chapter1.School
学園の生徒はプレイが義務付けられている、オンラインゲーム『real blade』――リアルブレイド、通称、リアブレ。
いつものようにログインして、出現したフィールドは、いつもとは全く雰囲気が異なる場所だった。
いや、そうじゃなくて。
そこは、見慣れ過ぎてるくらいに、見慣れた場所だった。
「ここは……、学校……?」
そう、そこはどう見ても、僕らが通う、マシマ総合学院高等部の校舎内だった。
廊下の少しくすんだクリーム色も、教室の並びも、階段の配置も。
どう見ても、通い慣れたそれと同じだ。
ただひとつ、いつもと違うところと言えば僕の格好くらい。
学校の制服じゃなく、いかにもRPGと言った、黒いローブをまとっている。髪だって、当然ピンクだ。
そりゃそうだよね。
ここは、リアブレで、動いているのは本物の僕じゃなくて、アバターなんだから。
だけど、いつもの草原や洞窟と言ったフィールドやダンジョンじゃなく、『学校』という舞台では、この格好はひどく浮いて見えた。
現実の中に、急に二次元が入りこんだ感じ……いや、逆か?
僕は、妙な気持ちに陥りながら、管理者から届いたメールを読んだ。
これも、リアブレの強制イベントの1つのようだ。
『学校』の中で出会った誰か1人とパーティーを組み、特殊イベントをこなせば、ゲームクリアするらしい。
つまり、仲間を誰か見つけて、そいつと協力してモンスターを倒すなり宝箱を見つけるなりしろ、ということだろう。
制限時間は1時間、とある。
長いようで、リアブレをプレイしているとあっという間に過ぎてしまう時間だ。
クリアするつもりなら、早く誰かを探さないと。
僕は……
1.
自分の教室に向かった
2.
生徒会室の前を通りかかった
3.
学食をのぞいてみよう