の町 谷京至訳/探偵倶楽部1957年4月号
悪夢の街 井上一夫訳/早川書房『悪夢の街』
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1925(大正14年)原稿料の安さに絶望し作家活動の休止を決意する
 Mike, Alec or Rufus?
誰でも彼でも 砧一郎訳/別冊宝石73号(1958年1月刊)
 The Whosis Kid
フウジス小僧 砧一郎訳/早川書房『探偵コンチネンタル・オプ』
フージス・キッド 宮脇孝雄訳/立風書房『コンチネンタル・オプ』
  Ber-Bulu(The Hairy One)
毛深い男 小鷹信光訳/河出文庫『ブラッド・マネー』
 The Scorched Face
焦げた顔 谷京至訳/探偵倶楽部1956年10月号
焦げた顔 丸本聰明訳/早川書房『悪夢の街』
焦げた顔 小鷹信光訳/草思社『チューリップ』
  Corkscrew
新任保安官 稲葉明雄訳/早川書房『悪夢の街』
  同   /創元推理文庫『短編全集1 フェアウェルの殺人』
  同   /集英社文庫『コンチネンタル・オプ』
暴力のまち 内田庶訳/国土社
  Ruffian's Wife
ならずものの妻 谷京至訳/探偵倶楽部1957年10月号
ならず者の妻 小鷹信光訳/河出文庫『ブラッド・マネー』
 Dead Yellow Women
シナ人の死 砧一郎訳/早川書房『探偵コンチネンタル・オプ』
 The Gutting of Couffignal
カウフィグナル島の掠奪 砧一郎訳/早川書房『名探偵登場3』
クッフィニャル島の夜襲 田中西二郎訳/中央公論社『血の収穫/ビロードの爪』
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1926(昭和元年)サミュエルズ宝飾店のコピーライターを生業として過ごす
 The Nails in Mr. Cayterer
ケイタラー氏の打たれた釘 砧一郎訳/別冊宝石87号(1959年5月刊)
 The Assistant Murderer
アマいペテン師 平井イサク訳/探偵倶楽部1956年11月号
殺人助手 稲葉明雄訳/早川書房『名探偵登場6』
殺人助手 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集2 スペイドという男』
 The Creeping Siamese
うろつくシャム人 都筑道夫訳/探偵倶楽部1956年6月増刊号
うろつくシャム人 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集1 フェアウェルの殺人』
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1927(昭和2年) ブラック・マスク誌に復帰宣言(原稿料が1語4セントに)
 The Big Knockover
血の報酬1大きな女 中田耕治訳/EQMM1961年4月号
ブラッド・マネー/1 小鷹信光訳/河出文庫『ブラッド・マネー』
血の報酬/第一部 でぶの大女 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫『コンチネンタル・オプの事件簿』
 $ 106,000 Blood Money
血の報酬2小柄な老人 中田耕治訳/EQMM1961年5月号
ブラッド・マネー/2 小鷹信光訳/河出文庫『ブラッド・マネー』
血の報酬/第二部 小柄な老人 小鷹信光 訳/ハヤカワ文庫『コンチネンタル・オプの事件簿』
 The Main Death
メインの死 砧一郎訳/早川書房『探偵コンチネンタル・オプ』
メイン氏の死 笹村光史訳/立風書房『コンチネンタル・オプ』
ジェフリー・メインの死 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫『コンチネンタル・オプの事件簿』
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1928(昭和3年) 「血の収穫」「デイン家の呪」の元となる短編をブラック・マスク誌に連載
 This King Business
王様商売 小山内徹訳/宝石1956年4月号
王様稼業 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集1 フェアウェルの殺人』
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1929(昭和4年) 世界大恐慌始まる。初の単行本「血の収穫」がクノップ社から発行
 Fly Paper
蠅取り紙 能島武文訳/宝石1955年11月号
蠅取り紙 丸本聡明訳/HMM1975年11月号
蠅とり紙 田中融二訳/講談社文庫『死刑は一回でたくさん』
 Diamond Wager
ダイヤモンドの賭け 宮脇孝雄訳/EQ1995年7月号)
 Red Harvest
赤い収穫 砧一郎訳/早川ポケミス
血の収穫 田中西二郎訳/創元推理文庫
血の収穫 能島武文訳/新潮社
赤い収穫 稲葉明雄訳/東都書房
血の収穫 河野一郎訳/中公文庫
血の収穫 田中小実昌訳/講談社文庫
赤い収穫 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫
 The Dain Curse
デイン家の呪 村上啓夫訳/早川ポケミス
デイン家の呪い 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫
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1930(昭和5年) サミュエル・スペード登場。以後、コンチネンタル・オプが姿を消す
 The Maltese Falcon
マルタの鷹 砧一郎訳/早川ポケミス
  同  /角川文庫
マルタの鷹 田中西二郎訳/新潮社探偵小説文庫
マルタの鷹 村上啓夫訳/創元推理文庫
マルタの鷹 鳴海四郎訳/筑摩書房世界ロマン文庫
マルタの鷹 宇野利泰訳/学習研究社
マルタの鷹 小鷹信光訳/河出書房新社
  同  /ハヤカワ文庫
黄金の鳥連続殺人事件 越智道雄訳/ポプラ社文庫
マルタの鷹 改訳決定版 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫
 The Farewell Murder
フェヤウェル殺人事件 能島武文訳/探偵倶楽部1957年1月号
フェアウェルの殺人 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集1 フェアウェルの殺人』
フェアウェル殺人事件 大井良純訳/立風書房『コンチネンタル・オプ』
 Death and Company
死の商会 大井良純訳/HMM1985年11月号
死の会社 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫『コンチネンタル・オプの事件簿』
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1931(昭和6年) ハリウッドで脚本家として過ごす。「血の収穫」「マルタの鷹」などの映画化権が売れる
 The Glass Key
ガラスの鍵 砧一郎訳/早川ポケミス
ガラスの鍵 大久保康雄訳/創元推理文庫
ガラスの鍵 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫
ガラスの鍵 池田真紀子訳/光文社古典新訳文庫
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1932(昭和7年)収入増に伴い生活が荒れ始め、この頃から小説を書く情熱が急速に衰える
 A Man Called Spade
私は殺される 能島武文訳/探偵倶楽部1958年4月号
スペードという男 砧一郎訳/早川書房『名探偵登場4』
スペイドという男 田中小実昌訳/創元推理文庫『世界短篇傑作集4』
スペードという男 田中西二郎訳/中央公論社『血の収穫/ビロードの爪』
スペイドという男 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集2 スペイドという男』
 Too Many Have Lived
人間が多すぎる 高橋泰邦訳/別冊宝石81号(1958年11月刊)
赤い灯 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集2 スペイドという男』
赤い光 田中融二訳/講談社文庫『死刑は一回でたくさん』
 They Can Only Hang You Once
貴様を二度は縊れない 田中潤司訳/宝石1956年10月号
二度と死刑にできない 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集2 スペイドという男』
死刑は一回でたくさん 田中融二訳/講談社文庫『死刑は一回でたくさん』
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1933(昭和8年)禁酒法廃止。ドイツでナチス政権誕生
 Woman in the Dark
暗闇から来た女 乾信一郎訳/別冊宝石79号(1958年9月刊)
闇の中から来た女 船戸与一訳/集英社
 Albert Pastor at Home
アルバート・パスター帰る 小泉太郎訳/早川書房『悪夢の街』
アルバート・パスターの帰郷 小鷹信光訳/河出文庫『ブラッド・マネー』
アルバート・パスターの帰郷 小鷹信光訳/草思社『チューリップ』
  Nightshade
夜陰 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集2 スペイドという男』
闇にまぎれて 小鷹信光訳/草思社『チューリップ』
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1934(昭和9年) 最終作となる「影なき男」を発表。実労僅か12年の作家活動に終止符
  Two Sharp Knives
二本のするどいナイフ 中田耕治訳/EQMM1957年1月号
両雄ならび立たず 田中融二訳/講談社文庫『死刑は一回でたくさん』
 His Brother's Keeper
ああ、兄貴 久慈波之介訳/EQMM1962年4月号
ああ、兄貴 稲葉明雄訳/創元推理文庫『短編全集2 スペイドという男』
 The Thin Man
影なき男 砧一郎訳/早川ポケミス
  同  /雄鶏社
影なき男 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫
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 A Man Named Thin
不調和のイメージ ※ハメット死去時の発表 小笠原豊樹訳/EQMM1961年7月号
 Tulip
チューリップ ※未完 小鷹信光訳/草思社『チューリップ』
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