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    館長便り


◆館長略歴

専称寺文庫館長

 
2004年4月1日〜
▼No.1 (2004-04-01) ▼No.2 (2004-07-01) ▼No.3 (2004-08-21) ▼No.4 (2004-11-01)
▼No5 (2005/2/1) ▼No.6 (2006/1/1) ▼No.7 (2006/2/7) ▼No.8 (2006/3/18)
▼No.9 (2006/5/15) ▼No.10 (2006/7/28) ▼No.11 (2006/9/19) ▼No12 (2006/11/11)
▼No.13 (2007/2/7) ▼No.14 (2007/3/29) ▼No.15 (2007/6/15) ▼No.16 (2007/7/31)
▼No.17(2007/09/02) ▼No.18(2007/12/19) ▼No.19(2008/01/31) ▼No.20(2008/03/13)
▼No.21(2008/06/10) ▼No.22(2009/01/22) ▼No.23(2010/05/25) ▼番外編(2010/06/25)

 


 2010/6/25 番外
 今回は、お寺の檀家でもあり、近くにも住み、当文庫の優等生(貸し出し本の数、読書量で断トツ)Yさんの“読書日記”から書名、著者名を紹介したいと思います。読まれた本が100点に達した平成21年初めに提出して頂きました。Yさんは私より少し年長で、この地の女学校を卒業、その後、東京にて学び、働いたこともあったようです。当文庫が仮開館して間もない頃(06年10月)「住職さん!若いころから郷土の作家、長塚節(隣り町の下妻の出身)の「土」を読まねばと思いながら今日まできてしまいました。その本あるでしょうか?」で本に関するお付き合いが始まりました。1度に5冊の文庫本、私が読んでおすすめしたい本。Yさんと話す中で、これならばと取り出した本。時には挑戦してみてはと、そそのかした本。同じように、これは読まねばならない名作だからと押し付けた本。Yさんの方から希望された本。など様々ですが、無理をしない、楽しく面白くとなれば、殆どが日本の小説となりました。こうしたお付き合いは今日も続いており、また近日中に200点になりましたら紹介したいと思います。

追記 読み手が女性ということもあり、女流作家が多く選ばれています。

長塚節
放浪記 林芙美子
伊豆の踊り子、雪国 川端康成
山の音 川端康成
掌の小説 川端康成
白き瓶 藤沢周平
少将滋幹の母 谷崎潤一郎
幸田文 ちくま日本文学集より
悉皆屋康吉 舟橋聖一
天狗争乱 吉村昭
武家の女性 山川菊英
夜明け前第一部 上 島崎藤村
夜明け前第一部 下 島崎藤村
夜明け前第二部 上 島崎藤村
夜明け前第二部 下 島崎藤村
近代美人伝 上 長谷川時雨
近代美人伝 下 長谷川時雨
時は過ぎ行く 田山花袋
日の名残り カズオ・イシグロ
遍照の海 沢田ふじ子
迷路 野上弥生子
吾妹子哀し 青山光二
婉という女・正妻 大原富枝
家 上巻 島崎藤村
家 下巻 島崎藤村
永井荷風 ちくま日本文学全集
湯葉 芝木好子
魂萌え 上 桐野夏生
魂萌え 下 桐野夏生
あらくれ 徳田秋声
一期一会、さくらの花 網野菊
花影 大岡昇平
織田作之助 ちくま日本文学全集
私小説 瀬戸内晴美
山本有三
プールサイド小景 静物 庄野潤三
老妓抄 岡本かの子
和菓子屋の息子 小林信彦
姥ざかり花の旅笠 田辺 聖子
澀江抽齋、外2編 森鴎外
色川武大
細雪 上 谷崎潤一郎
細雪 中 谷崎潤一郎
細雪 下 谷崎潤一郎
鎌倉のおばさん 村松友視
路傍の石 山本有三
青山二郎の話 宇野千代
菊慈童の話 円地文子
武蔵丸 車谷長吉
千すじの黒髪 田辺聖子
日本婦道記 山本周五郎
戦いすんで日が暮れて 佐藤愛子
阿修羅のごとく 向田邦子
おはん 宇野千代
血脈 上 佐藤愛子
血脈 中 佐藤愛子
血脈 下 佐藤愛子
夫の始末 田中澄江
おさん 山本周五郎
生々流転 岡本かの子
タマや 金井美恵子
なまみこ物語 円地文子
素足の娘 佐多稲子
津軽世去れ節 長谷部日出雄
青磁砧 芝木好子
樅ノ木は残った 上 山本周五郎
樅ノ木は残った 下 山本周五郎
老いては人生桜色 吉武輝子
馭者の秋 三木卓
蝉しぐれ 藤沢周平
リツ子その愛、その死 檀一雄
わが住む村 山川菊栄
花衣ぬぐやまつわる 上 田辺聖子
花衣ぬぐやまつわる 下 田辺聖子
ノラや 内田百聞
斜陽 太宰治
わたしが生きた(昭和) 澤地久枝
或る女 有島武郎
秀吉と利休 野上弥生子
妻の部屋 古山高麗雄
やまあいの煙 重兼好子
愛妻記 新藤兼人
林芙美子随筆集 林芙美子
抹香町路傍 川崎長太郎
おいしい人間 高峰秀子
古道具中野商店 川上弘美
人生軌跡 竹西寛子
雛の家 久世光彦
アカシヤの大連 清岡卓行
不如帰 徳富蘆花
樹影 佐多稲子
抱擁家族 小島信夫
峠 上 司馬遼太郎
西行花伝 辻邦生
巷談 本牧亭 安藤鶴夫
幕末の水戸藩 山川菊栄



 


 2010/5/25
 今日こそはと思いながら、一年半もご無沙汰しています。風邪ひとつひかずに元気に過ごしています。“老後の楽しみ”として仮開館して早や7年目、新館開館して1年余り、助ける人もあって、火曜日休館以外、開館し続けています。利用する人も限られていますが、私の目の黒いうちはと、しばらく開館し続けられそうです。
さて、この一年半、自分で言うのも変ですが、本当によく勉強させられました。新館開館という、いわば「地域」に乗り出していくのですから、少なくとも本に関しては現役たらざるを得ません。さらに文庫(図書館)としての体裁も。もうひとつ、政権交代があって、ほとんどの本の評価が変わらざるを得ない。これからは勿論、今日までのものも。書き手も読み手も。さらにもう一つ活字による文化というものがIT化によってどうなっていくのかにも目を向けなければ!どうやら峠もみえてきたので大変ですが、少しずつ対応していきます。今日は私への励ましの一文を頂きましたのでそれを。

「遠藤さん、奥様、皆様、ご無沙汰しております。哲研でお世話になったSです。澤田先生他界後は、めっきり皆様とお会い出来る機会も無く、寂しくも残念な思いでなりません。
ところで、ここ数年は慶應150年イベントで盛り上がり、今年はSFC(湘南藤沢キャンパス)20周年で盛り上がっています。日本は失われた20年に加え、老齢化社会の最先端を走っています。もはや、手本とするものは何処にも無く、日本は日本を創生しなければなりません。にも関わらず、相変わらず人は答えを欲しがり、ましてや最適解を求める人が多すぎます。保証を求める人が多すぎます。自分探しをする人が後を経ちません。答えは自分で創るものだし、そのためには静的知識(例えば書物)と、動的知識(例えば地域活動)と、それらの融合力(マネジメント)が三位一体となり、アクティブに進める人物像が期待されます。今の世の中、保証書は誰も発行してくれませんし、仮に発行して貰ったとしても、あまり意味はありません。例えば、学歴とか卒業証書などには賞味期限がある。賞味期限を引き延ばすには、常に日々鍛錬を繰り返す以外、方法はありません。先に語った静的知識・動的知識・融合力の自己トレーニングです。そして、自分探しをやめて、自分創りをしなければ、日本は潰れます。
・・・遠藤さん。上京される事があれば、是非連絡ください。たまには、哲学話で酒を飲みたいものです。
では。
/S(今、村上春樹の1Q84 BOOK−3を読んでいます)」 2010.5.14

●館長一言
昔を思い出し敬意をもって読みました。そう言えば昨年暮、群馬の皆さん(あなたより少し前の)に招かれ、歓迎され一泊してきました。ついでに、このところ私が精読し、まわりの人達にもすすめている本を紹介します。

@ 宮台真司、福山哲郎「民主主義が一度もなかった国、日本」幻冬社新書 09.11.刊

A 宮台真司「日本の難点」幻冬社新書09.4刊

B 宮崎哲弥「新書365冊」朝日新書06.10刊

それに、吉本隆明、小林信彦、橋本治の本沢山。
私、72歳、4〜50代の若い人に教えられてもいる昨今です。
今日はこの辺で。


 


 2009/1/22
あっという間に半年が!見限った方も多いかも。とりあえず謝罪して。毎日少しずつですが従来からの貸し出し作業。と云ってもほとんどありませんが。それに08年夏に建った新館開館作業に追われています。未整理の本がまだまだ多いのですが1月中には新館1F部分に新書、文庫本約3万冊を。入館し、見て、選んで、貸し出し。それをもって新館開館といたします。勿論無料です。
新書では岩波、講談社、中公の80%、文庫本でも岩波、中公、新潮、文春などのやはり80%、いづれも出版社に在庫していないものが中心です。専称寺文庫新館が建って半年、何時開館するのかと問い合わせ、期待されてもいました。さてどう展開するのか判りません。早く助ける人が名集り出てくれ、開館し続けられればと願っています。
「毎日新聞」に
08年9月30日付 毎日新聞茨城版に「新いばじんP」として当文庫が大きく紹介されました。(当HPに載せてあります)
「本」の本
No.22に村上龍に言及してのち半年、課題があり過ぎて困ります。この数年、朝日、毎日、東京の三新聞の切り抜き作業をしておりますが、内外の政治、経済の動きは私の人生の50年余を振り返させる、生きる意味を考えざるを得ない程のものです。それだけに私も良く勉強させられました。そもそも当文庫の開設そのものが微力ながら今流行りの言葉で云えば「知的格差」の解決を目指したものなのですから。今後文化面に及ぼす影響に当文庫が応えられるのか?

橋本治「乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない」 集英社新書 05‘
今、橋本治にはまっています。昔
「窯変源氏物語」全14 95年刊 中公文庫 初出1991年中央公論社
を手に取って「ワッ!これだ!」と叫んで、それまでの古典注釈書の色々を参考にしていた私を驚かせた記憶がよみがえります。08年度の毎日出版文化賞になった「双調平家物語」まで手元に数十冊、「橋本治とは何者だ」と呻きながら格闘している昨今です。どの本もベストセラーに近く読まれている様です。橋本治を卒業するにはまだ時間が必要な私から見て、日本の読書水準の高さに驚いている次第です。

鹿野政直「岩波新書の歴史 付・総目録1938〜2006」 この本 No.17にあげておきましたが、今度、版元品切れ本の8〜9割を当文庫に並べてみると、それの日本の近代に占める価値の重さに改めて敬意を。ついでに
「図書」臨時増刊08.11月刊 岩波書店−岩波新書創刊70年記念−
「私のすすめる岩波新書として218名の寄稿」
を紹介しておきます。無料配布です。

中井久夫 「臨床瑣談」 みすず08‘ があちこちで書評されています。私は80年代の始め、フトしたことから精神医学の本を手にとるようになりましたが、なかなかとっつきにくく中井さんの「治療文化論」岩波現代文庫01’ 初出「岩波講座 精神の科学」第8巻所収 概説−文化精神医学と治療文化論 1983岩波書店刊− に出会い、それから著作集全6巻、岩崎学術出版1984〜に始まりその後のほとんどの著作に敬意を払ってきました。

今日はこの辺で。


 


 2008/6/10
早いもので、もう5月もおわり6月に入りました。過ごしよい季節が続いています。ミャンマーに続いて、中国と自然の大災害が報じられ、心も痛みます。

仮開館して4年目、私もこの4月で70歳になりました。相棒の実兄も72歳。月に一度は館長通信をと心掛けながらも、先送り、私どもの様な寺の住職は毎日が日曜日なのに、何一つまとまりません。生老病死の苦しみも人並みに味わう昨今です。
●「文庫新館」建設の件
この6月18日が受け渡し日と、東京渋谷の山並建築事務所 −ここの社長の山並氏(60歳)は、今から35年も昔、私が大学を拠点にやっていた「哲研」に参加、以後つき合いが続く仲間。施工は彼の頼みなら何でもと信頼する土浦の矢島エジソン− から知らせてきました。
資金の都合もあって、2階床の部分は第2期工事にまわし、完成すれば60坪弱。外からみれば“なんだこんなものか”でしょうが、私にとっては精一杯。はじめから生活費は折半できている妻、そして家族から多額の借入金で。勿論返済するつもりです。私のような年寄りが何でこんな冒険をやらねばならないかと問われれば、6年前に事故で逝ってしまった私共の次男への追善。お世話になった社会への還元のつもり、といえば笑われるかも!
「文庫新館」の開館へ
さて、これから本の移動と整理です。さしたる助人も期待できない現状、勿論資金も皆無。ただただ健康体第一、倒れないようにと念じ、貸出業務は続けながら約半年ぐらいかかりそう。大変な作業ですが、段ボールに入ったままの何万もの本が陽の目を見る。(集めた当の私自身が驚くほどの名著が浮上してくる楽しみも)そして当館にとって常につきまとう最大のリスクと云えば利用されないこと。しかし、これも無から始めたのですから、無に還えると思うことに。今はただ“良い文庫”になるためにやることはやる。
●久しぶりに助人あらわる
そんな訳で、まずは利用されなければ、それには利用したいと思っている人に知られること、それも一度にどっと来られても対応できませんから徐々に。5〜10年ぐらいはかかるか。その意味で新聞などのメディアに頼るしかありません。この5/24には期せずして、筑西市広報、読売新聞(以上2回目)、毎日新聞の取材を受けました。
「本」の本
仮開館して3年余り、それまでの私の目標 −集めた5万点余りの学術書を整理して無料貸出し専門文庫として開館し、以後は余生を楽しむ− が大きく変わりました。新館を建てる。地域の文庫として親しまれる。それに相応しい蔵書をと。こうして文庫、新書を中心として、5万点以上のものが集まりました。最近は選書、そして読書と私にとって思ひもかけず勉学の季節、勉強の「し時」ともなりました。坊主 −世捨て人− となって30年「見ざる、聞かざる、云わざる」の知的怠慢をどうやら脱出した?脱出させられたように思います。やはり勉強は大切なのかと、この歳になって。開館という私の作業は常に自分は何をやっているのだろうか、こんな事をして何か意味があるのだろうかとの自問自答をともないます。時代と社会との対話を当然ながら強いてきます。さて、こうしてたどりつかざるを得なかった第三の拠点 −ニューヨークからの報告「未来をつくる図書館」そして雑誌専門の「大宅壮一文庫」に次ぐ− として。

村上龍 「希望の国のエクソダス」 文春文庫02 初出:「月刊文芸春秋」98.10〜00.5 文芸春秋社00
を上げておきます。私にとっての村上龍というやっと追いついた課題は今後の事ですが、前記のウォルフレンの日本版とだけ云っておきます。ウォルフレンと云えば
「世界が日本を認める日」 PHP研究所05
も今日の日本にとって大切な本のようです。
●「本」の本つづき
田口久美子 「書店風雲録」 本の雑誌社03 / 初出:ちくま文庫07
この本、坪内祐三「貴重な1980年代の精神誌」と云うが、それ以上に刺激的かつ大切な本だ。

長山晴生「偽史冒険世界」− カルト本の百年 − 筑摩書房96 / ちくま文庫01
この本、大衆文学賞を受賞したもの。4月の新聞に −歯科医の傍ら34作目の著書− 記事を見てびっくりしたが、私の手元にも10点ほど、いづれも目が離せないものだが「おたくの本懐」前出と並んで力作。

小谷野敦 「すばらしき愚民社会」 新潮文庫H19 / 初出:新潮社H16
小谷野敦 「バカのための読書術」 ちくま新書01 書き下ろし
山田昌弘 「希望格差社会」 初出:筑摩書房04 / ちくま文庫07
この本「格差社会」論の火付け役となった書の由だが精読に価する本だ。社会学的限界もあるが、私にとっては村上龍への橋渡しの役目となった。
●本の本 番外編
最近のテレビNHKスペシャルから。NHKの看板番組の由だか昨年の「ワーキングプア」今年に入ってからのEUからの報道。先日の地球温暖化など映像 −百聞は一見に如かず− の強烈さと構想のなみなみならぬ努力の跡が見られ目が離せない。上記のウォルフレン(オランダ人)のこともあって、私の目の前にEU関係の本10点以上、読むのも大変。

長くなりましたが今日はこの辺で。


 

 2008/3/13
3月に入ってしまいました。春の彼岸を前に何かと多忙です。ようやく暖かくなり、今朝はウグイスの鳴き声を聞きました。
文庫建設の件
2/6 小雪ちらつく寒い日「地鎮祭」を仏式で。その後、基礎工事を経て今は2階建ての木組の最中です。今後を考えると、ズッシリと重い荷物。逃げるに逃げられないといった心境。個人で支えるなんて!
●データ化の件
文庫、新書を主として5,000点追加。計58,000点が近日中に検索可能になります。
● 「仮開館から本開館に」向けて
前号に「未来をつくる図書館」−ニューヨークからの報告− 岩波新書03年
を拠りどころにと記しましたが、もう一つ「大宅壮一文庫」1951 「雑誌専門文庫」として開館し、今では年間8万件の利用とか。私設図書館から脱皮して法人化されたとはいえ、ルーツは当文庫と同じ。有料で貸出不可とするが世の為、人の為活動中。
さらにもう一つ。前にも紹介した北九州市の谷口雅男さんが始めた「文庫専門図書館」マスメディアに紹介される事数百件、注目され、激賞され、私も参考にとずっと追いかけていましたが、どうも02年以降動いていないようです。
やはり開館し続けるのは難しいのかなと!

前号に「日本の図書館の何と遅れに遅れていることか!」と記しましたが、なにも図書館のみにあらず“ワーキングプア”の件など“日本沈没”−エコノミスト最新号−と云われ始められるなど、各方面の病理現象が報じられています。この辺の事、前記のウォルフレンがもう10年も前に予告したとおりです。
● 「本」の本つづき
今年の雑誌「みすず」読書アンケート特集08.1、2月合併号。注文し、ざっと目を通しましたが、あれもこれも当文庫に所蔵したいものばかり。勉強している人はしているんだな!と。前記した「私も現役に帰っただなんて」とんでもない。私ごときが、おこがましいにも程があると反省しきり。

吉本隆明「読書の方法」−なにをどう読むか−01.光文社
さすが吉本隆明。むかしむかし彼の「言語にとって美とは何か1・2」−角川文庫−
を研究会に於いて取り上げた頃を思い出し、私は怠けて、彼はずっと第一線で。この本、第一級の読書論としか今の私には云いようなし。

雑誌「論座」08‐4月号 朝日新聞社 特集「理想」の書評を求めて
この雑誌33ページにわたり、英、米、仏、独の書評例ならびに現況を記したもの。今日までまとまって紹介された例を私は知らず、一読、勉強になりました。
●「館長通信」について
文庫の近況を知ってもらおうと始めたのがこの欄。何の反響もないことから、ひとりよがりというか孤独な作業に終始してきました。
しかし文庫HPの「窓」ですから、このHPを覗いてくれる方がいる以上続けます。どうせ続けるならば少し工夫して読んで楽しくかつ、為になるようにしたいものです。
そこで、前述した私の現役としての分野を「本」の本の世界とし、短文の書評を含めてその周辺をずっと追い続ける事に致します。

今日はこの辺で


 

 2008/1/31
・1月も終わろうとしています。当寺は鐘付き堂もなく、年末は静かなもの。半ばを過ぎて極寒の日が
 続いています。
・たまる切り抜きを待つ新聞。読まねばと積み重なる本、本、また本。
・1/2 宇都宮TOBUの古本市に車で。そういえば、昨年の10/5には、久しぶりに高円寺の西部古
 書会館に。足をのばして荻窪の、今は中央沿線で有名になった「ささま書店」へも。老店主も健在。
●「仮開館から本開館」に向けて
70歳になろうとする私にとって新館建設なんて大冒険、無謀極まること。しかし・・・である。
いづれにしろ最後の正念場。まあまあ健康で、もうしばらくは寺の住職を勤められる間に。
 
そんな訳で、これからの半年あまりの開館まで
@文庫が当面する克服するべき課題 → 将来も生き残るための−−−
A経営する私の力量 何をやらねば。何ができるのか。
について 自問自答し、その際下記の本を拠りどころに、成案作りに。
菅谷明子「未来をつくる図書館」− ニューヨークからの報告 − 岩波新書03
●当文庫が紹介されました。
07.12.24 産経新聞(茨城版)くろーずあっぷ − ネットがつなぐ本と人 − 大きく写真入りで。
同じく12.31 日経新聞 街かど人物館「私設図書館運営」と題して、全国版としては2番目、当文庫紹介
記事を載せてもらいました。
お蔭で今回、一新されたHPのアクセス件数も1,200を超えました。しかしHPを覗いて検索した上で会員
にと申し出る人はおりません。まだまだ信用されていないのでしょう。
●「本の本」
まず前回で紹介した、
長山晴生「不勉強が身にしみる」 − 学力・思考力・社会力とは何か − 光文社 新書05
買って読むに価する本だとしか紹介できないのが残念ですが、この本を含めて私の目の前に文庫、
新書が7点、そのいづれもが冗漫なところなく、時には鋭く、この100年余りの日本人の日常生活に
ついて、私達の持つ目線に沿って、改善すべき点を上げ、その論拠も彼自身が発掘し、ないしは創造
するといった趣に充たされ、まさに目が離せない。何よりも読んで面白く、平易なのも。私にとっては
前回のウォルフレンの「日常生活版」。

ウォルフレンと云えば、私の前にすでに文庫3点、B6版で8点、まだ2,3点以上出版されていること
が判る。前回紹介済みの2点など親本が30万部その後の文庫化ですから途方もなく読まれている。
知らなかったのは私ぐらい、恥ずかしい限りです。とは云え読むのも大変です。
遅ればせながら紹介済みの"雑誌みすず"00.01辺りをひっぱりだして、傍線を引きながら再読。何と
一冊に5時間ほど。なかなか大変。因みに当文庫蔵のものはと言うとその10%未満。そんなもんです。
「本の本」つづき
私も長い間、図書館で働いていましたから云うべきことも積もり積もっています。当文庫仮開館にあたって
3年前に、中央区新川に移った図書館協会へ。応対して頂いたのは今はトップになられた松岡さん。
40年も前の私の小論 −「図書館評論」にのった− と研究発表を今でも覚えていて下さり、激励されも
しました。それはともかく、上記の「ニューヨークの公共図書館」からの報告を読んで「さもありなん」の思ひ。
顧みて日本の図書館の何と遅れに遅れていることか!そんな訳で私の「私設図書館」開設へと向かって
いるのだが。

長くなりましたが最後に。ここで紹介すべき「本の本」 幾つかある中で、その一冊。
坪内祐三 「文庫本福袋」 文芸春秋社04 (初出は週間文春00.6月〜04.9月)
500Pの大冊です。同じような本の3冊目。門外漢の漫画やミステリを除いても、前回、書評家としては
トップと言いましたが、決して褒めすぎでないことが判ります。因みに当文庫蔵となると、2〜3割か。
どのページを開いても、ほとんどのところで"ぐっと"くるものがあって、楽しいよりも、私の不勉強が身に
しみる本。

今日1/31 新館建設の契約書に印を。5月末には完成とか。
今日はこの辺で


 

 2007/12/19
●寒くなりました。昨日今冬始めて薄い氷を見ました。
 寺の境内のイチョウの木の葉もすっかり落ちました。
・秋の彼岸の中日(07.9.21)寺の世話人の集まりで、HP冒頭でのお知らせの通り
 文庫新館建設のGOサインが出ました。
・08.5月の完成予定、その後の移転、整理を経て秋には文庫の
 仮開設→本館へと道筋が決まりました。
・07.10.31日の共同通信社の取材、11月27日の東京新聞
 「熱気球」欄で写真入りの記事で、全国紙での初紹介。
 11月28日には日経の記者の取材があり、それなりの反応がありました。
・という訳で一時中断したHPも続ける事に意義がと。丁度助ける人あってHPを一新しました。
●「本の本」つづき
まづこの欄NO.13で長山靖生さんを紹介しましたが
「人間嫌いの言い分」 光文社新書 04
「一緒に暮らす」   ちくま新書 05
を読んでますます目が離せなくなりました。
・坪内祐三「新書百冊」 新潮新書 03
この人、今日、書評家としてはトップを走っている人ですが、
私が、前向きでひたむきな人生ーーー読書においては現役ーーーに絶望して、
やりすごす人生、生活者としての人生ーーーつまり夢を将来に託し文庫建設に、
本集めにーーーに転換を余儀なくされる、「仕方がないか」の人生に、
その頃、約30年前から本格的読書生活に入った人とみられ
ああ!こういう人もいたんだと感心させられる。
●もう一冊
大塚信一「理想の出版を求めて」  一編集者の回想  1963〜2003トランスビュー社 06
大塚さんは97〜03年まで岩波書店の社長であった人だが
63年に同店に入社以来40年間岩波と共にあった人、今日では少し
距離をおいて見られるものの、永い間”岩波文化”の恩恵に浴しながら
の私の過去をふり返り、あの時はああだったのか、この時はこうだったのかと感慨ひとしお。
●さらに一冊「東大教師が新入生にすすめる本」 文春新書 04
この本、94年〜03年に東大出版の雑誌「UP」の各4月号に於て
188人の東大教師が1500点余りを取り上げ、すすめる寸評を集めたもの。
さすが東大、恐るべし東大(良い意味で)と一読して驚く。
門外漢の理系の(良書らしき)本は措くとして、みた事も気にしたことも話題にもしなかった
良書が満載、ここでも本欄NO.14で紹介した雑誌みすずの書評欄、キチンと処理していたらと
「読みたい本が積まれていくばかりで減らない、−−−30年前の怠情にあるとはわかっていても
本当に、後悔先に立たず、である」同書396P
さてこの本、A5判の本格的学術書の紹介は勿論、意外にも
B6判、選書、全書、新書、文庫といった比較的小著で定価も安い本に
欠かすことのできない重要な学問上の到達点を示す、良書の多いことを改めて学びました。
●最後に傍線を引きながら検討していますがその中でどうしても記しておかねばと思われるもの
カレル・ヴアン・ウオルフレン
「日本/権力構造の謎」上下 早川文庫新版 1994年
      親本は早川書房 1990年
「人間を幸福にしない日本というシステム」     新潮OH!文庫 新訳決定版 2000年
      親本は毎日新聞社 1994年
この本、東大教師、高山博も「日本研究の古典の地位を獲得することは間違いないだろう。」と云う。
他に2、3のすすめる教師がいて早速、私も一読、訳者の篠原勝も「目からうろこ」と。
NO.16で紹介済みの阿部さんが歴史家として今日「世間」を
ウオルフレンが正面から日本の政治、経済の克服すべき課題を展開してるのに驚くと同時に敬意を!
このような文章を記すと私も何か現役に戻ったかのようです。
長くなりました   今日はこの辺で。


 

 2007/09/02
●お盆をどうにか乗り切ることが出来ました。
坊主は一に掃除、二に掃除、三に学問と念じてきました。
ホットするのもつかの間すぐに秋の彼岸が待っています。
あまり根を詰めてはと、8月10日渋谷東急の大古書市に。
40年余り品川に住んでいましたから云わば地元
予想外に注文した本も当たったりで、大型の段ボールで三箱送ってもらいました。
●前にも紹介した地元の人で、神田の「古書通信社」のTさん。
一年たらずして二冊目を同じ平凡社の新書として「三度のメシより古本!」を刊行との記事。
東京新聞に3回にわたっての書評欄の短文にて知り、早速取り寄せ読み始めました。
第5章以下の真山青果の新旧全集の比較に始まり、近世随筆家の種彦、馬琴
山東京伝、南畝を取り上げ永井荷風から三田村鳶魚、森銑三、柴田肖曲につながっていくあたり
とても一筋縄ではいかない。
さすが古書通信社に二十七年といった記述ですまされない領分に踏込んでいるのと
終章の「索引論」から群馬の詩人伊藤信吉さんのことまで、教えられるところ多しと。
でも、こうしたこと、誰が引継いでいってくれるのかと文学への思いが冷却している昨今不安が。
いづれにしろ古本についての新しいスター誕生といった趣きに祝意を!
(07 9/2 の朝日新聞の書評欄にも紹介ありました。)
●以下「本の本」のつづきですので、ついでに紹介
〇立花 隆
「ぼくの血となり肉となった500冊、そして血にも肉にもならなかった100冊」07年
文芸春秋社
立花さんの書評はすでに文春文庫に2冊にまとめられていて、これで3冊目。
本集めの指針として信頼がおけるもの。
〇宮崎 哲弥
「1冊で1000冊」06年 新潮社
独断らしきもの多数だが、何しろ数が多いので新刊書店に行けない者にとっては重宝
〇鹿野 政直
「岩波新書の歴史」 06年 岩波書店
総目録が便利
●「沢田哲学とは」「阿部さんの世間」といった私の課題
続いていますがその「言語化」――出典は佐野真一「だれが「本」を殺すのか」延長戦
Part2 02年プレシデント社 P74〜 ――にとりくんでいます。
●データ化の方
50,000点を超えましたが公開検索可なのは3.5万、あとは段ボールの中、何とか新館をと
今年中にはとの思いですすめていますがどう実現するやら。  この辺で・・・


 

 2007/7/31
●お盆を前に寺にとって一番せわしない時を迎えていますが、まあまあ元気です。
毎年行っている庭木 の手入れをし終えるとホットします。
●7月18日には久しぶりに浅草の松屋での古本市に行ってきました。
高価な本でも借金して文庫の為と購入していた昔とは違って数も金額も微々たるもの。
04年出版年鑑など書誌的なもので手が出せ るもの。
それでも大型ダンボール一箱送ってもらいました。
●承前 1  前回の阿部謹也さんの「世間」という課題
95年に云い出して以来学会などで無視されつづけたとの阿部さんの言
どうしてどうして書誌データを見ると、50点余り現在でも入手可能であり
95年以降でも15点発行されているのを知って驚き。
この内 「大学論」 99年 日本エディタースクール出版部
「阿部謹也自伝」 05年 新潮社
は読み物としても面白く、又「世間論」形成に至る重要な文献としてご紹介したい。
●承前2  沢田哲学とは何かの課題
前回そのサワリを述べましたが、この一文は私がようやくたどりついた観点を記したもの。
何を云っているのか、ひとりよがりと云われても仕方ありません。

さて、沢田先生と阿部さんと並べて、その提起した課題がいかに、どのように、どうして、どこで
誰にとって・・・重要なのか、しかし、ことは、知的作業のすべて、そしてその取扱い方、その後の行動
日本の社会と個人の在り方など、質、量、場、時そして人間を含む
すべての生きものに関連するものです。まあ少しずつ、焦点を絞り表現に工夫をしていきたいと思います。


 

 2007/6/15
・6月に入ってしまいました。
・4月22日(日)「沢田先生を偲ぶ会」於ホテルオークラ に行ってきました。
・参加者150人ほどの古くからの仲間、そして、坂上弘さん、今は慶大出版会の社長
芥川賞作家、戦後間もない頃の三田文学の沢田先生の後輩
「そうだよね!若い頃は文学青年だったんだよね」。
鈴木光司さん、「リング」で有名、沢田先生の教え子。
沢田先生を偲びながら当文庫の紹介をも。隣のバーで二次会、科学哲学時代
40年以上も前の頃の、東大の吉田夏彦、坂本百大さんなど。
「まだ早いじゃないか」と云われるまま、新橋でハシゴ、深夜まで。
●沢田哲学とは!
この欄のNo.8(06-09−19)に記した、戦後の日本の哲学とは?沢田哲学とは?
この際、一文にまとめてみようと、この課題をずっと抱えて
上記偲ぶ会までにはなんとかと思っていましたがなかなかその中心になる核が。
物書きでもない私如きが、見つけられる筈もないか。
ただの印象批評に終わるのかと、あきらめの境地に。
●阿部謹也さんの「世間」の思想
4月に入ってたまたま手にとった阿部さんの“「教養」とは何か”。
アレ!ここで展開されている「世間」という考え方は沢田先生が70年代にたどりついた
「風景」という思想と同類のものではないかと。
さあ大変、それ以降、今日まで身体をこわさない程度に勉強させて頂きました。
●阿部謹也さんのこと
阿部謹也さんは昨年の9月に急性心不全で残念なことに亡くなられました。
しかし最後の本*にはまるでご自分の死を予期していたかのように云うべきことは
十分に云っているのが判ります。
阿部さんがこの20年間、課題にしてきた「世間」についての著作を下記に
「世間」とは何か 講談社新書 1995年 日本社会で生きるということ 朝日新聞社 1998年
「教養」とは何か 1997年 学問と「世間」  岩波新書 2001年
*近代化と世間 朝日新書 2006年 日本人の歴史意識 2004年

●沢田先生と阿部さん   ―自己の「人生をいかに生きるべきか」を常に念頭においたお二人―
沢田先生が古来の哲学の本来の性格を現代に生かさなければと
現代哲学のほとんどが個別科学化している現状に
正面から長い間闘って切り開き到達した“「風景」の思想”という考え方
それにもとづいて環境の問題を日本の哲学者として早く70年代の初めに自己の課題としたこと。
こうしたなかば常識化しつつある囲いから一歩踏み出すという点においては、阿部さんも同じ。
歴史家として、又一個人として資料と闘うなかで見出した日本における“世間”という考え方
学問の世界や識者の間からは無視されつづけ、反対に阿部さんから現代日本の大学は
学問は崩壊したとの宣言文をつきつけられた。
ここら辺にも沢田先生と阿部さんとは共通点が。
因みに沢田先生、日本哲学会会長2期 阿部さんは一橋大学学長2期、国立大学協会会長を勤める。
●学問とは何か正義とは何か    ―常に問い続けたお二人―
もしそこに重大な誤りがあれば人間の生存、生き方に大きな影響を与える。
大は幾多の戦争しかり、小は日常生活にかかわるときどきの判断
見通しなどに取り返しのつかない罪や悲しみをもたらす。
その克服こそ学問の使命であることは歴史の示すところ。
●まとめ
上記のごとく、沢田哲学とは何かの課題、すでに私のノートした分量も新書一冊分ほどに。
ですからそのサワリを述べたに過ぎないのですが、長くなりました。
いずれ完成させたいと思いますが、大体の骨格と見通しなしにこの課題にふれることができませんでした。
又こう記した自分はどうか、改めるべきところを改めるという課題が浮上した2ヶ月半でありました。


 

 2007/3/29
●暖かくなってきました。
3月は寺にとって何かと気ぜわしい日々です。
「彼岸会」が終わって、ホッ!。
寒い冬こそは、読書家にとって書き入れのはず。
日本の近代文学を見直す。特に私小説の再評価とか、戦後文学も。
いまだ読了していない名作の数々。若いころ読んだあれもこれも。
翻訳本だって、今読んだらなどと思う昨今です。
新たに集めた文庫や新書が月に4〜500冊。目の前を通り過ぎていきます。
これは読もうと選び出した数十冊が常に私の回りに積まれています。
チラッと見ただけで、まだ別の本に変わっていく。その繰り返し。
●データの件
手伝う人を得て、毎月500点ほど消化していますが、書棚に並べて
検索可となるには、まだ時間が必要です。
集める方もまだまだ続くようで、険しい道のようです。
この3月で開館3年。利用してくださる人の数も増えず
この点しばらくはあきらめの心境です。
●承前 本に関する「本」について
東京の大型新刊書店には、本に関する「本」のコーナーがあり、数百点並んでいるのを見ますが
当「専称寺文庫」に在庫する点数はその数倍はあるでしょう。
本読みといわれる人達-私が導かれた-。
古くは林達夫から、加藤周一、谷沢永一、吉本隆明、紀田順一郎、吉田秀和、丸谷才一などなど、きりなし。
本の世界にのめりこんでそろそろ50年。
「文庫」設置者ともなれば、貧しいながらも自分も紹介者の側にいるのかも。
人間にとっての読書とは、私にとっての読書とは・・・
少しづつ考えていきたいと。
●追伸
「自分も紹介者の側にいる」といいながら、斉藤美奈子さんをこの項から落としては叱られてしまいます。
そもそも文庫・新書をあれもこれも集めるのに力を入れ始めたのは、開館間もない時から
お付き合いいただいている近くのAさんからの
「こんな難しい本ばかりでは、地元の皆さんからそっぽをむかれてしまいますよ。
地元の皆さんから愛されてこそ!」との一言があって以来のこと。
ちょうど斉藤さんの「文壇アイドル論」-岩波書店-が話題になり始めたころ。
結果として2〜3万点が集められ、私も勉強させられました。
ついでに、佐高信さん、上野千鶴子さんもあげておきます。
本に関する「本」のしめくくりとして紹介しておきたいのは、私の永い間手本として
また、このとおり集められていたら理想の「文庫」がと思ってきたもの。
雑誌みすずの年1回の読者アンケート、1980〜1986までは刊本としてあり、その後
今年まで、およそ5000点以上を、短文の解説と、それぞれの筆者の思い入れをつづったもの。


 

 2007/2/7
あっという間に年を越してしまいました。
11/19、1日がかりで、前記沢田先生から頂いた本、運び込みました。
運転手、その助手を含めると6人で。
洋書が半分以上。
現役だった先生らしく、言語・科学・環境など・・・
哲学の方からみた専門書類(洋書を除いて)
雑誌・文庫・新書を含めると1,000点あまり。
当文庫のその方面の厚みが増したとは言えるでしょう。
●データの件
前記沢田文庫として受け入れたもの1,368点
文春文庫880点、ちくま文庫300点、朝日文庫300点。
いずれも第一次分として。
●承前、本に関する「本」について。
前記の谷口さんの「日本文庫大全」は文庫本に関する、書誌的なものとして座右のもの。
中島梓さんの「文学の輪郭」s53、「ベストセラーの構造」s58、「夢見る頃を過ぎても」1994
その他数冊(いずれもちくま文庫に入っていたが、ほとんど品切れ)は
日本の現代文学に親しまんとする人は、必読のもの。
上田紀行さん「生きる意味」05岩波書店、坊主(寺)が文庫を開く意味についての良書。
番外として「おたくの本懐」-「集める」ことの叡智と冒険-長山靖生 ちくま文庫05。
親本は「コレクターシップ」JICC出版局92 すばらしい本の一言。
最後に極め付きの佐野真一「だれが「本」を殺すのか」プレジデント社01を親本とする
新潮社文庫本 上下2冊04、索引34pと161pも増補したもの。
本をとりまく、さまざまな現況をまとめ、最後には身内としての電子本やら、ゲームや、スポーツや
その他の分野との生死をかけた戦争の様相-文化の状況にまで及ぶ。
執筆者、編集者、出版社、取次を含めた流通、書店、図書館、読者と、一読なくてはならぬ本だと。
いずれにしろ、本をめぐる諸問題は、この5年ほどで、革命的な嵐の中にあることは事実。


 

 2006/11/11
毎日追われ続けています。
やることばかり多くて目に見えての成果はありません。
閉館してしまえばとの声に包まれている昨今です。
月刊雑誌「寺門興隆」を見ての反応2件。
■その1、
横浜のSさん
メールの一部を当HPの利用者の「ひろば」にて紹介しましたが
茨城県外からの実質会員第一号。
当館の設立目標「ご自分の書斎としてご利用を!」にピッタリ。
残念ながら、当文庫のHPを開いての応答ではありませんでしたが。
オーバーな言い方が許されるなら「利用者の喜ぶ顔を一人見ずには死ぬにも死ねない」
と言い続けてきた館長にとって、待ちに待った人。感慨新たといったところ。
■その2
10月21日「浄土宗新聞」(毎月1日発行)の取材を受けました。
ちなみに私共の専称寺は(全国に7,000〜8,000ヵ寺)浄土宗という巨大宗教教団に
属しています。
私は住職となって30年近く、ただただまわりの人達に助けられ続け
昨今ようやく一人前かな?と。
その間当然ながら、寺はどうあるべきか?住職とは?私自身は?
一日たりともその問いを忘れるわけにはいきません。勿論、反省また反省の日々。
その回答の一つが当文庫の開設であったわけですのでどのような記事が
載るのか、待たれるところです。
10月27日に神田古本祭りに行ってきました。
三省堂会場が無くなり、あれ!それでも蔵書補充の思いで、
仏文の「河盛好蔵 随筆選 7冊 新潮社
仏文の「藤村のパリ」 新潮社
「長谷川利行画集」 協和出版
「万葉集大成」 16冊(新版) 平凡社
など段ボール3ヶ 送料無料で
●データの件
新潮社文庫1,200点終了。文春、朝日、ちくま文庫に移っています。
「入手が困難な文庫・新書」と前回記しましたが
最近のアマゾンなどで幾つかのインターネット検索を見せてもらうと
驚くほどの規模で、また安価で出品されています。つまり入手が容易。したがって前言撤回をしなければと。
しかし、よくよくみるとそうとも言えない面も。
いずれにしても、街の古本屋さんの閉店が続いているのは確か。
北九州市で文庫専門の無料図書館を開設している谷口雅男(「ふるほん文庫屋さんの奇跡」新潮OH文庫
「日本文庫大全」ダイヤモンド社97年刊の著者)さんによれば
福岡県内で約1/10に減っているようだとのこと。神田を除いてほぼ全国的傾向。
さて図書館を開設するということですから、当然「本」に関する本には注目し
まがりなりにも読みもし、集めてきました。
前回に記しましたごとく、この2、3年、文庫・新書に重点を移して発見させられた
ヤスケンこと安原(ケン)さんのことに続いて
上記の谷口さん、(知らぬは私だけかもしれない)中島梓(栗本薫は別名)さんのこと
上田紀行さんのことなど原稿を用意しましたが、長くなるので次回に回します。
以上独り善がりの文章を続けました。この欄、メールの反応がありません。
孤独そのものです。もし覗かれた方おりましたら「FAXなりTELなりメールなりでのお便りください。


 

 2006/9/19
暑いさなかの寺の最大行事、お盆を乗り切りました。
21°Cから24°Cと一足早い涼しい日を迎えています。
前回記しました私の恩師沢田允茂先生、亡くなる前日まで筆を入れていたと聞く
「九十歳の省察-哲学的断想-」岩波書店刊が送られてきました。
来し方行く末を思いつつ戦後の日本の哲学とは?沢田哲学とは?メモをとりつつ一読。
この際、一文にまとめてみようと構想を。
本の末尾に解説をしている西脇さん、葬儀の際、話された藤本(隆志)さんとは別の観方となりました。
近いうちにこの欄でも紹介したいと。
●データ化の現状
岩波文庫、講談社文庫500点、同学術文庫400点が終了。
同時に進めている新潮、文春など、多くは入手の難しい版元品切れ本ですが
現に市販されてるものも混じってきましたが、お許しを!
月刊「寺門興隆」という雑誌の取材を受け、住職の奮闘と題して
九月号に8ページにわたり紹介されました。
早速滋賀県高島市の住職さんから照会を受けるなど、全国的には初めてのデビューでした。
最後に是非とも紹介せねばと思う人物、ヤスケンこと安原(ケン)さんのこと。
03.1月に亡くなられ、週刊誌や新聞などに広く報道されたとのことで知っている方が多いと思います。
私がこの2・3年文庫、新書の方に重点を移して初めて(情けないことに)知り-安原(ケン)編
「ジャンル別文庫本ベスト1000」学研M 庫2000年刊-、村松友視著「ヤスケンの海」幻冬舎文庫
H17刊を経て-回想の50年、60年代-「ふざけんな人生」清流出版02年刊
決定版「編集者の仕事」マガジンハウス社99年刊を文字通り精読。
今、「ヤスケンの海」を再読し、思うに内外の文学を中心として映画、演劇、音楽、美術などに
驚くほど広く、深く発掘し、展開させ、創造し、結果としてその時々の世界の状況と闘ってきた
一天才的編集者(中央公論社の雑誌「海」そして「マリ-クレール」他で40年余)だったと。
今までにない感動と敬愛の念をいだき、今日までの私の文庫に対する考えかたの再検討。
またこれからの課題だと!
この項、皆様のお耳には館長の私的くりごととしてお許しを。


 

 2006/7/28
相変わらず多忙です。
今年4月小生の恩師 沢田允茂氏(慶応大名誉教授)が他界されました。
89歳でした。
日本哲学会会長務め、最初の著書「少年少女のための論理学」
(現行の「現代論理学入門」岩波新書「考え方の論理」講談社学術文庫の元本)が
毎日出版文化賞。
私の二十代から50年近くお世話になりました。
我が家の仲人でもあり筑西にも何度もいらしていただきました。
一昨年私の文庫開設の際、蔵書は私の文庫へと言ってくださり
先日お伺いして見て参りました。半分は洋書ですが
2,000〜3,000冊、沢田記念文庫としていただくことになりました。
●新書・文庫のデータ化作業の件
まず新書、第一次として岩波が1,500点、中央公論社が700点、講談社が400点、データ化終了。
文庫第一次として教養文庫320点、旺文社が500点、中央公論社が2,100点データ化終了。
進行中の岩波が3,000点。その他、助ける人あって新潮などの他の文庫も少しずつ進んでいます。
先週当市のタウン誌「DaTeKKo」の取材を受け同8月号に載る予定です。
また当市の商工会から50年記念誌のための取材を受けました。「ご利用を!」と呼びかける当方としては
まず少しずつ知られるのが第一歩ですので、働きかける力はなくとも、皆様のご協力をお願いする次第です。
●当面の目標
データ化はしたものの大量の山積みないしは段ボール入りの書籍を一日も早く書棚に移さねばと
焦りを感じる昨今です。
最後になりましたが、この館長だよりNo4 に地元のTさんが見学に見えたと記しましたが
このTさんがこの4月に、「古本通」(平凡社新書)を出されました。
一読。
さすが神田神保町「古書通信社」に編集者として25年というキャリア。
うっかり評価めいたことを記すと、怒られそうですので控えますが
当市の今は亡き古書店、山口屋書店のことなど
人名はもとより、固有名詞の大半を知る私にとって貴重な情報となりました。感謝!


 

 2006/5/15
開館して早や3年目に入りました。
毎日多忙です。30年近く寺の住職を勤めながら、余った時間での本の整理
この4月で68才になりました。手伝ってくれている実兄も70才。
月〜金まで文庫を開き、本のデータ化作業をやっています。
単行本の方、30,000点で一区切り。ようやく文庫・新書の方に。
まず岩波新書から。戦前、青・黄・赤と続けて、中公、講談の順に。
2・3ヵ月中にはHPで見られるように。
次に文庫。岩波、中公、旺文社、教養と。
いづれも発行総点数の50〜60%。
出版社に現に在庫してるもの、資料的価値を失っているものを除けば
80%ぐらいカバーできると思います。
文庫の方、HPにて公開するには今年いっぱいかかりそうです。
言うまでもなく、文庫・新書は安価な上に読み易く、資料的価値もあるが
いったん出版社品切れとなると、単行本(金さえあれば入手可)以上に
入手は難しいのが現状です。
さて、当館の目標も、長く開館しつづける方法も、利用者さえあればこそですが
老年の二人ですので、焦ることなく、時流に流されることなく
地道につづけていくことにしましょう。
しばらくは文庫に今は眠っている資料に支えられて。


 

 2006/3/18
この1月には、宇都宮東武、銀座松坂屋、新宿京王
3月には池袋西武とサンシャインに行きました。
行けば蔵書の補充ということで、相当な量を送ってもらいました。
以前のように古書店めぐりをするといったことは、経済の面、時間・体力の面から
無理ですが、まあまあ元気にやっています。
●間もなく文庫新書のデータ化に入れそうです。
岩波、中央公論、教養の各文庫既刊の80%ぐらいは蔵書。
新書も岩波90%、中央公論90%ほど。
●当館のホームページをのぞかれた方、ご感想。ご批判、ご質問ほどメールで
お送りください。当館の励みにもなります。
次回には当館の目標、長く開館しづけるにはどのような方法が
考えられるかについて記します。


 

 2006/2/7
● 開館しつづけることの困難について-経済面-
まず初期費用は棚上げ-開館する以上は当然設立者が負担すべき-
1 蔵書(今も収集はつづいている)
2 建築物及び設備費(HPなどを含む)
3 人件費のうち約1/2(資料のデーター化の為の)
4 HP立ち上げ費用
設置者の年金で当分の間、維持可能だが、補助やら寄附などに頼らない方針で
独立採算させる課題が残ります。
● プラス面
もし30年前に開館したとしたら、蔵書のカード化、目録印刷など
期間も費用も個人では到底不可能なことがわかります。
●マイナス面
・ 開館して間もなく2年、利用者が若干ということは開館してるとはいえないのでは。
・ 有料広告する費用はありません
・ 有能な人材を配置する費用はありません
・ 現状で開館しつづけ、協力者の出現を待つ状態がつづくようです


 

 2006/1/1
開館の産声をあげて1年と8ヶ月。空白の10ヶ月遊んでいたわけではありません。
この間の動き、
1 単行本の追加データが5,000点
2 文庫・新書の整理進行
地域の利用がない、関心が薄いという状況を反省して
-学術書の全集ばかり並べてもダメ-ということで、2にも力を注ぐことにしました。
文庫では、岩波はもとより
旺文社、教養とつづき、中公に、さらに、文春、角川、講談社、ちくまと。
新書では、岩波、中公はもとより、講談社、その他の後発の新書にも広げています。
(データ化はこれからです。)
3 読売新聞(茨城版)に紹介記事
4 相変わらず利用者なし
5 YYS デザイン・オフィス つくば/筑西に当文庫ホームページの一新作業を依頼
●さて、この1年と8ヶ月を振り返って
●まず館長の当初の目的は達成されたこと
●ホームページを立ち上げて、貸出し専門文庫の開館
●開館していることの地域での認知
●未だ利用者は若干ながら蔵書と館の運営を見た専門家から、その価値・意義について
まずまずの評価をいただいている
そんな訳で、しばらく(私の目の黒いうち)は続ける。続けて(経済的にも)いける!
続けなければ!それなりの意義はあると・・・!
開館し、そして続けることについての難しさと、館長の予想をはるかに超える
予想だにしなかったことで、プラス面とマイナス面とを次回に記します。
まずはともあれ、ホームページの更新と、その維持・運営・管理に強力な助っ人に恵まれたことを報告します。
今回はこれまで               合掌


 

 2005/2/1
早いもので開館して一年近く、予想していたよりも、動きがないのが現状
蔵書と建物の費用を除けば、初期投資、人件費を含めた諸費用も負担できる、範囲。
今後も何とか開館しつづけていけそうです。
 何はさておき、利用されないのでは焦りもでてくる昨今です。
単行本、データーも2万を超えましたが、利用しやすい新書や文庫を先に
データーにいれようかと思っております。
 ひきつづき、文庫では、新潮、文春、集英社、講談社そして学術文庫と
整理してきましたが、早くデーター化して皆様の評価を待ちたいと思っております。                                            合掌


 

 2004/11/1
「読書週間」ということで神田青空展に初日の10/29でかけました。
ついでに2・3の古書店に、永年、おせわになったことのお礼かたがた
「開館案内」をおいてきました。
 整理の方も少しづつすすんでいます。
トータルでは2万を越えましたが、全集や著作集などを1点と数えたり
一巻づつ数えたり、また多くの複本があったりで
実際の点数は1万9千点ぐらいが妥当なところです。
文庫、新書の方も、角川、新潮が著者順に並びましたが
集英社や河出も多く整理もまだまだといったところ。
 初めて記しますが、設立者が永年テレビから録画したビデオ
(主として映画)が3〜5000本以上あり、未整理のまま、いつの日か、陽の目をと!
 皆様からのアクセス少しづつ増えています。
 別に広告して売り込むといったことは力もなく整理も進んでいませんが
7月1日付地元の常陽新聞に大きく写真入でていねいな記事を
載せてもらったのが最初で、9月2日付けの産経新聞
10月1日発行の下館市の広報にとつづき、実現には至っていないものの
打診も2・3受けています。
10/30には東京神田の「古書通信」のTさん、何点もの著作があり
郷土史家でもあるkさんが地元の縁もあって見学に訪れ
本の世界での専門家から、まづまづの及第点をもらいホッとしています。
今後何かと力になってくれるようです。
 長くなりましたが、近況報告まで                        合掌



 

 2004-08-21
第3信お送りします。
 仮開館して早や半年近く、その後追加されて単行本が18,000点が貸し出し可能、こまかな
 ものはまだまだですが、これはといった本は8割ぐらいはの段階。こちらからこれといっ
 た宣伝もしてはいないので、当然ですが反応はまだまだ、地元の新聞で写真入で大きく丁
 寧に載せていただき、全国紙の取材も受け、近く掲載のようです。地元の公共図書館とも
 コンタクトしていますがいまだ本格的とはいえません。皆さんに親しまれるようにするに
 はと考えて、文庫新書の整理を進めています。HPに入れるにはまだまだですが、岩波新書
 が青版の初期を除けば8割、中公新書が5割弱、岩波文庫全点の5〜6割、旺文社、教養
 文庫、中公文庫など問い合わせに応じられるようになり、新潮、角川、学術文庫など整理
 が進んでいます。今回はこの辺で。

                                                 合掌


 

 2004-07-01
第2信お送りします。
 まず地元からと、次いで恩師、先輩、知友、懇意の古書店さんなどに仮開館をお知らせし、
 アクセスをお願い致しましたがどうでしたでしょうか。その後、新規には2000点ほど
 入力しましたが、主としてデータの手直し、訂正現物の確認、置き換えなど少しずつ作業
 を続けています。岩波新書、同文庫をはじめとする、各種文庫、新書類は、データ化する
 にはまだ相当の時間が必要ですが、問い合わせに応じて、取り出せるよう整理は進行して
 います。以上近況報告まで。

                                                 合掌


 

 2004-04-01
はじめまして
 当文庫は、設立者がこの30年余りの間、今日あるを期して収集してきたものです。
 著者各位、出版関係者、古書店の皆さん!
 皆さんの努力の積み重ねをまづもって感謝しなければなりません。
 実はすでに7年前に、文庫を建設、本を運び込んだのですが、私の力不足、バブルの影響
 などがあって整理が進まず今もって点数においては1/7程度、つまらない本もまた多く入っ
 たりで今後もどうなるかと思いやられる昨今です。
 コンピューター、メールのやりとりなど、堪能な者がおりません。人手も片手間です。利
 用者の皆さんに何かと迷惑がかかるやもしれません。何しろ始めたばかり、皆さんの手取
 り足取りのご協力をまって、いつの日か一人歩きが出来るようにと祈る気持ちです。
 最後に一言、自分で云うのも変ですが、「信用第一」利用者の皆さんに喜ばれるよう少し
 づつ進めていきたいと思います。
                                                 合掌


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