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    館長便り


◆館長略歴

専称寺文庫館長

 
2004年4月1日〜
▼No.1 (2004-04-01) ▼No.2 (2004-07-01) ▼No.3 (2004-08-21) ▼No.4 (2004-11-01)
▼No5 (2005/2/1) ▼No.6 (2006/1/1) ▼No.7 (2006/2/7) ▼No.8 (2006/3/18)
▼No.9 (2006/5/15) ▼No.10 (2006/7/28) ▼No.11 (2006/9/19) ▼No12 (2006/11/11)
▼No.13 (2007/2/7) ▼No.14 (2007/3/29) ▼No.15 (2007/6/15) ▼No.16 (2007/7/31)
▼No.17(2007/09/02) ▼No.18(2007/12/19) ▼No.19(2008/01/31) ▼No.20(2008/03/13)
▼No.21(2008/06/10) ▼No.22(2009/01/22) ▼No.23(2010/05/25) ▼番外編(2010/06/25)
▼No.24(2015/04/01) ▼No.25(2015/05/31) ▼No.26(2015/06/29) ▼No.27(2015/07/29)
▼No.28(2015/08/29) ▼No.29(2015/11/15) ▼No.30(2016/03/31) ▼No.31(2016/10/1)
▼No.32(2016/12/25) ▼No.33(2017/04/23)

 
 2017/04/23 専称寺文庫近況 その10
館長通信 bR3 近況報告 その10<火災後第2報> 017.4、20
                         補訂版    017. 4. 29

出火(016.11.16)後、4ケ月が経過いたしました。その後のことをかいつまんで報告を。
当初は、(私の集めた一冊一冊の本が、想像を絶する火焔を発して焼失していくのを、ただ、なにすることもなく茫然と見送った)永年、特に、この10年近く集書一筋だった。私の営為さえ無かったことにすれば、(助けてくれた人には、申し訳がないが)などと。しかし日がたつほどに、そんな単純なことでもないとの重圧にさらされる羽目に。

@ まずは焼失本の内訳を
〇総数約10万点
〇その中核を成す、(検索にヒットし、取り出し可能な状態のそのほとんど
 が絶版の)文庫、新書が3.5万点(このデータは焼失文化財として記録
 として敢えて残すことに)、当然ながら、今は亡き“旺文社”“現代教養”
 文庫なども含む。
〇それに準ずる、未整理の文庫、新書が、3.5万点(唯一の救いが、歩いて
 1点ずつ探して集めたものが今はネットでほとんどが探せるという事実。
 しかし、ネットとはいえ、誰がそして、その購入作業量は想像を絶する。
 その購入費も。)
〇検索にヒットし、取り出し可能な主として美術関係の画集、研究書などの
 大型本、数百点
〇本館に在庫する、専称寺文庫の中核を成す学術、研究書の復本など約1万
 点
〇Amazonにて、販売すべく出品(この収益が、文庫スタッフの人件費を負
 担)の中の、重複本、即ち余剰本、約1万点など。

A 専称寺文庫蔵書の現況は
出火当時、新聞、TV等で、“専称寺文庫全焼”と云われ(消防の発表)後日、それが、文庫の一部即ち“新館”と、併設されていた“住居(会議室)”増設された“書庫”であること、以下約7.5万点の内訳
○ 開館15年目になる本館(文庫の中核を成す学術、研究書群)約3.5万点収蔵
○ 分館(寺域外)と寺に分散して収蔵されている、各種の個人全集を主に、全集、講座、業書など約1万点
以上が、全国に向けて公開。即ち、検索にヒットし、取り出し、送本、可能な貸し出し本
○ 他に未整理、重複などの単行本約1万点
○ 更に、アマゾン(通信販売)に出品している文庫、新書約2万点
○ 以上の本は館長個人が図書館蔵書(質→量、私設であっても、客観性の保持を念頭に、人文、社会科学の専門書群として片寄ることのないように)として収集したもの。
○ 焼失本は点数は多いが、重要度(私見ながら)においては10分の1程度か、いや10分の5に迫るかも。

B では、なにが燃えてしまったのか?――焼失から浮上する重圧の数々――
○ そもそも、当専称寺文庫は寺の住職として、寺は社会に向けてなにかをしなければ、私にできることはなにか、そう、昔の寺子屋をとの想いで出発し、集めた学術、研究書を社会に開放して―――。で、可能なれば、図書館として開館を、開館ともなれば、その資料の充実を!こうして40年に近い日々を。
○ 積もりつもって、いつしか、質から量へ、となれば“文化財”と呼ぶべき存在に、となれば、心血を注いだであろう著作者、本という型にした編集者、出版者、それを支えた読者へと思い及ぶ。
○ “文化財”として本は、現代に生きる人間社会のあらゆる面の記述であり、本なくして、現代社会は成立し得ない、本は現代社会そのもの。
○ 更に、本は“現代”を超える、過去と未来も、深くも、高くも、厚くも、失われたものも、生まれてくるものも、希望が、生きる意味が、誇りが、徳が、正義が、倫理が―――。
○ 日頃から本の敵は“水と火”それさえ防げば、と。
○ 館長たる私は、ただ単にそれらを次の世代に引き継ぐ者、その維持、管理にのみ注意すべきであったのに。この過失からの重圧に。

もうひとつの重圧
○ 私設として、全国唯一の“本格的図書館”その意味するところは、近代日本が、その図書館が何故に、税金による公共図書館しか持ち得なかったのか!私立の学校、新聞、TV、出版が民間の設立でありながら、と“文化のことは民間で”、文化のことは国の支配を離れてと!これから、こうした呼びかけをと、思う矢先、その拠点でもあった文庫別館の焼失、まあこの呼びかけも当分謹慎の陰に。

更にもうひとつの重圧
   本をめぐる環境の激変、悪化の一途“本は読まないでも生きられる”と
いう人の時代がつづいている。“読書は楽しければそれで良い”という人々の時代が続いている。一方、、  古今東西の、人の為、世の為を思った先人の古典など、書架に並ぶ、どれを取り出して読もうかと、そう、この世はこれら先人達によって造られ守られているのだと、そうした出会いを至福の時と気付く少数の人達がいる。
(当の私もその一人といいたいところだが、事実は怠け者なのだが)その間に時代は急激に、特に、今世紀に入ってから、  街から“本屋”さんが撤退し続けていく。古本屋さんは以前の5分の1に、私が通い続けた神田も早稲田も消滅の兆し、新刊書店も40%が閉店へと。
IT化、と商店のシャッター化の前に。そう確実に“本”という現物が書    架に並ぶ姿が人々から遠ざけられて―――。
○ 更に、言わずもがなの潮流が。
  そう、昔も昔、大宅壮一が「一億総白痴化」と名付けて、社会に警鐘を―
  ―若かった私も共鳴した――、その事態が二代、三代と続けば、今や時代はその完成の姿、グローバル化、自由化、効率化、規制緩和、情報過多、
   などなど、資本(政治そのもの)の暴走を見えにくくして、あっという間に個人の尊厳など、身ぐるみはがされて、貧困、過労死などなど、技術革新と金融を通じての目に見えない暴力の支配へと。その潮流の前には、地球温暖化、あるいは原発の過酷事故などの“破壊”、立直りも出来ずに、、、、
   一見平和に見える現代社会の中身は様々な病理が、、、、
   こうして、特に日本においては“希望”があらゆる世代にわたって死語となって、、、、。
   こうした私の拙い想い(焼失した3.5万点の本の群は代弁するもの)、となれば、それからくる重圧は測り知れないか!
   
終わりに
〇出火して4ヶ月余り。当初は跡地に再建などは、もっての外、燃えるものとしての本はすべて寺域外にとの声。
〇閉鎖か、寺域外での再建か、この4/20で79歳の老齢では。7〜8万もの
 現在の蔵書となると、億以上の持参金なしにもらってくれる所もないし、二束三文で処分かと、
〇寺からの出火で、当分謹慎となれば、もう貴男の時代は終わったのだ、書庫を建てるのも、本を購入するのも、なにもしてくれるなとの声も。
〇となれば、頼るは、こんな時こそ、読書、お蔭で読書三昧の日々
〇閉鎖しようにも、閉鎖もできない、ではと、暫く庫裏の一部屋を作業所に。
〇貸出再開、Amazonを通しての出荷も毎日15点ほどに、開館も午前中3時間、
 スタッフ5人に助けられて。
〇3/29日には、久しぶりに車で水戸に、本との出会いこそ私の健康法、そして200点ほど購入して、帰途に。
〇以上、近況の報告まで。

追伸
○出火当初の消防の判断、電気配線によるが「原因不明」と。となれば“もう止めろ”、やるなら寺城外でとの声も。オーナーとして、絶対に火を出さない、恐れのある電気配線はしないとの判断も、で全責任は私にあることに気付きました、遅まきながら。



 
 2016/12/25 専称寺文庫近況 その9
館長通信 No.32 近況報告その9<火災後第一報> 016 12.25

お詫びのことば
この度の火災に際しましては皆様に多大のご迷惑をおかけいたし誠に申し訳ございませんでした。また、真情あふれる御見舞をいただき誠に有難く厚く御礼申し上げます。
火元は図書館床下の電気配線のショートに因るが、原因は不明との消防署の判断を頂きました。
何はともあれ設置者として責任を痛感しております。当分の間謹慎の覚悟です。
実は早速に御礼に参上すべきところ 跡始末のため遅れ申し訳ありません。先ずは取敢えず寸書にてお礼のご挨拶とさせていただきます。
平成28年12月
茨城県筑西市乙623 専称寺  遠藤 勝三

○今日の出火に関して“本は燃えるものなのだ”と。
一度燃えれば、危険なものになり、犯罪ともなる事実です。“世の為、人の為、文化のことは民間で”などという叫びは瞬時に消えて。設置者たる私の責任は重大。
○今は許されている跡始末の作業も、再開館ともなれば、二度と燃やさない具体的な処置が。
○で、まずは、焼失建物の跡地の整備と、更地にし、新たに砂利を入れての作業が終了しました。
○跡始末の作業をと、本館の片隅に作業室を設置しました。目下、焼失本確定と図書館蔵書本からの削除に取り組んでいます。
○ 新聞、TV等で“全焼”と報道されましたが全焼したのは、新館及び併設住宅(会議室)と増設された書庫のみでした。本館(貴重な学術専門書の大部分を収蔵)を始め、6ヶ所に分散収容されている書籍は無事でした。14年前の開館の初心に戻って私設無料貸出専門図書館の運営を一部縮小の上、ほそぼそながら始めています
○ それにしても、消防署の“原因不明”という判断。設置者たる(私)にのみ責任が帰せられ、何もするなと云われているのが、今日の状況です。
まずは、御見舞を頂いた方々への謝罪とお礼にと。ほぼ終了しました。
○ 次から次へとの難題、泥沼の状態から脱出できるか、私のできる範囲でと。今のとこ  
取乱すことなく通常の生活を維持しております。
○ 火災の被害が、寺の方、そして、生活住居に及ばずホッとしています。
○ 経済の方も、お陰様ですぐにも困窮者になり果てることもありません。
○ この機会に、文庫作業を扶けてくれたスタッフ2人に止めてもらい、現在6人で(私を含めれば7人)1日3時間を限度に作業を。<火災の跡始末>
○ 当分の間、これからは、老齢のことも考えて、発展を期するほどのこともなく、現在在るものを活用する範囲に縮小して、引き続き“本を読んでもらう”運動を継続していく所存です。
○ その他
10月29日 お寺の方、創建400年記念事業
も終了し、この日記念法要を関係者多数臨席のもと、挙行されました。この機会にと住職交代もなされ、私の長男の叔希が第25世として晋山致しました。今後私は、専称寺前住職として、文庫の経営を主に余生をと云うことに。
○ 11月8日 かねてよりKKカーリルの横断検索に専称寺文庫をと申込み、“しばらくお待ちください”との回答のまま2年半が経過していました。なんとか打開したいと横浜で行われた図書館展に行き、カーリルの社長と会い、進み具合を確かめて来ました。間もなく接続完了とのことで、完了次第お知らせする旨の回答を頂きました。
直後の火災でこの件中断しておりますが。
近況を報告まで。

 

 2016/10/1 専称寺文庫近況 その8
館長通信 NO.31
近況 その8
・先日 9月4日 専称寺主催の第11回 日本の心(復興)を考える勉強会を近くの最勝寺で行いました。専称寺文庫の近況報告をしました。
・お寺が、開創400年を迎えます。記念事業として山門・本堂・客殿など、改修・新築
 境内整備など諸事業も終了に。今秋10月29日の記念法要の準備に追われています。
 同時に40年近くにわたった住職の任を長男に交代することに。
・寺を継ぐにあたってのかすかな抱負、それは“少しは面白い寺に”でした。私が若い日々、身を挺した大学改革運動(通信教育闘争)や、学校図書館運動、それを継承する筈の“民間による図書館の建設”がそれでした。お蔭で“図書館のある寺”と少しは知られ、“本を読んでもらう運動”もまあまあ元気に続けてこられました。
 この上夢を語れば枯野をかけめぐることになるでしょう。
・文庫蔵書の充実に関しては、日々心がけてきました。
 この5年ほど、以前にも言及した
 “ノンフィクションと教養”佐藤優責任編集 09年刊 講談社 を座右に。
 佐藤優、加藤陽子、佐野眞一 他7人 計10人が100点ずつ、延べ2000点を推薦したもの。お陰で2、3を除いてほぼ収書が完了したことに。
・上の文章と関連して、文庫経営者として、永い間“教養論”“書評論”を追いかけてきましたが、この春から夏にかけて私が手にした各1点ずつ紹介します。
・“教養論”の1点
 立花隆さんは前々回に言及しました。
「立花隆の書棚」013 中央公論新社―圧倒的な知の世界―なる“ものすごい本”を出していますが、ここでは次の一冊を紹介します。
 「東大生はバカになったか」―知的亡国論+現代教養論―04 文春文庫 初出01 文芸春秋刊
 この本、書名から推測して注目していませんでしたが、この3月ふとしたことから取り上げてビックリ仰天。教養論として今日右に並ぶ本はありませんと私は。東京大学は勿論のこと、大学制度、全般、小・中・高の学習指導要領、強いては文科省の教育支配が今日亡国への途中にあると。もう片方の研究面においても、その悪しき影がと。俗に“木を見て森を見ない”と云われますが、この本“森”を正面から見ていると。
・私から見て(78歳の私)本を読み始めて60年。ようやく教養論の完成された姿に接する思いで会う人毎にすすめたい一冊となりました。
・つぎに“書評論”の1点
 丸谷才一「快楽としての読書」(日本編) ちくま文庫 012刊
 この本丸谷さんの1964〜2001までの全書評600篇から日本編として新たに編集されたもの。書評そのものの力量においてはひとまず置くとして、日本における雑誌、新聞の書評の成立史を概観するものとして、この本の前半50Pがおすすめです。
・久しぶりに主要出版社100社近くに最近の出版目録を請求し、届いたものに目を通しています。まだ集められる文庫や新書にしても、良書が多数存在していることに。
 バブルがはじける90年代までは、高価な専門書も集まっていますが、それ以後は、経済的にも、置く場所にも整理にも限界に達して、次世代へと。
 学問の進歩は、その間にも目覚ましく、改めて驚く昨日今日です。
 新聞、雑誌、書評や教養論などで目にする書目は、学問の発展、ほんの“さわり”“表面をなぞっている”と云えるかも。
・内田樹さんのこと。またまたのばします。
 内田樹「街場の共同体論」 潮出版社 2014
 今読書中です。いつもながら感心させられています。
 立花隆さんは非のうちようがない“知の池”で、内田樹さんはその外で、“もうこの辺で走るのをやめましょう”と云っている気がしますが果たして。
 因みに、立花さんは1940年生まれ。内田さんは1950年生まれ。同じ東大仏文出身。
 今日はこの辺で。
 


 2016/3/31 専称寺文庫近況 その7
館長通信 No.30号
近況その5        平成28年3月31日
ご無沙汰しています。12・1・2・3と4ヶ月も発信を怠って申し訳ありません。
3月26日付、和歌山県みなべ町のAさんから以下の有難いメールを頂きました。
「エスブンコ様から本を購入したところ専称寺文庫のご案内をいただきました。 
私自身も図書館をやれたらいいなと思っておりましたが、
現実的には経済的な理由で、夢の夢かなと思っております。
そんな中住職のやられていることは、頭が下がる思いです。
ここまで、来るのは大変だったのだろうと察します。
ありがとうございます。
住職の私設図書館大変楽しみにしております。
よろしくお願いします。」(原文ママ)
一行たりとも、近況をと。
○そもそも当館は「本を読んでもらう」運動として、特に大学や大型の図書館、書店が存在しない地域に対して、その文化格差を解消せんと私設されたもの。今日まで「カーリル」連結されてはいないものの地方で開館し続け、通信による無料貸し出しを行っております。当館入口には「読んだら返す文庫」―誰でも、何点でも、手続きなしで借りられる―を始め、主としてAmazonを介して全国に提供。当館の本来の目的である通信による貸し出しは、未だ数えられる程。購入するには高価すぎる学術書、全集、探すのは困難(インターネットの今日でも)な文庫、新書が眠っています。時には来館の上、数時間かかって、数十点を選び出し、借りていく人(勿論無料)もおりますが。
○この4月で当文庫も開設して14年目。現在扶けてもらっているスタッフは8人。就職・大学進学と高校生の2人が去ります。ごくろうさんでした。
3月10日“お祝い”も兼ねて、毎年恒例となっているスタッフ一泊研修旅行に。“もう沢山”との声もあった北茨城の海の幸を頂いてきました。
○例年まとめている文庫決算 昨年の分
  入荷した本の点数  11000点  (大半は文庫・新書)
  出荷した本の点数   3500点  (来館者への貸し出しを除く)
  人件費         220万円 (時給500円のボランティア)
  管理運営費       300万円
 私設文庫ながら、借金0。寄附は頂いておりません。収入のうち余剰本を、安価で提供し、例年200万円ほど。
 残りは住職個人の年金などで、お寺の会計とは独立しています。
○私も寺の住職ですから、その寺務を第一に考えていますが、老齢の故もあって(77歳)。休息につぐ休息も、倒れない為にはと。横になっても本は読めます。枕元には読むべき本、読んでいる本が、常に4〜50点積まれています。
今日までのところ、身心に異状はなく、毎日に多忙です。
○本館、新館、その他独立したプレハブ3棟、書庫になっている室が3室、外に書庫として借りている小型マンション1室など、計9ヶ所に10数万点の本が利用を待つ状態です。
 未整理の本も2〜3万点はと。となると、未だ発展途上文庫といったところですので、毎日無理をせず、少しずつです。
○紹介したい本のこと、内田樹さんのことなど、発信すべきことも多いのですが。目下、この運動を引き継ぐ“館長”を探しています。持参金は期待していませんが。支給できる収入は、最低生活を保証する程度。NPO法人理事長として。今日はこの辺で。

 


 2015/11/15 専称寺文庫近況 その6
○毎日4、5人の方が、当文庫のHPを訪れてくれているという手応えのもと、
私も月1回は、義務として、主として、当文庫の近況を、あるいは、本に関する、読書に関する情報をと、期していますが。あっ!という間に9、10と2ヶ月ご無沙汰しております。寺の住職としての仕事のかたわら、文庫の明日を期待して、まあ、元気に、多忙に過ごしております。と云う訳で、予告しておいた内田樹さんの件は、今後のことにして、今日は私の日記からこの2ヶ月を振り返ることに。
○9月10日、近くの鬼怒川が決壊、お見舞いを頂く、お見舞いを送るなど。戦後の河川行政が改めて問われることに。
○良い陽気のうちに、秋の彼岸法要(古くてゴメンナサイ)も終わって、いつもなら来春の彼岸まで、これといって行事もなく・・・
しかし、今年は、近親の急死(9月19日)、そして、葬儀。そして、いろいろ。仏教の原点に遷って、“生老病死”の苦から逃れる倖せを佛への帰依によった「釈迦」を想う秋ともなりました。
○同じ日、安倍首相のすすめる安全保障関連法案(戦争準備法案)が。政治や法に関する出版も目立ちましたが、当文庫からも沢山の本が出荷されました。
○当市でも、かつて聞いたこともない、反対デモが組まれ、170人の人たちが参加。私も賛意を。
○全国的にも“憲法を守れ”“9条を守れ”“民主主義を守れ”の声は、世論調査にも。国民の5〜6割を示し続けるのを見れば安倍首相は、こうした事態をあからさまにした“功績者”かも。
戦前の“それでも、日本人は「戦争」を選んだ ”(加藤陽子)のようにはことは進まないのではと私。
○9月27日、久しぶりに上京。毎年つづいている、私の恩師でもある「沢田充茂先生 生誕会」なる会に、20人ほど。遠くは、鹿児島などからも。かつて、哲学科で学んだ者たちが中心。私も“長老”などと呼ばれて、乾杯の音頭をとらせられたり。来年は100年。今から準備の声も。
○10月4日、当文庫主催での行事、「日本の心」の第9回。昨年、秋にもとの計画がのびて、ようやく。今回は、近くの天台宗の名刹、観音寺を借りて。当寺は、旧本堂が江戸時代以降、一度も火災にあうことなく続き、その建て替え。数億円とかの費用、地方に在って、こんな本格的な寺院建設がと、驚くような。30人ほどの参加者にご住職の説明と見学。第二部として、昨年春出版された
樽見 博「戦争俳句と俳人たち」014 トランスビュー ¥3200
の出版記念祝賀会の意味も。樽見さんは当地在住にて60歳、現役の、そして、古本に興味を持つもの、誰もが知る雑誌「古書通信」の編集長。
数年前、創刊以来1000号を迎え、話題になり、その折、お呼びして“神保町昨今”と題して、講演してもらった、旧知の人。

私「送って頂いた、“初めての包括的研究”でもある、この本の書評、毎日新聞、朝日新聞の書評欄で見ましたが、なにしろ4〜5段の大型記事。他の新聞ではどうでした。」
樽見「ほとんどの新聞、載らなかったものはないくらい。」

○持参された大型段ボール、いっぱいの戦前の俳人の句集や結社の、そして、「改造」など、投句ではじめて原稿料が得られた、雑誌などを手にしながらの講演、有益でした。戦争責任の追及などは鶴見さんなどに任せて。とは云え大胆に切り込んで、8年ががりの労作。
私も、京大俳句の件。有名俳句の初出誌を全国の古本屋から集められた、楠本憲吉さんのこと、西東三鬼のこと、など質問して。
○いつの間にか、私の専称寺文庫にも、山口誓子や草城、草田男、楸邨、虚子、井泉水、蛇笏、風生、林火、波郷などの全集が読まれずに眠っている。今をときめく、金子兜太なども、戦前の重圧に耐えた、句表現の成果、歴史の流れを汲んでいることを知る。記すこと多く長くなるので、この頃終わり
○11月1日、当市に上野千鶴子さん!
「こんなヘンピなところに上野さんが!」とは、集会の広告チラシを見ての当文庫利用者の声。私もチラシをみて早速連絡。主催者団体の「はらんきょうの会」―この団体は、当市、明野地区を中心にこの10数年“一人ひとりの人権が尊重される平和な社会を目指して活動!している―の加藤さんに、当文庫の紹介と、このところ館長通信にて上野さんに言及していることを伝え、一度来館をと!結局、当日配布された資料、上野さん「関連書籍一覧」に筑西市中央図書館など他の施設と並んで、当文庫収蔵の本40数点が紹介されることに。
○この会、 11月1日 午後1時〜5時
         場所 筑西市中央図書館
         定員 120人   参加費無料
“映画「何を怖れる」試写会&上野千鶴子さんのトーク”
○さすが上野さんのこと。数日にして締め切り。後日知って“参加したかったのに”との声も。
「もしや、男性は私一人かも」の想いで参加。男性がチラホラ。ほとんど50代以上の女性。いわば、当市の女性を代表?するかのようなコワイ人ばかりの印象。
○映画も含めて、みなさん熱心に。上野さんも例によって(私は初見だが、彼女のデビュー当時からの読み教えられてきているので)いつもの通り、正面から。時にはジョークも交えて。
○質問の時もあって、手を挙げて“近くの寺の住職であり、無料の貸し出し文庫をやっており、この資料にある通り、上野さんの本も40数点、無料貸出している”と自己紹介。
上野さんの近著※
“ケアの社会学”011 太田出版
「朝日賞」をとった、力作にして、労作。大著でもある現物を手に“久しぶりに学者らしい学者の本に会えた。私もかつて高校時代に、かの石母田正さんの「中世的世界の形成」(初版)を読んで「学者とは、こんなにも時代の弱者達に目を注ぐものか」と感激したこと、同じ想いを、この大著に”と、敬意。
○巷では、生活保護、健保、介護保険、年金と、なんでこんな高負担を!やめてしまえと恨む声ばかり。いざ、当事者ともなれば、神さま、仏さま。今日、年金をあてにしない高齢者はごく稀。介護保険なければ、あちらこちらに捨てられる超高齢者の姿をみることにも。現代日本の社会崩壊を食い止めている根幹と。
先人の努力の結晶、なんとしても、この制度の定着をの想いがこの大著にと。○上野さん“そう評価して頂いてありがとうございます。10年かかりました、売れなくてね!”などなど。
○2度目の挙手“ご存じの古市さん※※の「保育園義務教育化」(015 小学館)をどう評価しますか、少子化という、景気回復という、出産・育児という、超高齢化という、諸課題の解決になるのでは”と。
○上野さん“古市君ね!彼は云うばかりで、実行が伴わないんだよね”
○またまた、内田樹さんのこと、次回に。長くなってスミマセン。
※今、気づいてみれば、上野さんは、この大著を、日本近代の150年ほどの、男社会の重圧下に奴隷視されつづけた女性の解放を!と。明日の平等社会、個人の尊厳としての女性解放の為の著として、執念を!私(上野千鶴子)がやらなければと。日本の男はこんなことはやらないし、できないし、家族制度の研究者たちも含めての想いがと。
<参照>
@ 信田さよ子 「選ばれる男たち」―女たちの夢のゆくえ―
講談社現代新書 09年
A 田里恵子 「女子、結婚、男選び」―あるいは選ばれ男子―
ちくま新書 012年
※※上野千鶴子 古市憲寿 「上野先生、勝手に死なれちゃ困ります」 
光文社新書 011年

<追伸>
11月17日 S・モーム 天野隆司訳「片隅の人生」015・11・10刊
ちくま文庫
―文庫初登場の長編を新訳で―と帯に
が送られてくる。天野君は私と同じ77歳。かつて、“大学改革斗争”を共にした仲。3年ほど前、同じモームの「昔も今も」に続く2冊目の新訳。その時も本欄に紹介したことも。あちこち拾い読みしていたら、当人から電話、「あれから病気しちゃってね、糖尿そして、“うつ”に。1日4回注射器を持ち歩くことに。やっと、小康を得てね、もう1冊ぐらいは」と、2〜30分。
 


 2015/8/29 専称寺文庫近況 その5
○ 7月後半から、続いた暑さ、特に、8月に入ってからのそれには、後期高齢者の私には、乗り切れるのかと。寺にとってのお盆は、1年を通して最大の行事、まぁ何とかなって、良い陽気の日々が続いております。文庫近況としてここ4〜5年、特に3・11の復興からの空白を埋めようとの想いが、つづいています。
○ ちょっと古くなったことですが、2010年11月24日に、横浜の第12回図書館総合展特別フォーラムに行ってきました。私が参加したのは、その第1日図書館政策フォーラムの第2部「地域主権と図書館―知事たちの図書館論」
なにしろびっくり、私の若い頃(20代)要するに50年も前と較べて。当時、何度か文部省(現文科省)に、学校図書館の振興を陳情に行ったことがありますが、応待は課長補佐。それが、当日、壇上でパネリスト役を担う、知事諸君は片山前鳥取県知事、嘉田滋賀県知事、北川前三重県知事、古川佐賀県知事の4人。その誰もが図書館情勢に詳しく、民主主義を進める上での、図書館の重要性。その実践として、図書館行政の推進、予算もと。
民主党政権の時の総務大臣として、片山さんは、実に「1000億円を地方交付金に入れておいた、これを生かすも殺すも皆さん(500人程の公共図書館関係者)の腕次第」との発言(後日、当地の筑西市の中央図書館にも図書充実費として別枠で1000万円が下りてきたと聞いています。)もありました。
○ 私も時間を許せば、私の文庫(私設の無料図書館。税金ではなく、文化のことは民間での主張)について、発言をと思っていましたが。
○ この点、菅谷明子「未来をつくる図書館」―ニューヨークからの報告―2003 岩波新書、世界における最先端、羨ましいほど。一日にしてならずです。当館から、すでに10点以上出荷しています。 
良書として、推めてきています。
○ この図書館総合展、毎年やっていてその年が第12回、参加する人員、企業、日本に於ける図書館の現状を垣間見て、私の想像を絶する想いを味わいました。因みに、日本人ほど本に接する機会の多い国は断トツで世界一であること、同時に、大卒までの費用の家計負担の多額さでは、世界でトップクラスなことも前々から知られています。
○ ついでに、記しておきますが、東京都立高校の全定に専任司書が置かれたのが、私の30歳の時、その実現の運動に「学校司書会」なるものを組織し、その初代会長として。私は、自分の職業を、自分で勝ち取ったということも云っておいても。
○それが、全国の小・中・高には実現しなかったことも、今日ではどうなっているのかも調べなければ。強調しておかなければならないのは、専任司書を擁する学校図書館のあるなしでは、その小・中・高校の文化格差、そして、その恩恵を受けられる高校生を考えれば、測り知れないことと。しかし、その永い間の物心両面の税金からの支援を俟って、今日の私が、と思う時、その恩を返したかとなると(古風な云い方ですが)、忸怩たる思い、当文庫の設立と開館し続けることも当然のことかと。
○ 一方、公共図書館の方は、当時、美濃部東京都知事の政策「都民の1km四方に一館」つまり歩いていける距離にどこでも図書館が。こちらは、経済の高度成長も手伝ったか、実現し、その後、全国的に図書館の設置が当然視されて、今日に。
○ 昨年の春でしたか、九州武雄市の市長が、公立図書館の民間委託を機会に町おこしに成功?とかで大きな話題になりましたが。陰で行政経費の削減。特に、人件費の。当市でも、司書資格者でも時給800円余で職員募集の広告が先日ありましたけれど。さて、その善し悪しとなると。
○ 子供図書館を別とすれば、ほぼ100%が税金による全国の公共図書館。私共の非営利無料貸出専門図書館、「文化のことは民間で!」との小さな声、あるいは、昔からの「図書館の自由宣言」の行方を想うとき、課題は尽きないと。
○ 永い間の私の想いには、“なんと卑屈な図書館関係者の思想、考え。”まるで、国の、そして自治体の下僕。「ハイハイ、ヘイヘイ」ただただ、わが身の保全ばかり。図書館が先導し、中心にならなくて、何が、民主主義かと。
○ (くどくて、申し訳ありません)更に一言。大教室で、自分の書いた一冊を読み、そこから、出題して、毎年、単位を与える。買わなければ、単位がもらえない。数行を書き直して、新版を買わせる。これが、一流大学と称される大学教授(肩書きのみ)の生業。図書館を中心に教科を展開し、調べさせ、学生、生徒の考える力を、なんてことは、夢のまた夢。多くは板書を写させ、暗記させる授業。大学も含めて、学校教育は腐りきっている。当時の教育、今日はどうなっているのでしょうか。
参照1、上野千鶴子『さようなら 学校社会』ちくま文庫 08 初出
    太郎次郎社 02
参照2、東大生 橋本治 “止めてくれるなおっ母さん!背中のイチョウが    
    泣いている” 東大闘争時代 抗議して立ち上がろうと呼びかける
    五月祭のポスター


○ 先日、No、26号で予告しておいた、佐藤優 責任編集、雑誌「現代プレミアム」の情報、「そんな名著なら是非とも当館にと」4〜5年、この足で歩いて―主として、ブックオフ(街の古書店は10年前に昔の三分の一。今はもっと減少のはず)―見つけられずにいた、名著の数々。Amazonにて入手できました。
○ 第1陣を以下に。いずれもコメントをつけたいものばかりでしたが。

1、 中井久夫  『「昭和」を送る』 3151円
2、 鶴見俊輔  『日米交換船』   1651円
3、 黒岩比佐子 『編集者 国木田独歩の時代』(角川選書)1486円
4、 鶴見良行  『ナマコの眼』    785円
5、 宮本徳蔵  『力士漂泊』(ちくま学芸文庫)122円
6、 猪瀬直樹  『あさってのジョー』   1円
7、 金関寿夫  『アメリカは語る―第一線の芸術家たち』 1円
         (講談社現代新書)(701)
8、 中島岳志  『中村屋のボース―インド独立運動と
近代日本のアジア主義』 800円
9、 石牟礼道子 『西南役伝説』(朝日選書)480円
10、加藤哲郎  『ワイマール期ベルリンの日本人
          ―洋行知識人の反帝ネットワーク』3398円
11、加藤典洋  『アメリカの影―戦後再見』(講談社学術文庫)
                          278円
※ 値段は、amazonでの購入価格です。

○ コメントの2,3。
上記の1の中井さんの本。特に表題の『「昭和」を送る』みすず書房 013年 初出がなんと1989年の雑誌「文化会議」。“中井氏による論文の中でも、確実に五本の指に入る傑作”斉藤環。この本にコメントするのは市井の一凡人に過ぎない私には“恐い”。また一気に読了するには勿体無いような。先日、機会があって、紹介したところ、老いも若きも挙げて、注目してくれたことも。
ついでながらつまらぬことをちょっと。いささか、焦って注文して送られてきたこの本、斉藤環の雑誌“文芸”、の故あってか、読み始めると、至る所に鉛筆でチェック印。しかも、新刊(在庫ある筈)より(定価3000円)高価な古書をつかまされる羽目に合うことも。
5の「力士漂泊」一読せずにして、相撲を語るなかれ。122円で手に入るとは!
7の金関さんの本、1円でした。何人もの“本読み”が名著だと、耳にタコが、やはり。なんと30年近くも前の本。
9の石牟礼さんの本、佐藤優さんの『「苦海浄土に」行く道筋』と。そのとおり。
10の加藤さんの本、文字どおりの労作で脱帽。
○またまた、内田樹論、順延、次号に。すいません。
 


 2015/7/29 専称寺文庫近況 その4
○ 先日、隣の市の大学生が何回目かの来館、午前中2〜3時間かけて、文庫・新書など、5〜60点、大きめのリュックにはみ出るほど詰め込んで「これで1〜2ヶ月は大丈夫」と。こんなに頼もしい若い人も。こんなことが続けば、開館し続ける側も嬉しいのですが。

○嬉しいことの続き、No、24に記した、自前の広告文「ご案内」を見て、当
 館のHPを開いてくれた人達が、この1ヶ月余で300人に。先日は、この
 中の一人、30代後半?の男性が遠く神奈川から見学に見えて、3時間ほど
 本館・新館をじっくり。
 ついでに、思い出しましたが、2〜3年前、こちらは20代後半のカップルが、遠く、奈良の橿原市から東北への旅行の途中、わざわざ小山で新幹線を降りてまで、見学に訪れた。「将来、こうした文庫を開くのが夢」とか。やはり、3時間ほどじっくり見学してくれ、質問に答えたことがありました。

○ 雑誌「文学界」7月号 
「反知性主義」に陥らないための必読書 50冊
新刊の雑誌なんて、めったに買ったことのない私。(新聞は朝日、毎日、東京と三部を切り抜きまでしているが)手を出したのは
中井久夫著 『「昭和」を送る』みすず書房 2013
  を選んでいる斉藤環の一文があったので。
  この本やはり、めったに買うことの無い新刊の単行本だったが、出たとき、買いそびれて今日に。
  中井さんは、No,20で紹介したように、目が離せないように、ずっと教えられてきました。
一方、斉藤環さんも。
斉藤環 『心理学化する社会』河出文庫 09 初出 03 PHPエディターズ
斉藤環 『メディアは存在しない』07 NTT出版
 〃  『ヤンキー化する日本』014 角川oneテーマ21
今日また未見ながら
斉藤環 『世界が土曜の夜の夢なら』初出 015
(第11回角川財団学芸賞を得た)が角川文庫に入ったとの広告がありました。

○ 同じ「文学界」7月号、車谷長吉さんの追悼文二編
最近亡くなられた、最後の文士(私小説家)と云われた車谷長吉さん。
今年に入って、主要な著作を読んだばかり。直木賞の『赤目四十八瀧心中未遂』1998年刊も良い出来でしたが、私には『文士の魂・文士の生魑魅』(011年 新潮文庫刊)に感銘をうけました。
上記の本、私の若い頃、日本文学に初めて接し、それも私小説から入門していって、伊藤整などに導かれながらも、今日まで文学鑑賞の私の「核」となっていることに、気付かされる、全くもって、稀有な作業と深く敬意を表したばかりの死去。合掌。

鶴見俊輔さんのこと。
○ 7/24 突然というか、鶴見俊輔さん死去とのこと。No,26であげておいたばかり。アッ!と驚くばかり、俄かには言葉も出ない。
○ 同 朝日新聞 「鶴見俊輔さんを悼む」、社会学者 上野千鶴子さんの過不足ない追悼文。
○ 今日の“知の巨人”たる立花隆さんや佐藤優さんに対置して、鶴見さんにふれた私からすれば、少しだけなぞるぐらいのことはしませんと。
○ 今年77歳の私が物心ついてから、学び、師と仰いだ先人といえば、久野収、
林達夫、松田道雄、加藤周一、中野重治、大岡昇平、石川淳など、好きな作家といえば、永井荷風、谷崎潤一郎。
○特に長年親しく、面倒みてくれ、研究室でのゼミに参加させて頂いた、“存在
 論”の松本正夫先生。そう云えば、私ほど、授業料無しで貴重な授業に参加
 し続けた者はいないでしょう。勿論、返礼の意味もあって、高校・大学内外
 での大小の研究集会の企画、読書会・研究会は20年ほど数え切れないほど
 やってきましたが。
○ 鶴見俊輔さん、吉本隆明さん、丸山真男さん、大江健三郎さんなどは私と、同時代の人。つまり、あなたはあなた、私は私、その私が選びとった現場―たまたま大学とか、高校とかの教育現場―では、戦前に平和を求めて戦い、戦後の敗戦に学んだ、上記の先人達の理想など語る場は無く、至る所に腐敗状況が深く広く浸透し、「歴史から学ぶ」なんてことは、口に出すことすら。別に「革命」を呼びかけるような大層なことではなく、ただ「改革」の旗を振ろうとしただけでしたのに。60年〜70年代、安保が終わってみれば、手も足も出ない窒息状態、内ゲバ、リンチ、総括などと呼ばれる暴力が底辺をさまよい、過激派とかの血で血を洗う状況…
○ 今日の、底辺労働者の悲哀を予想させ、一方で、“企み”“憎悪”“怨念”
 “嫉妬”の渦巻く状況が。傷つき病む者、自ら命を絶つもの。私の周囲にも多く見られるようにまで。
○ 高度経済成長、異常に膨張する消費文化…。これでもか、これでもかと再生産される欲望のシステム化。
○ 「学ぶ」とか「よりよいものへ」とかにただよう上昇指向から底辺へ、自らの足元のことへと、舵を切ったことまでは、憶えておりますが、その後は、何を目標にしていたのか、さまようばかり。
○ 目に余る女性蔑視。
○ 今になって、振り返れば、日本の近代150年余の歴史は「成り上がり」の仕業かと。勲章を欲しがり、肩書きを求めての、終わりの無い権力闘争。
○ かくて、私に残された道は“世捨て人”、僧職に。いずれ、仲間入りしてくる次世代に託す想いが私設図書館の設立へと。少しは足を地につけて。
○ 鶴見さんや吉本さん、丸山さん、大江さんなどは、真に耐えに耐えて、まあ良くガンバッテ、エライと。
○ そんな訳で、私の文庫には―私には読む時間は残されていないものの―彼らのほとんどの著作が、読まれるのを待っています。
○ つい、最近手に取った
内田樹 白井聡 『日本戦後史論』 015 徳間書店
白井さんなどは、私より40年も若い人。未見ながら、前著
『永続敗戦論―戦後日本の核心』 013 大田出版
につづいて、“戦後とは何だったのか”と見直され、書かれてしまって(内田さんも含めて)本当に情けない限りです。ゴメンナサイ!!
○ No,26で、内田さんのことを予告しておいて―次回にまわします。
○ 「一人よがりの極み」と、非難覚悟で自らの想いを記して鶴見さんを追悼します。長くてすみません。合掌。


 


 2015/6/29 専称寺文庫近況 その3
前回、登場していただいた上野さん。その後、読んだもの2点.

○ 上野千鶴子・湯山玲子『快楽上等!』―3,11以後を生きる―
初出 2012年10月 幻冬舎文庫 2015年4月10日
私は雑誌を含めて、新刊を読むなどめったに無いのですが“上野千鶴子”、“3,11以降”となれば話は別。この本は初出以降、2人それぞれのあとがき、更に「文庫版あとがきにかえて」の一章を加えたもの。
2Pの女優 小泉今日子の解説―生き方の受験勉強―。おすすめ。
私ごとき高齢者からみれば、こういう自立した女性達が生まれている時代なんだなあ!と共感しています。

○ 上野千鶴子 古市憲寿『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』―僕らの介護不安に答えて下さい―
光文社新書 2011年10月20日 
この本ヘンな書名で損しているかも?“原発”“平和”“沖縄”そして“もろもろの社会病理”なんぞは庶民にとって、縁遠いこと。ほとんどの人々、誰もの足元の現実、避けて通ることの出来ない、「年金制度と介護保険がもたらした家族制度革命」について、データをもとにしての客観的な記述、教えられること多々でした。

ついでに、変な書名で見過ごすかもしれない良書を2点。
○ 三砂ちづる『オニババ化する女たち』―女性の身体性を取り戻す―
光文社新書 2004年
この本の帯に「とにかく抱腹絶倒の目からウロコの本である、、、、」内田樹
誰も言わなくなったいちばん大切なこと
私も読んで感じ入り、すでに男女問わず、何冊も差し上げたり、すすめたりしています。
○ 三砂ちづる『不機嫌な夫婦』―なぜ女たちは「本能」を忘れたのか―朝日新書 2012年
すばらしい女に、すばらしいカップルになるには、避けては通れない本です。「オニババ―」の続編

さて、今日は佐藤優さんの登場です。

“佐藤優 責任編集
    『現代プレミア・ノンフィクション※と教養』
           (講談社MOOK)2009年刊”
・館長通信、4年間の空白時代、私が最もお世話になった本です。気付いたのが遅く、2011年
・3冊ほど求めて、1冊はスタッフに参考にしてと差し上げ、1冊は、当文庫に登録済みのものは赤で線引きし、以後、座右においては、新たに入荷したものを他色で線引きといった具合、ノンフィクション界で名の知れた強者10人が100点ずつ、短評をつけて。まさに一大金字塔。文庫責任者としては待ちに待った、なにものにも代え難い1冊でした。
・今夏にも、その仕上げとして、手にいれられるほどのものは、すべて、集中して手に入れ、登録する予定です。その数は50点ほどです。40年〜50年にわたる私の集書にもかかわらず、初めて知る著者名、初めて知る世界などなど、この作業を終了して、ようやく一人前といったところ。
・佐藤優とは何者か!?※※
 次回にも紹介しようとする内田樹と同様2000年以降突如として躍り出た人物。デビューして未だ10年、驚きです。
・この本に対する評価も高く「広大で、豊饒なる世界」「こたえられない世界」などと。
・私にこれだけの課題と知る楽しみと方向性とを与えてくれたこの本、つまり佐藤優、以下講談社の編集スタッフに敬意を。更にそれらの“名著”をものした人達(作者)、そして、読み評価を与えた人々に心から敬意を。
・にもかかわらす、3,11の原発以降は筆者を含めて等しく、その不明を詫びねばならぬこと。あ!あ!
・更に、冒頭にふれた女性問題と家族制度の崩壊、少子化、情報過多と消費文明といった個々人が避けて通れない、生活の根底をめぐる課題―従ってもろもろの社会病理の発生源―について直接言及する著作の少ないことに気づくことも。

※ 「ノンフィクション」とは?元の意味は創作の混じらない読物。たとえば、記録文学、紀行文、歴史などと辞典に。図書館経営からみると“教養論”“読書論”“書評論”学芸論”文学論”などなどが加えられ、それらは重なる部分が多いが、それからはみ出している部分で独立した読物。この本のおかげで今後の集書の際の重点項目のひとつに。
※※佐藤優とは何者か。
  1960生まれ。55歳。同志社大学院 神学専攻の修士。クリスチャン
元外交官。睡眠時間は一日平均3時間で充分という強者。単著書が50点余、共著が30点余、その他、翻訳、雑誌、マスメディアと膨大。
◎2005年『国家の罠』。2007年 新潮文庫、第59回毎日出版文化賞 特別賞
・加藤陽子「この本1冊で、世の中の見方を一変させた」と、上記ムック本
 P26
・魚住昭「とてつもない知力、とてつもない表現力、この作品を読んだときの衝撃は今も忘れない」 同 P48
◎2006年『自壊する帝国』2008年 新潮文庫第5回新潮ドキュメント
 賞。第38回大宅壮一ノンフィクション賞
・魚住昭「作品の完成度では『国家の罠』を上回るかも」同 P49 と。
◎私(館長)は、遅く
 2006年『獄中記』岩波書店 改訂版 岩波現代文庫 2009年
 が、岩波書店から出版されたので注目、しかし読むのも大変で通読程度。彼
 が獄中で勉強したマルクスやヘーゲル、ハンナ・アーレントやハーバーマス、私達が、それらと取り組んだのは、はるかかなたの30〜40年前。いやはや、なんと云い訳したら良いのやら。ただただ敬意。そんな訳で、つまみ食い程度ながら、ひとつ紹介、3,11以前の本ですが、立花隆・佐藤優『ぼくらの頭脳の鍛え方』―必読の教養書 400冊―文春新書 719 2009年刊
 立花隆 誰もが知っている知の巨人。であるが故に―特に科学に強いと自負してもいる―原発に関しての不明を、誰よりも責任を感じている筈、私は注目しています。
『立花隆の書棚』・2013・3 中央公論新社刊 によると、
『原発は本当に危険か?―フランスからの提言―』 原書房 2011 C.アレグレ D.モンヴァロンの証言によると、「今回のような事故は起きえない」     P122 (立花本)引用しています。
しかし、また知っていたなら何故声を大にして改良型がすでに稼動している事実を言わないのか?今後も注目です。 
◎とは云え、戦前も含めて昭和〜平成のこととなると、例えば、“鶴見俊輔”
・ 鶴見俊輔・上坂冬子『対論・異色昭和史』2009年 PHP新書 591
・ 鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二『戦争が遺したもの』―鶴見俊輔に戦後
世代が聞く―  2004年 新曜社刊
 立花も佐藤も、“今”の人、闇は深く、そしてつづくか。
今日はこの辺で。


 


 2015/5/31 専称寺文庫近況 その2
○ 残念ながら「カーリル」接続の件、未だ成らず。技術的面などすべてクリアしたものの「カーリル」側作業の順番待ちで2ヶ月近く。「しばらくお待ちください」と担当者。
○ No.24においてご紹介した―たどりついた自前の広告―「ご案内」、当館からの、出荷本にはさみこんでみましたところ、事前の予想では、まあ10人に1人ぐらいはHPを開けてくれるのでは?と期待しておりましたが、なんとほとんどの人が開けてくださっていることが判明いたしました。嬉しい限りです。まだ実行して半月あまりですが。
当館にITを使って注文する程の「本読みの方々」ですから、新聞や雑誌に紹介されるのとは、質が違います。今後、大変、期待するところとなりました。
ちなみに、一昨年は9000、昨年は6000点ほど出荷しています。
○5月18日筑西市中央図書館にて実施されたTRCスタッフ MARC研修
に私を含めて5人、各自PCを持参して特別に参加させてもらいました。
学ぶことが多々あったと思います。今後、一層の相互交流を期待しています。

“上野千鶴子さんと原発のこと”

さて、緊急度において、重要度において、避けて通ることの出来ない課題は、
なんと言っても“原発”にからむものです。ここで登場してもらうのが、上野千鶴子さんです。
5月19日付け、朝日新聞、夕刊、「読書日記」(担当 上野)。ここで4点の日本における最新の原発に関する著作を紹介し、彼女自身の現時点での認識を示しています。その内の1点、青木聡子著「ドイツにおける原子力施設反対運動の展開」 2013、ミネルヴァ書房―この本は著者の青木さんが東北大に提出した学位論文ですから、未だ若い人なのでしょう。残念ながら、私には、読む力量がありませんが―
この若い著者が、この本の『あとがきで、ドイツの原発政策転換(脱原発のこと)の「最終的に引き金になったのが日本における事故であったことに、言葉では形容しがたいほどの悔しさと無念さを抑えきれない思いである」と著者は書く』と上野、更に『1970年代にさかのぼる学生運動の世代による「親世代の糾弾」―――「ナチスの台頭に対して何もしなかった」親世代に、戦後生まれの若者は、「こんなドイツに誰がした」と詰め寄った』と。ひるがえって『今では「こんな日本に誰がした」と若い世代から詰め寄られても言い訳できない立場』(上野)にいると。※
私より10歳若い上野さんのことについて記すのは、次の機会にまわして。※※
私にも以下のような思い出があります。20歳 都心の定時制高校にて、働き始めた頃、面倒みていた図書委員会主催で、秋の学園祭(星稜祭といった)に一橋大学の上原専禄さんをお呼びしたことがありました。さすが大物、校長を始め全定の教職員が、前席にずらっと。生徒、父兄、満員の講堂。恐いもの知らずだった私や生徒達が、突きつけた講演題目は「何故、戦争は防げなかったのか」、まあ云ってみれば、こんな日本に誰がした、その責任はといったこと。
上原先生はそんな若気の至りに対して、今思えば真正面から応じて下さり、トツトツと、さながら、沈思黙考。
いやはや、ゴメンナサイは私も上野さんと同じ。※※※
ちなみに、館長通信No.13で紹介した、「世間論」を課題としたドイツ中世史専攻の阿部謹也さんは、上原さんの愛弟子であり、阿部さんも忠実な上原門下であったことを認めています。※※※※
ついでに、ご子息の上原淳道さん(中国古代史専攻で99年他界)もこの親にしてこの子ありと評されていることも。

追記
ちょっと面白くない記事でゴメンナサイ。
※上野さんの「ごめんなさい」の初見は、「女たちのサバイバル作戦」 文春新書933 013刊の“結びにかえて”P334
※※012年、朝日賞をとった学位論文にまとめられた大著“ケアの社会学”を含めて、単著だけでも30数点、共著・編著など膨大。長い間、教えられてきた。
※※※私の将来なんてたかが知れていると、40歳(1978年)の時、謝罪・懺悔して坊主に。無料貸し出し専門私設図書館を設立して、次世代に。
※※※※新聞、赤旗、05,7,18 日曜インタビュー、他「自伝」


 


 2015/4/1 専称寺文庫近況 その1
ご無沙汰しております。
開館して早や12年、専称寺境内の表通りにまずまずの新館(主に文庫、新書を架蔵)を開館させて6年目、現在本館、新館、別館、の他小さな書庫が三棟、更に整理を待つ本が寺のあちこちに!助ける人も6人、私を含めれば7人が本の整理に、出納にの昨今です。
これらの本、そして、その整理作業に、いつかは陽の当たる日をと、夢見てる昨今とも云えます。
時折、訪れる利用者の方は、異口同音に“こんな所に こんな多量の良書が その上無料で借りられるとは!”と云ってくれてはいます。しかし、“良い本”となると読むのは更に大変なことのようです。
“読んでくれるのなら”と、アマゾンを通じて、一昨年は9,000点、昨年は6,000点(主として余剰本)を出荷したりしていますが、ほとんどの新聞が大きく、好意的に、数度にわたって、幾つかの雑誌、広報等の紹介記事にもかかわらず、当館本来の目的である“通信による無料貸出”はほとんど動いていません。
そんな訳で、この数年整理も徐々に進み、貸出注文にも対応できるようになりましたので「起死回生」の第一段として、以下の「ご案内」の文を出荷本にはさみこむことに致しました。利用する人を求めて、自前の広告にたどり着いたことになります。
そんな訳で、この数年整理も徐々に進み、貸出注文にも対応できるようになりましたので「起死回生」の第一段として、以下の「ご案内」の文を出荷本にはさみこむことに致しました。利用する人を求めて、自前の広告にたどり着いたことになります。

                      ご   案   内
                                     2015・4・1
「エスブンコ」からのご購入ありがとうございました。当「エスブンコ」は『専称寺文庫』
― 無 料 貸 出 専 門 私 設 図 書 館 ―
の古書売買(古物商認可済)を取り扱っています。
上記『専称寺文庫』は、宗教法人浄土宗「専称寺」の住職(専称寺文庫館長)が
“本を読んでもらおう”
“本を利用してもらおう”
との目的で私的に開設し、12年目になります。現代版“寺子屋”です。
約40年間に集められた10万点以上の蔵書、そのほとんどが出版社品切、絶版のもの
―人文、社会科学、文学・芸術系の研究・専門書を中心に、文庫・新書など―
を(インターネットによる検索可)無料貸出(現物送付可)しております。
一度、当文庫のホームページを御覧下さる様、お願いします。


 


 2010/6/25 番外
 今回は、お寺の檀家でもあり、近くにも住み、当文庫の優等生(貸し出し本の数、読書量で断トツ)Yさんの“読書日記”から書名、著者名を紹介したいと思います。読まれた本が100点に達した平成21年初めに提出して頂きました。Yさんは私より少し年長で、この地の女学校を卒業、その後、東京にて学び、働いたこともあったようです。当文庫が仮開館して間もない頃(06年10月)「住職さん!若いころから郷土の作家、長塚節(隣り町の下妻の出身)の「土」を読まねばと思いながら今日まできてしまいました。その本あるでしょうか?」で本に関するお付き合いが始まりました。1度に5冊の文庫本、私が読んでおすすめしたい本。Yさんと話す中で、これならばと取り出した本。時には挑戦してみてはと、そそのかした本。同じように、これは読まねばならない名作だからと押し付けた本。Yさんの方から希望された本。など様々ですが、無理をしない、楽しく面白くとなれば、殆どが日本の小説となりました。こうしたお付き合いは今日も続いており、また近日中に200点になりましたら紹介したいと思います。

追記 読み手が女性ということもあり、女流作家が多く選ばれています。

長塚節
放浪記 林芙美子
伊豆の踊り子、雪国 川端康成
山の音 川端康成
掌の小説 川端康成
白き瓶 藤沢周平
少将滋幹の母 谷崎潤一郎
幸田文 ちくま日本文学集より
悉皆屋康吉 舟橋聖一
天狗争乱 吉村昭
武家の女性 山川菊英
夜明け前第一部 上 島崎藤村
夜明け前第一部 下 島崎藤村
夜明け前第二部 上 島崎藤村
夜明け前第二部 下 島崎藤村
近代美人伝 上 長谷川時雨
近代美人伝 下 長谷川時雨
時は過ぎ行く 田山花袋
日の名残り カズオ・イシグロ
遍照の海 沢田ふじ子
迷路 野上弥生子
吾妹子哀し 青山光二
婉という女・正妻 大原富枝
家 上巻 島崎藤村
家 下巻 島崎藤村
永井荷風 ちくま日本文学全集
湯葉 芝木好子
魂萌え 上 桐野夏生
魂萌え 下 桐野夏生
あらくれ 徳田秋声
一期一会、さくらの花 網野菊
花影 大岡昇平
織田作之助 ちくま日本文学全集
私小説 瀬戸内晴美
山本有三
プールサイド小景 静物 庄野潤三
老妓抄 岡本かの子
和菓子屋の息子 小林信彦
姥ざかり花の旅笠 田辺 聖子
澀江抽齋、外2編 森鴎外
色川武大
細雪 上 谷崎潤一郎
細雪 中 谷崎潤一郎
細雪 下 谷崎潤一郎
鎌倉のおばさん 村松友視
路傍の石 山本有三
青山二郎の話 宇野千代
菊慈童の話 円地文子
武蔵丸 車谷長吉
千すじの黒髪 田辺聖子
日本婦道記 山本周五郎
戦いすんで日が暮れて 佐藤愛子
阿修羅のごとく 向田邦子
おはん 宇野千代
血脈 上 佐藤愛子
血脈 中 佐藤愛子
血脈 下 佐藤愛子
夫の始末 田中澄江
おさん 山本周五郎
生々流転 岡本かの子
タマや 金井美恵子
なまみこ物語 円地文子
素足の娘 佐多稲子
津軽世去れ節 長谷部日出雄
青磁砧 芝木好子
樅ノ木は残った 上 山本周五郎
樅ノ木は残った 下 山本周五郎
老いては人生桜色 吉武輝子
馭者の秋 三木卓
蝉しぐれ 藤沢周平
リツ子その愛、その死 檀一雄
わが住む村 山川菊栄
花衣ぬぐやまつわる 上 田辺聖子
花衣ぬぐやまつわる 下 田辺聖子
ノラや 内田百聞
斜陽 太宰治
わたしが生きた(昭和) 澤地久枝
或る女 有島武郎
秀吉と利休 野上弥生子
妻の部屋 古山高麗雄
やまあいの煙 重兼好子
愛妻記 新藤兼人
林芙美子随筆集 林芙美子
抹香町路傍 川崎長太郎
おいしい人間 高峰秀子
古道具中野商店 川上弘美
人生軌跡 竹西寛子
雛の家 久世光彦
アカシヤの大連 清岡卓行
不如帰 徳富蘆花
樹影 佐多稲子
抱擁家族 小島信夫
峠 上 司馬遼太郎
西行花伝 辻邦生
巷談 本牧亭 安藤鶴夫
幕末の水戸藩 山川菊栄



 


 2010/5/25
 今日こそはと思いながら、一年半もご無沙汰しています。風邪ひとつひかずに元気に過ごしています。“老後の楽しみ”として仮開館して早や7年目、新館開館して1年余り、助ける人もあって、火曜日休館以外、開館し続けています。利用する人も限られていますが、私の目の黒いうちはと、しばらく開館し続けられそうです。
さて、この一年半、自分で言うのも変ですが、本当によく勉強させられました。新館開館という、いわば「地域」に乗り出していくのですから、少なくとも本に関しては現役たらざるを得ません。さらに文庫(図書館)としての体裁も。もうひとつ、政権交代があって、ほとんどの本の評価が変わらざるを得ない。これからは勿論、今日までのものも。書き手も読み手も。さらにもう一つ活字による文化というものがIT化によってどうなっていくのかにも目を向けなければ!どうやら峠もみえてきたので大変ですが、少しずつ対応していきます。今日は私への励ましの一文を頂きましたのでそれを。

「遠藤さん、奥様、皆様、ご無沙汰しております。哲研でお世話になったSです。澤田先生他界後は、めっきり皆様とお会い出来る機会も無く、寂しくも残念な思いでなりません。
ところで、ここ数年は慶應150年イベントで盛り上がり、今年はSFC(湘南藤沢キャンパス)20周年で盛り上がっています。日本は失われた20年に加え、老齢化社会の最先端を走っています。もはや、手本とするものは何処にも無く、日本は日本を創生しなければなりません。にも関わらず、相変わらず人は答えを欲しがり、ましてや最適解を求める人が多すぎます。保証を求める人が多すぎます。自分探しをする人が後を経ちません。答えは自分で創るものだし、そのためには静的知識(例えば書物)と、動的知識(例えば地域活動)と、それらの融合力(マネジメント)が三位一体となり、アクティブに進める人物像が期待されます。今の世の中、保証書は誰も発行してくれませんし、仮に発行して貰ったとしても、あまり意味はありません。例えば、学歴とか卒業証書などには賞味期限がある。賞味期限を引き延ばすには、常に日々鍛錬を繰り返す以外、方法はありません。先に語った静的知識・動的知識・融合力の自己トレーニングです。そして、自分探しをやめて、自分創りをしなければ、日本は潰れます。
・・・遠藤さん。上京される事があれば、是非連絡ください。たまには、哲学話で酒を飲みたいものです。
では。
/S(今、村上春樹の1Q84 BOOK−3を読んでいます)」 2010.5.14

●館長一言
昔を思い出し敬意をもって読みました。そう言えば昨年暮、群馬の皆さん(あなたより少し前の)に招かれ、歓迎され一泊してきました。ついでに、このところ私が精読し、まわりの人達にもすすめている本を紹介します。

@ 宮台真司、福山哲郎「民主主義が一度もなかった国、日本」幻冬社新書 09.11.刊

A 宮台真司「日本の難点」幻冬社新書09.4刊

B 宮崎哲弥「新書365冊」朝日新書06.10刊

それに、吉本隆明、小林信彦、橋本治の本沢山。
私、72歳、4〜50代の若い人に教えられてもいる昨今です。
今日はこの辺で。


 


 2009/1/22
あっという間に半年が!見限った方も多いかも。とりあえず謝罪して。毎日少しずつですが従来からの貸し出し作業。と云ってもほとんどありませんが。それに08年夏に建った新館開館作業に追われています。未整理の本がまだまだ多いのですが1月中には新館1F部分に新書、文庫本約3万冊を。入館し、見て、選んで、貸し出し。それをもって新館開館といたします。勿論無料です。
新書では岩波、講談社、中公の80%、文庫本でも岩波、中公、新潮、文春などのやはり80%、いづれも出版社に在庫していないものが中心です。専称寺文庫新館が建って半年、何時開館するのかと問い合わせ、期待されてもいました。さてどう展開するのか判りません。早く助ける人が名集り出てくれ、開館し続けられればと願っています。
「毎日新聞」に
08年9月30日付 毎日新聞茨城版に「新いばじんP」として当文庫が大きく紹介されました。(当HPに載せてあります)
「本」の本
No.22に村上龍に言及してのち半年、課題があり過ぎて困ります。この数年、朝日、毎日、東京の三新聞の切り抜き作業をしておりますが、内外の政治、経済の動きは私の人生の50年余を振り返させる、生きる意味を考えざるを得ない程のものです。それだけに私も良く勉強させられました。そもそも当文庫の開設そのものが微力ながら今流行りの言葉で云えば「知的格差」の解決を目指したものなのですから。今後文化面に及ぼす影響に当文庫が応えられるのか?

橋本治「乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない」 集英社新書 05‘
今、橋本治にはまっています。昔
「窯変源氏物語」全14 95年刊 中公文庫 初出1991年中央公論社
を手に取って「ワッ!これだ!」と叫んで、それまでの古典注釈書の色々を参考にしていた私を驚かせた記憶がよみがえります。08年度の毎日出版文化賞になった「双調平家物語」まで手元に数十冊、「橋本治とは何者だ」と呻きながら格闘している昨今です。どの本もベストセラーに近く読まれている様です。橋本治を卒業するにはまだ時間が必要な私から見て、日本の読書水準の高さに驚いている次第です。

鹿野政直「岩波新書の歴史 付・総目録1938〜2006」 この本 No.17にあげておきましたが、今度、版元品切れ本の8〜9割を当文庫に並べてみると、それの日本の近代に占める価値の重さに改めて敬意を。ついでに
「図書」臨時増刊08.11月刊 岩波書店−岩波新書創刊70年記念−
「私のすすめる岩波新書として218名の寄稿」
を紹介しておきます。無料配布です。

中井久夫 「臨床瑣談」 みすず08‘ があちこちで書評されています。私は80年代の始め、フトしたことから精神医学の本を手にとるようになりましたが、なかなかとっつきにくく中井さんの「治療文化論」岩波現代文庫01’ 初出「岩波講座 精神の科学」第8巻所収 概説−文化精神医学と治療文化論 1983岩波書店刊− に出会い、それから著作集全6巻、岩崎学術出版1984〜に始まりその後のほとんどの著作に敬意を払ってきました。

今日はこの辺で。


 


 2008/6/10
早いもので、もう5月もおわり6月に入りました。過ごしよい季節が続いています。ミャンマーに続いて、中国と自然の大災害が報じられ、心も痛みます。

仮開館して4年目、私もこの4月で70歳になりました。相棒の実兄も72歳。月に一度は館長通信をと心掛けながらも、先送り、私どもの様な寺の住職は毎日が日曜日なのに、何一つまとまりません。生老病死の苦しみも人並みに味わう昨今です。
●「文庫新館」建設の件
この6月18日が受け渡し日と、東京渋谷の山並建築事務所 −ここの社長の山並氏(60歳)は、今から35年も昔、私が大学を拠点にやっていた「哲研」に参加、以後つき合いが続く仲間。施工は彼の頼みなら何でもと信頼する土浦の矢島エジソン− から知らせてきました。
資金の都合もあって、2階床の部分は第2期工事にまわし、完成すれば60坪弱。外からみれば“なんだこんなものか”でしょうが、私にとっては精一杯。はじめから生活費は折半できている妻、そして家族から多額の借入金で。勿論返済するつもりです。私のような年寄りが何でこんな冒険をやらねばならないかと問われれば、6年前に事故で逝ってしまった私共の次男への追善。お世話になった社会への還元のつもり、といえば笑われるかも!
「文庫新館」の開館へ
さて、これから本の移動と整理です。さしたる助人も期待できない現状、勿論資金も皆無。ただただ健康体第一、倒れないようにと念じ、貸出業務は続けながら約半年ぐらいかかりそう。大変な作業ですが、段ボールに入ったままの何万もの本が陽の目を見る。(集めた当の私自身が驚くほどの名著が浮上してくる楽しみも)そして当館にとって常につきまとう最大のリスクと云えば利用されないこと。しかし、これも無から始めたのですから、無に還えると思うことに。今はただ“良い文庫”になるためにやることはやる。
●久しぶりに助人あらわる
そんな訳で、まずは利用されなければ、それには利用したいと思っている人に知られること、それも一度にどっと来られても対応できませんから徐々に。5〜10年ぐらいはかかるか。その意味で新聞などのメディアに頼るしかありません。この5/24には期せずして、筑西市広報、読売新聞(以上2回目)、毎日新聞の取材を受けました。
「本」の本
仮開館して3年余り、それまでの私の目標 −集めた5万点余りの学術書を整理して無料貸出し専門文庫として開館し、以後は余生を楽しむ− が大きく変わりました。新館を建てる。地域の文庫として親しまれる。それに相応しい蔵書をと。こうして文庫、新書を中心として、5万点以上のものが集まりました。最近は選書、そして読書と私にとって思ひもかけず勉学の季節、勉強の「し時」ともなりました。坊主 −世捨て人− となって30年「見ざる、聞かざる、云わざる」の知的怠慢をどうやら脱出した?脱出させられたように思います。やはり勉強は大切なのかと、この歳になって。開館という私の作業は常に自分は何をやっているのだろうか、こんな事をして何か意味があるのだろうかとの自問自答をともないます。時代と社会との対話を当然ながら強いてきます。さて、こうしてたどりつかざるを得なかった第三の拠点 −ニューヨークからの報告「未来をつくる図書館」そして雑誌専門の「大宅壮一文庫」に次ぐ− として。

村上龍 「希望の国のエクソダス」 文春文庫02 初出:「月刊文芸春秋」98.10〜00.5 文芸春秋社00
を上げておきます。私にとっての村上龍というやっと追いついた課題は今後の事ですが、前記のウォルフレンの日本版とだけ云っておきます。ウォルフレンと云えば
「世界が日本を認める日」 PHP研究所05
も今日の日本にとって大切な本のようです。
●「本」の本つづき
田口久美子 「書店風雲録」 本の雑誌社03 / 初出:ちくま文庫07
この本、坪内祐三「貴重な1980年代の精神誌」と云うが、それ以上に刺激的かつ大切な本だ。

長山晴生「偽史冒険世界」− カルト本の百年 − 筑摩書房96 / ちくま文庫01
この本、大衆文学賞を受賞したもの。4月の新聞に −歯科医の傍ら34作目の著書− 記事を見てびっくりしたが、私の手元にも10点ほど、いづれも目が離せないものだが「おたくの本懐」前出と並んで力作。

小谷野敦 「すばらしき愚民社会」 新潮文庫H19 / 初出:新潮社H16
小谷野敦 「バカのための読書術」 ちくま新書01 書き下ろし
山田昌弘 「希望格差社会」 初出:筑摩書房04 / ちくま文庫07
この本「格差社会」論の火付け役となった書の由だが精読に価する本だ。社会学的限界もあるが、私にとっては村上龍への橋渡しの役目となった。
●本の本 番外編
最近のテレビNHKスペシャルから。NHKの看板番組の由だか昨年の「ワーキングプア」今年に入ってからのEUからの報道。先日の地球温暖化など映像 −百聞は一見に如かず− の強烈さと構想のなみなみならぬ努力の跡が見られ目が離せない。上記のウォルフレン(オランダ人)のこともあって、私の目の前にEU関係の本10点以上、読むのも大変。

長くなりましたが今日はこの辺で。


 

 2008/3/13
3月に入ってしまいました。春の彼岸を前に何かと多忙です。ようやく暖かくなり、今朝はウグイスの鳴き声を聞きました。
文庫建設の件
2/6 小雪ちらつく寒い日「地鎮祭」を仏式で。その後、基礎工事を経て今は2階建ての木組の最中です。今後を考えると、ズッシリと重い荷物。逃げるに逃げられないといった心境。個人で支えるなんて!
●データ化の件
文庫、新書を主として5,000点追加。計58,000点が近日中に検索可能になります。
● 「仮開館から本開館に」向けて
前号に「未来をつくる図書館」−ニューヨークからの報告− 岩波新書03年
を拠りどころにと記しましたが、もう一つ「大宅壮一文庫」1951 「雑誌専門文庫」として開館し、今では年間8万件の利用とか。私設図書館から脱皮して法人化されたとはいえ、ルーツは当文庫と同じ。有料で貸出不可とするが世の為、人の為活動中。
さらにもう一つ。前にも紹介した北九州市の谷口雅男さんが始めた「文庫専門図書館」マスメディアに紹介される事数百件、注目され、激賞され、私も参考にとずっと追いかけていましたが、どうも02年以降動いていないようです。
やはり開館し続けるのは難しいのかなと!

前号に「日本の図書館の何と遅れに遅れていることか!」と記しましたが、なにも図書館のみにあらず“ワーキングプア”の件など“日本沈没”−エコノミスト最新号−と云われ始められるなど、各方面の病理現象が報じられています。この辺の事、前記のウォルフレンがもう10年も前に予告したとおりです。
● 「本」の本つづき
今年の雑誌「みすず」読書アンケート特集08.1、2月合併号。注文し、ざっと目を通しましたが、あれもこれも当文庫に所蔵したいものばかり。勉強している人はしているんだな!と。前記した「私も現役に帰っただなんて」とんでもない。私ごときが、おこがましいにも程があると反省しきり。

吉本隆明「読書の方法」−なにをどう読むか−01.光文社
さすが吉本隆明。むかしむかし彼の「言語にとって美とは何か1・2」−角川文庫−
を研究会に於いて取り上げた頃を思い出し、私は怠けて、彼はずっと第一線で。この本、第一級の読書論としか今の私には云いようなし。

雑誌「論座」08‐4月号 朝日新聞社 特集「理想」の書評を求めて
この雑誌33ページにわたり、英、米、仏、独の書評例ならびに現況を記したもの。今日までまとまって紹介された例を私は知らず、一読、勉強になりました。
●「館長通信」について
文庫の近況を知ってもらおうと始めたのがこの欄。何の反響もないことから、ひとりよがりというか孤独な作業に終始してきました。
しかし文庫HPの「窓」ですから、このHPを覗いてくれる方がいる以上続けます。どうせ続けるならば少し工夫して読んで楽しくかつ、為になるようにしたいものです。
そこで、前述した私の現役としての分野を「本」の本の世界とし、短文の書評を含めてその周辺をずっと追い続ける事に致します。

今日はこの辺で


 

 2008/1/31
・1月も終わろうとしています。当寺は鐘付き堂もなく、年末は静かなもの。半ばを過ぎて極寒の日が
 続いています。
・たまる切り抜きを待つ新聞。読まねばと積み重なる本、本、また本。
・1/2 宇都宮TOBUの古本市に車で。そういえば、昨年の10/5には、久しぶりに高円寺の西部古
 書会館に。足をのばして荻窪の、今は中央沿線で有名になった「ささま書店」へも。老店主も健在。
●「仮開館から本開館」に向けて
70歳になろうとする私にとって新館建設なんて大冒険、無謀極まること。しかし・・・である。
いづれにしろ最後の正念場。まあまあ健康で、もうしばらくは寺の住職を勤められる間に。
 
そんな訳で、これからの半年あまりの開館まで
@文庫が当面する克服するべき課題 → 将来も生き残るための−−−
A経営する私の力量 何をやらねば。何ができるのか。
について 自問自答し、その際下記の本を拠りどころに、成案作りに。
菅谷明子「未来をつくる図書館」− ニューヨークからの報告 − 岩波新書03
●当文庫が紹介されました。
07.12.24 産経新聞(茨城版)くろーずあっぷ − ネットがつなぐ本と人 − 大きく写真入りで。
同じく12.31 日経新聞 街かど人物館「私設図書館運営」と題して、全国版としては2番目、当文庫紹介
記事を載せてもらいました。
お蔭で今回、一新されたHPのアクセス件数も1,200を超えました。しかしHPを覗いて検索した上で会員
にと申し出る人はおりません。まだまだ信用されていないのでしょう。
●「本の本」
まず前回で紹介した、
長山晴生「不勉強が身にしみる」 − 学力・思考力・社会力とは何か − 光文社 新書05
買って読むに価する本だとしか紹介できないのが残念ですが、この本を含めて私の目の前に文庫、
新書が7点、そのいづれもが冗漫なところなく、時には鋭く、この100年余りの日本人の日常生活に
ついて、私達の持つ目線に沿って、改善すべき点を上げ、その論拠も彼自身が発掘し、ないしは創造
するといった趣に充たされ、まさに目が離せない。何よりも読んで面白く、平易なのも。私にとっては
前回のウォルフレンの「日常生活版」。

ウォルフレンと云えば、私の前にすでに文庫3点、B6版で8点、まだ2,3点以上出版されていること
が判る。前回紹介済みの2点など親本が30万部その後の文庫化ですから途方もなく読まれている。
知らなかったのは私ぐらい、恥ずかしい限りです。とは云え読むのも大変です。
遅ればせながら紹介済みの"雑誌みすず"00.01辺りをひっぱりだして、傍線を引きながら再読。何と
一冊に5時間ほど。なかなか大変。因みに当文庫蔵のものはと言うとその10%未満。そんなもんです。
「本の本」つづき
私も長い間、図書館で働いていましたから云うべきことも積もり積もっています。当文庫仮開館にあたって
3年前に、中央区新川に移った図書館協会へ。応対して頂いたのは今はトップになられた松岡さん。
40年も前の私の小論 −「図書館評論」にのった− と研究発表を今でも覚えていて下さり、激励されも
しました。それはともかく、上記の「ニューヨークの公共図書館」からの報告を読んで「さもありなん」の思ひ。
顧みて日本の図書館の何と遅れに遅れていることか!そんな訳で私の「私設図書館」開設へと向かって
いるのだが。

長くなりましたが最後に。ここで紹介すべき「本の本」 幾つかある中で、その一冊。
坪内祐三 「文庫本福袋」 文芸春秋社04 (初出は週間文春00.6月〜04.9月)
500Pの大冊です。同じような本の3冊目。門外漢の漫画やミステリを除いても、前回、書評家としては
トップと言いましたが、決して褒めすぎでないことが判ります。因みに当文庫蔵となると、2〜3割か。
どのページを開いても、ほとんどのところで"ぐっと"くるものがあって、楽しいよりも、私の不勉強が身に
しみる本。

今日1/31 新館建設の契約書に印を。5月末には完成とか。
今日はこの辺で


 

 2007/12/19
●寒くなりました。昨日今冬始めて薄い氷を見ました。
 寺の境内のイチョウの木の葉もすっかり落ちました。
・秋の彼岸の中日(07.9.21)寺の世話人の集まりで、HP冒頭でのお知らせの通り
 文庫新館建設のGOサインが出ました。
・08.5月の完成予定、その後の移転、整理を経て秋には文庫の
 仮開設→本館へと道筋が決まりました。
・07.10.31日の共同通信社の取材、11月27日の東京新聞
 「熱気球」欄で写真入りの記事で、全国紙での初紹介。
 11月28日には日経の記者の取材があり、それなりの反応がありました。
・という訳で一時中断したHPも続ける事に意義がと。丁度助ける人あってHPを一新しました。
●「本の本」つづき
まづこの欄NO.13で長山靖生さんを紹介しましたが
「人間嫌いの言い分」 光文社新書 04
「一緒に暮らす」   ちくま新書 05
を読んでますます目が離せなくなりました。
・坪内祐三「新書百冊」 新潮新書 03
この人、今日、書評家としてはトップを走っている人ですが、
私が、前向きでひたむきな人生ーーー読書においては現役ーーーに絶望して、
やりすごす人生、生活者としての人生ーーーつまり夢を将来に託し文庫建設に、
本集めにーーーに転換を余儀なくされる、「仕方がないか」の人生に、
その頃、約30年前から本格的読書生活に入った人とみられ
ああ!こういう人もいたんだと感心させられる。
●もう一冊
大塚信一「理想の出版を求めて」  一編集者の回想  1963〜2003トランスビュー社 06
大塚さんは97〜03年まで岩波書店の社長であった人だが
63年に同店に入社以来40年間岩波と共にあった人、今日では少し
距離をおいて見られるものの、永い間”岩波文化”の恩恵に浴しながら
の私の過去をふり返り、あの時はああだったのか、この時はこうだったのかと感慨ひとしお。
●さらに一冊「東大教師が新入生にすすめる本」 文春新書 04
この本、94年〜03年に東大出版の雑誌「UP」の各4月号に於て
188人の東大教師が1500点余りを取り上げ、すすめる寸評を集めたもの。
さすが東大、恐るべし東大(良い意味で)と一読して驚く。
門外漢の理系の(良書らしき)本は措くとして、みた事も気にしたことも話題にもしなかった
良書が満載、ここでも本欄NO.14で紹介した雑誌みすずの書評欄、キチンと処理していたらと
「読みたい本が積まれていくばかりで減らない、−−−30年前の怠情にあるとはわかっていても
本当に、後悔先に立たず、である」同書396P
さてこの本、A5判の本格的学術書の紹介は勿論、意外にも
B6判、選書、全書、新書、文庫といった比較的小著で定価も安い本に
欠かすことのできない重要な学問上の到達点を示す、良書の多いことを改めて学びました。
●最後に傍線を引きながら検討していますがその中でどうしても記しておかねばと思われるもの
カレル・ヴアン・ウオルフレン
「日本/権力構造の謎」上下 早川文庫新版 1994年
      親本は早川書房 1990年
「人間を幸福にしない日本というシステム」     新潮OH!文庫 新訳決定版 2000年
      親本は毎日新聞社 1994年
この本、東大教師、高山博も「日本研究の古典の地位を獲得することは間違いないだろう。」と云う。
他に2、3のすすめる教師がいて早速、私も一読、訳者の篠原勝も「目からうろこ」と。
NO.16で紹介済みの阿部さんが歴史家として今日「世間」を
ウオルフレンが正面から日本の政治、経済の克服すべき課題を展開してるのに驚くと同時に敬意を!
このような文章を記すと私も何か現役に戻ったかのようです。
長くなりました   今日はこの辺で。


 

 2007/09/02
●お盆をどうにか乗り切ることが出来ました。
坊主は一に掃除、二に掃除、三に学問と念じてきました。
ホットするのもつかの間すぐに秋の彼岸が待っています。
あまり根を詰めてはと、8月10日渋谷東急の大古書市に。
40年余り品川に住んでいましたから云わば地元
予想外に注文した本も当たったりで、大型の段ボールで三箱送ってもらいました。
●前にも紹介した地元の人で、神田の「古書通信社」のTさん。
一年たらずして二冊目を同じ平凡社の新書として「三度のメシより古本!」を刊行との記事。
東京新聞に3回にわたっての書評欄の短文にて知り、早速取り寄せ読み始めました。
第5章以下の真山青果の新旧全集の比較に始まり、近世随筆家の種彦、馬琴
山東京伝、南畝を取り上げ永井荷風から三田村鳶魚、森銑三、柴田肖曲につながっていくあたり
とても一筋縄ではいかない。
さすが古書通信社に二十七年といった記述ですまされない領分に踏込んでいるのと
終章の「索引論」から群馬の詩人伊藤信吉さんのことまで、教えられるところ多しと。
でも、こうしたこと、誰が引継いでいってくれるのかと文学への思いが冷却している昨今不安が。
いづれにしろ古本についての新しいスター誕生といった趣きに祝意を!
(07 9/2 の朝日新聞の書評欄にも紹介ありました。)
●以下「本の本」のつづきですので、ついでに紹介
〇立花 隆
「ぼくの血となり肉となった500冊、そして血にも肉にもならなかった100冊」07年
文芸春秋社
立花さんの書評はすでに文春文庫に2冊にまとめられていて、これで3冊目。
本集めの指針として信頼がおけるもの。
〇宮崎 哲弥
「1冊で1000冊」06年 新潮社
独断らしきもの多数だが、何しろ数が多いので新刊書店に行けない者にとっては重宝
〇鹿野 政直
「岩波新書の歴史」 06年 岩波書店
総目録が便利
●「沢田哲学とは」「阿部さんの世間」といった私の課題
続いていますがその「言語化」――出典は佐野真一「だれが「本」を殺すのか」延長戦
Part2 02年プレシデント社 P74〜 ――にとりくんでいます。
●データ化の方
50,000点を超えましたが公開検索可なのは3.5万、あとは段ボールの中、何とか新館をと
今年中にはとの思いですすめていますがどう実現するやら。  この辺で・・・


 

 2007/7/31
●お盆を前に寺にとって一番せわしない時を迎えていますが、まあまあ元気です。
毎年行っている庭木 の手入れをし終えるとホットします。
●7月18日には久しぶりに浅草の松屋での古本市に行ってきました。
高価な本でも借金して文庫の為と購入していた昔とは違って数も金額も微々たるもの。
04年出版年鑑など書誌的なもので手が出せ るもの。
それでも大型ダンボール一箱送ってもらいました。
●承前 1  前回の阿部謹也さんの「世間」という課題
95年に云い出して以来学会などで無視されつづけたとの阿部さんの言
どうしてどうして書誌データを見ると、50点余り現在でも入手可能であり
95年以降でも15点発行されているのを知って驚き。
この内 「大学論」 99年 日本エディタースクール出版部
「阿部謹也自伝」 05年 新潮社
は読み物としても面白く、又「世間論」形成に至る重要な文献としてご紹介したい。
●承前2  沢田哲学とは何かの課題
前回そのサワリを述べましたが、この一文は私がようやくたどりついた観点を記したもの。
何を云っているのか、ひとりよがりと云われても仕方ありません。

さて、沢田先生と阿部さんと並べて、その提起した課題がいかに、どのように、どうして、どこで
誰にとって・・・重要なのか、しかし、ことは、知的作業のすべて、そしてその取扱い方、その後の行動
日本の社会と個人の在り方など、質、量、場、時そして人間を含む
すべての生きものに関連するものです。まあ少しずつ、焦点を絞り表現に工夫をしていきたいと思います。


 

 2007/6/15
・6月に入ってしまいました。
・4月22日(日)「沢田先生を偲ぶ会」於ホテルオークラ に行ってきました。
・参加者150人ほどの古くからの仲間、そして、坂上弘さん、今は慶大出版会の社長
芥川賞作家、戦後間もない頃の三田文学の沢田先生の後輩
「そうだよね!若い頃は文学青年だったんだよね」。
鈴木光司さん、「リング」で有名、沢田先生の教え子。
沢田先生を偲びながら当文庫の紹介をも。隣のバーで二次会、科学哲学時代
40年以上も前の頃の、東大の吉田夏彦、坂本百大さんなど。
「まだ早いじゃないか」と云われるまま、新橋でハシゴ、深夜まで。
●沢田哲学とは!
この欄のNo.8(06-09−19)に記した、戦後の日本の哲学とは?沢田哲学とは?
この際、一文にまとめてみようと、この課題をずっと抱えて
上記偲ぶ会までにはなんとかと思っていましたがなかなかその中心になる核が。
物書きでもない私如きが、見つけられる筈もないか。
ただの印象批評に終わるのかと、あきらめの境地に。
●阿部謹也さんの「世間」の思想
4月に入ってたまたま手にとった阿部さんの“「教養」とは何か”。
アレ!ここで展開されている「世間」という考え方は沢田先生が70年代にたどりついた
「風景」という思想と同類のものではないかと。
さあ大変、それ以降、今日まで身体をこわさない程度に勉強させて頂きました。
●阿部謹也さんのこと
阿部謹也さんは昨年の9月に急性心不全で残念なことに亡くなられました。
しかし最後の本*にはまるでご自分の死を予期していたかのように云うべきことは
十分に云っているのが判ります。
阿部さんがこの20年間、課題にしてきた「世間」についての著作を下記に
「世間」とは何か 講談社新書 1995年 日本社会で生きるということ 朝日新聞社 1998年
「教養」とは何か 1997年 学問と「世間」  岩波新書 2001年
*近代化と世間 朝日新書 2006年 日本人の歴史意識 2004年

●沢田先生と阿部さん   ―自己の「人生をいかに生きるべきか」を常に念頭においたお二人―
沢田先生が古来の哲学の本来の性格を現代に生かさなければと
現代哲学のほとんどが個別科学化している現状に
正面から長い間闘って切り開き到達した“「風景」の思想”という考え方
それにもとづいて環境の問題を日本の哲学者として早く70年代の初めに自己の課題としたこと。
こうしたなかば常識化しつつある囲いから一歩踏み出すという点においては、阿部さんも同じ。
歴史家として、又一個人として資料と闘うなかで見出した日本における“世間”という考え方
学問の世界や識者の間からは無視されつづけ、反対に阿部さんから現代日本の大学は
学問は崩壊したとの宣言文をつきつけられた。
ここら辺にも沢田先生と阿部さんとは共通点が。
因みに沢田先生、日本哲学会会長2期 阿部さんは一橋大学学長2期、国立大学協会会長を勤める。
●学問とは何か正義とは何か    ―常に問い続けたお二人―
もしそこに重大な誤りがあれば人間の生存、生き方に大きな影響を与える。
大は幾多の戦争しかり、小は日常生活にかかわるときどきの判断
見通しなどに取り返しのつかない罪や悲しみをもたらす。
その克服こそ学問の使命であることは歴史の示すところ。
●まとめ
上記のごとく、沢田哲学とは何かの課題、すでに私のノートした分量も新書一冊分ほどに。
ですからそのサワリを述べたに過ぎないのですが、長くなりました。
いずれ完成させたいと思いますが、大体の骨格と見通しなしにこの課題にふれることができませんでした。
又こう記した自分はどうか、改めるべきところを改めるという課題が浮上した2ヶ月半でありました。


 

 2007/3/29
●暖かくなってきました。
3月は寺にとって何かと気ぜわしい日々です。
「彼岸会」が終わって、ホッ!。
寒い冬こそは、読書家にとって書き入れのはず。
日本の近代文学を見直す。特に私小説の再評価とか、戦後文学も。
いまだ読了していない名作の数々。若いころ読んだあれもこれも。
翻訳本だって、今読んだらなどと思う昨今です。
新たに集めた文庫や新書が月に4〜500冊。目の前を通り過ぎていきます。
これは読もうと選び出した数十冊が常に私の回りに積まれています。
チラッと見ただけで、まだ別の本に変わっていく。その繰り返し。
●データの件
手伝う人を得て、毎月500点ほど消化していますが、書棚に並べて
検索可となるには、まだ時間が必要です。
集める方もまだまだ続くようで、険しい道のようです。
この3月で開館3年。利用してくださる人の数も増えず
この点しばらくはあきらめの心境です。
●承前 本に関する「本」について
東京の大型新刊書店には、本に関する「本」のコーナーがあり、数百点並んでいるのを見ますが
当「専称寺文庫」に在庫する点数はその数倍はあるでしょう。
本読みといわれる人達-私が導かれた-。
古くは林達夫から、加藤周一、谷沢永一、吉本隆明、紀田順一郎、吉田秀和、丸谷才一などなど、きりなし。
本の世界にのめりこんでそろそろ50年。
「文庫」設置者ともなれば、貧しいながらも自分も紹介者の側にいるのかも。
人間にとっての読書とは、私にとっての読書とは・・・
少しづつ考えていきたいと。
●追伸
「自分も紹介者の側にいる」といいながら、斉藤美奈子さんをこの項から落としては叱られてしまいます。
そもそも文庫・新書をあれもこれも集めるのに力を入れ始めたのは、開館間もない時から
お付き合いいただいている近くのAさんからの
「こんな難しい本ばかりでは、地元の皆さんからそっぽをむかれてしまいますよ。
地元の皆さんから愛されてこそ!」との一言があって以来のこと。
ちょうど斉藤さんの「文壇アイドル論」-岩波書店-が話題になり始めたころ。
結果として2〜3万点が集められ、私も勉強させられました。
ついでに、佐高信さん、上野千鶴子さんもあげておきます。
本に関する「本」のしめくくりとして紹介しておきたいのは、私の永い間手本として
また、このとおり集められていたら理想の「文庫」がと思ってきたもの。
雑誌みすずの年1回の読者アンケート、1980〜1986までは刊本としてあり、その後
今年まで、およそ5000点以上を、短文の解説と、それぞれの筆者の思い入れをつづったもの。


 

 2007/2/7
あっという間に年を越してしまいました。
11/19、1日がかりで、前記沢田先生から頂いた本、運び込みました。
運転手、その助手を含めると6人で。
洋書が半分以上。
現役だった先生らしく、言語・科学・環境など・・・
哲学の方からみた専門書類(洋書を除いて)
雑誌・文庫・新書を含めると1,000点あまり。
当文庫のその方面の厚みが増したとは言えるでしょう。
●データの件
前記沢田文庫として受け入れたもの1,368点
文春文庫880点、ちくま文庫300点、朝日文庫300点。
いずれも第一次分として。
●承前、本に関する「本」について。
前記の谷口さんの「日本文庫大全」は文庫本に関する、書誌的なものとして座右のもの。
中島梓さんの「文学の輪郭」s53、「ベストセラーの構造」s58、「夢見る頃を過ぎても」1994
その他数冊(いずれもちくま文庫に入っていたが、ほとんど品切れ)は
日本の現代文学に親しまんとする人は、必読のもの。
上田紀行さん「生きる意味」05岩波書店、坊主(寺)が文庫を開く意味についての良書。
番外として「おたくの本懐」-「集める」ことの叡智と冒険-長山靖生 ちくま文庫05。
親本は「コレクターシップ」JICC出版局92 すばらしい本の一言。
最後に極め付きの佐野真一「だれが「本」を殺すのか」プレジデント社01を親本とする
新潮社文庫本 上下2冊04、索引34pと161pも増補したもの。
本をとりまく、さまざまな現況をまとめ、最後には身内としての電子本やら、ゲームや、スポーツや
その他の分野との生死をかけた戦争の様相-文化の状況にまで及ぶ。
執筆者、編集者、出版社、取次を含めた流通、書店、図書館、読者と、一読なくてはならぬ本だと。
いずれにしろ、本をめぐる諸問題は、この5年ほどで、革命的な嵐の中にあることは事実。


 

 2006/11/11
毎日追われ続けています。
やることばかり多くて目に見えての成果はありません。
閉館してしまえばとの声に包まれている昨今です。
月刊雑誌「寺門興隆」を見ての反応2件。
■その1、
横浜のSさん
メールの一部を当HPの利用者の「ひろば」にて紹介しましたが
茨城県外からの実質会員第一号。
当館の設立目標「ご自分の書斎としてご利用を!」にピッタリ。
残念ながら、当文庫のHPを開いての応答ではありませんでしたが。
オーバーな言い方が許されるなら「利用者の喜ぶ顔を一人見ずには死ぬにも死ねない」
と言い続けてきた館長にとって、待ちに待った人。感慨新たといったところ。
■その2
10月21日「浄土宗新聞」(毎月1日発行)の取材を受けました。
ちなみに私共の専称寺は(全国に7,000〜8,000ヵ寺)浄土宗という巨大宗教教団に
属しています。
私は住職となって30年近く、ただただまわりの人達に助けられ続け
昨今ようやく一人前かな?と。
その間当然ながら、寺はどうあるべきか?住職とは?私自身は?
一日たりともその問いを忘れるわけにはいきません。勿論、反省また反省の日々。
その回答の一つが当文庫の開設であったわけですのでどのような記事が
載るのか、待たれるところです。
10月27日に神田古本祭りに行ってきました。
三省堂会場が無くなり、あれ!それでも蔵書補充の思いで、
仏文の「河盛好蔵 随筆選 7冊 新潮社
仏文の「藤村のパリ」 新潮社
「長谷川利行画集」 協和出版
「万葉集大成」 16冊(新版) 平凡社
など段ボール3ヶ 送料無料で
●データの件
新潮社文庫1,200点終了。文春、朝日、ちくま文庫に移っています。
「入手が困難な文庫・新書」と前回記しましたが
最近のアマゾンなどで幾つかのインターネット検索を見せてもらうと
驚くほどの規模で、また安価で出品されています。つまり入手が容易。したがって前言撤回をしなければと。
しかし、よくよくみるとそうとも言えない面も。
いずれにしても、街の古本屋さんの閉店が続いているのは確か。
北九州市で文庫専門の無料図書館を開設している谷口雅男(「ふるほん文庫屋さんの奇跡」新潮OH文庫
「日本文庫大全」ダイヤモンド社97年刊の著者)さんによれば
福岡県内で約1/10に減っているようだとのこと。神田を除いてほぼ全国的傾向。
さて図書館を開設するということですから、当然「本」に関する本には注目し
まがりなりにも読みもし、集めてきました。
前回に記しましたごとく、この2、3年、文庫・新書に重点を移して発見させられた
ヤスケンこと安原(ケン)さんのことに続いて
上記の谷口さん、(知らぬは私だけかもしれない)中島梓(栗本薫は別名)さんのこと
上田紀行さんのことなど原稿を用意しましたが、長くなるので次回に回します。
以上独り善がりの文章を続けました。この欄、メールの反応がありません。
孤独そのものです。もし覗かれた方おりましたら「FAXなりTELなりメールなりでのお便りください。


 

 2006/9/19
暑いさなかの寺の最大行事、お盆を乗り切りました。
21°Cから24°Cと一足早い涼しい日を迎えています。
前回記しました私の恩師沢田允茂先生、亡くなる前日まで筆を入れていたと聞く
「九十歳の省察-哲学的断想-」岩波書店刊が送られてきました。
来し方行く末を思いつつ戦後の日本の哲学とは?沢田哲学とは?メモをとりつつ一読。
この際、一文にまとめてみようと構想を。
本の末尾に解説をしている西脇さん、葬儀の際、話された藤本(隆志)さんとは別の観方となりました。
近いうちにこの欄でも紹介したいと。
●データ化の現状
岩波文庫、講談社文庫500点、同学術文庫400点が終了。
同時に進めている新潮、文春など、多くは入手の難しい版元品切れ本ですが
現に市販されてるものも混じってきましたが、お許しを!
月刊「寺門興隆」という雑誌の取材を受け、住職の奮闘と題して
九月号に8ページにわたり紹介されました。
早速滋賀県高島市の住職さんから照会を受けるなど、全国的には初めてのデビューでした。
最後に是非とも紹介せねばと思う人物、ヤスケンこと安原(ケン)さんのこと。
03.1月に亡くなられ、週刊誌や新聞などに広く報道されたとのことで知っている方が多いと思います。
私がこの2・3年文庫、新書の方に重点を移して初めて(情けないことに)知り-安原(ケン)編
「ジャンル別文庫本ベスト1000」学研M 庫2000年刊-、村松友視著「ヤスケンの海」幻冬舎文庫
H17刊を経て-回想の50年、60年代-「ふざけんな人生」清流出版02年刊
決定版「編集者の仕事」マガジンハウス社99年刊を文字通り精読。
今、「ヤスケンの海」を再読し、思うに内外の文学を中心として映画、演劇、音楽、美術などに
驚くほど広く、深く発掘し、展開させ、創造し、結果としてその時々の世界の状況と闘ってきた
一天才的編集者(中央公論社の雑誌「海」そして「マリ-クレール」他で40年余)だったと。
今までにない感動と敬愛の念をいだき、今日までの私の文庫に対する考えかたの再検討。
またこれからの課題だと!
この項、皆様のお耳には館長の私的くりごととしてお許しを。


 

 2006/7/28
相変わらず多忙です。
今年4月小生の恩師 沢田允茂氏(慶応大名誉教授)が他界されました。
89歳でした。
日本哲学会会長務め、最初の著書「少年少女のための論理学」
(現行の「現代論理学入門」岩波新書「考え方の論理」講談社学術文庫の元本)が
毎日出版文化賞。
私の二十代から50年近くお世話になりました。
我が家の仲人でもあり筑西にも何度もいらしていただきました。
一昨年私の文庫開設の際、蔵書は私の文庫へと言ってくださり
先日お伺いして見て参りました。半分は洋書ですが
2,000〜3,000冊、沢田記念文庫としていただくことになりました。
●新書・文庫のデータ化作業の件
まず新書、第一次として岩波が1,500点、中央公論社が700点、講談社が400点、データ化終了。
文庫第一次として教養文庫320点、旺文社が500点、中央公論社が2,100点データ化終了。
進行中の岩波が3,000点。その他、助ける人あって新潮などの他の文庫も少しずつ進んでいます。
先週当市のタウン誌「DaTeKKo」の取材を受け同8月号に載る予定です。
また当市の商工会から50年記念誌のための取材を受けました。「ご利用を!」と呼びかける当方としては
まず少しずつ知られるのが第一歩ですので、働きかける力はなくとも、皆様のご協力をお願いする次第です。
●当面の目標
データ化はしたものの大量の山積みないしは段ボール入りの書籍を一日も早く書棚に移さねばと
焦りを感じる昨今です。
最後になりましたが、この館長だよりNo4 に地元のTさんが見学に見えたと記しましたが
このTさんがこの4月に、「古本通」(平凡社新書)を出されました。
一読。
さすが神田神保町「古書通信社」に編集者として25年というキャリア。
うっかり評価めいたことを記すと、怒られそうですので控えますが
当市の今は亡き古書店、山口屋書店のことなど
人名はもとより、固有名詞の大半を知る私にとって貴重な情報となりました。感謝!


 

 2006/5/15
開館して早や3年目に入りました。
毎日多忙です。30年近く寺の住職を勤めながら、余った時間での本の整理
この4月で68才になりました。手伝ってくれている実兄も70才。
月〜金まで文庫を開き、本のデータ化作業をやっています。
単行本の方、30,000点で一区切り。ようやく文庫・新書の方に。
まず岩波新書から。戦前、青・黄・赤と続けて、中公、講談の順に。
2・3ヵ月中にはHPで見られるように。
次に文庫。岩波、中公、旺文社、教養と。
いづれも発行総点数の50〜60%。
出版社に現に在庫してるもの、資料的価値を失っているものを除けば
80%ぐらいカバーできると思います。
文庫の方、HPにて公開するには今年いっぱいかかりそうです。
言うまでもなく、文庫・新書は安価な上に読み易く、資料的価値もあるが
いったん出版社品切れとなると、単行本(金さえあれば入手可)以上に
入手は難しいのが現状です。
さて、当館の目標も、長く開館しつづける方法も、利用者さえあればこそですが
老年の二人ですので、焦ることなく、時流に流されることなく
地道につづけていくことにしましょう。
しばらくは文庫に今は眠っている資料に支えられて。


 

 2006/3/18
この1月には、宇都宮東武、銀座松坂屋、新宿京王
3月には池袋西武とサンシャインに行きました。
行けば蔵書の補充ということで、相当な量を送ってもらいました。
以前のように古書店めぐりをするといったことは、経済の面、時間・体力の面から
無理ですが、まあまあ元気にやっています。
●間もなく文庫新書のデータ化に入れそうです。
岩波、中央公論、教養の各文庫既刊の80%ぐらいは蔵書。
新書も岩波90%、中央公論90%ほど。
●当館のホームページをのぞかれた方、ご感想。ご批判、ご質問ほどメールで
お送りください。当館の励みにもなります。
次回には当館の目標、長く開館しづけるにはどのような方法が
考えられるかについて記します。


 

 2006/2/7
● 開館しつづけることの困難について-経済面-
まず初期費用は棚上げ-開館する以上は当然設立者が負担すべき-
1 蔵書(今も収集はつづいている)
2 建築物及び設備費(HPなどを含む)
3 人件費のうち約1/2(資料のデーター化の為の)
4 HP立ち上げ費用
設置者の年金で当分の間、維持可能だが、補助やら寄附などに頼らない方針で
独立採算させる課題が残ります。
● プラス面
もし30年前に開館したとしたら、蔵書のカード化、目録印刷など
期間も費用も個人では到底不可能なことがわかります。
●マイナス面
・ 開館して間もなく2年、利用者が若干ということは開館してるとはいえないのでは。
・ 有料広告する費用はありません
・ 有能な人材を配置する費用はありません
・ 現状で開館しつづけ、協力者の出現を待つ状態がつづくようです


 

 2006/1/1
開館の産声をあげて1年と8ヶ月。空白の10ヶ月遊んでいたわけではありません。
この間の動き、
1 単行本の追加データが5,000点
2 文庫・新書の整理進行
地域の利用がない、関心が薄いという状況を反省して
-学術書の全集ばかり並べてもダメ-ということで、2にも力を注ぐことにしました。
文庫では、岩波はもとより
旺文社、教養とつづき、中公に、さらに、文春、角川、講談社、ちくまと。
新書では、岩波、中公はもとより、講談社、その他の後発の新書にも広げています。
(データ化はこれからです。)
3 読売新聞(茨城版)に紹介記事
4 相変わらず利用者なし
5 YYS デザイン・オフィス つくば/筑西に当文庫ホームページの一新作業を依頼
●さて、この1年と8ヶ月を振り返って
●まず館長の当初の目的は達成されたこと
●ホームページを立ち上げて、貸出し専門文庫の開館
●開館していることの地域での認知
●未だ利用者は若干ながら蔵書と館の運営を見た専門家から、その価値・意義について
まずまずの評価をいただいている
そんな訳で、しばらく(私の目の黒いうち)は続ける。続けて(経済的にも)いける!
続けなければ!それなりの意義はあると・・・!
開館し、そして続けることについての難しさと、館長の予想をはるかに超える
予想だにしなかったことで、プラス面とマイナス面とを次回に記します。
まずはともあれ、ホームページの更新と、その維持・運営・管理に強力な助っ人に恵まれたことを報告します。
今回はこれまで               合掌


 

 2005/2/1
早いもので開館して一年近く、予想していたよりも、動きがないのが現状
蔵書と建物の費用を除けば、初期投資、人件費を含めた諸費用も負担できる、範囲。
今後も何とか開館しつづけていけそうです。
 何はさておき、利用されないのでは焦りもでてくる昨今です。
単行本、データーも2万を超えましたが、利用しやすい新書や文庫を先に
データーにいれようかと思っております。
 ひきつづき、文庫では、新潮、文春、集英社、講談社そして学術文庫と
整理してきましたが、早くデーター化して皆様の評価を待ちたいと思っております。                                            合掌


 

 2004/11/1
「読書週間」ということで神田青空展に初日の10/29でかけました。
ついでに2・3の古書店に、永年、おせわになったことのお礼かたがた
「開館案内」をおいてきました。
 整理の方も少しづつすすんでいます。
トータルでは2万を越えましたが、全集や著作集などを1点と数えたり
一巻づつ数えたり、また多くの複本があったりで
実際の点数は1万9千点ぐらいが妥当なところです。
文庫、新書の方も、角川、新潮が著者順に並びましたが
集英社や河出も多く整理もまだまだといったところ。
 初めて記しますが、設立者が永年テレビから録画したビデオ
(主として映画)が3〜5000本以上あり、未整理のまま、いつの日か、陽の目をと!
 皆様からのアクセス少しづつ増えています。
 別に広告して売り込むといったことは力もなく整理も進んでいませんが
7月1日付地元の常陽新聞に大きく写真入でていねいな記事を
載せてもらったのが最初で、9月2日付けの産経新聞
10月1日発行の下館市の広報にとつづき、実現には至っていないものの
打診も2・3受けています。
10/30には東京神田の「古書通信」のTさん、何点もの著作があり
郷土史家でもあるkさんが地元の縁もあって見学に訪れ
本の世界での専門家から、まづまづの及第点をもらいホッとしています。
今後何かと力になってくれるようです。
 長くなりましたが、近況報告まで                        合掌



 

 2004-08-21
第3信お送りします。
 仮開館して早や半年近く、その後追加されて単行本が18,000点が貸し出し可能、こまかな
 ものはまだまだですが、これはといった本は8割ぐらいはの段階。こちらからこれといっ
 た宣伝もしてはいないので、当然ですが反応はまだまだ、地元の新聞で写真入で大きく丁
 寧に載せていただき、全国紙の取材も受け、近く掲載のようです。地元の公共図書館とも
 コンタクトしていますがいまだ本格的とはいえません。皆さんに親しまれるようにするに
 はと考えて、文庫新書の整理を進めています。HPに入れるにはまだまだですが、岩波新書
 が青版の初期を除けば8割、中公新書が5割弱、岩波文庫全点の5〜6割、旺文社、教養
 文庫、中公文庫など問い合わせに応じられるようになり、新潮、角川、学術文庫など整理
 が進んでいます。今回はこの辺で。

                                                 合掌


 

 2004-07-01
第2信お送りします。
 まず地元からと、次いで恩師、先輩、知友、懇意の古書店さんなどに仮開館をお知らせし、
 アクセスをお願い致しましたがどうでしたでしょうか。その後、新規には2000点ほど
 入力しましたが、主としてデータの手直し、訂正現物の確認、置き換えなど少しずつ作業
 を続けています。岩波新書、同文庫をはじめとする、各種文庫、新書類は、データ化する
 にはまだ相当の時間が必要ですが、問い合わせに応じて、取り出せるよう整理は進行して
 います。以上近況報告まで。

                                                 合掌


 

 2004-04-01
はじめまして
 当文庫は、設立者がこの30年余りの間、今日あるを期して収集してきたものです。
 著者各位、出版関係者、古書店の皆さん!
 皆さんの努力の積み重ねをまづもって感謝しなければなりません。
 実はすでに7年前に、文庫を建設、本を運び込んだのですが、私の力不足、バブルの影響
 などがあって整理が進まず今もって点数においては1/7程度、つまらない本もまた多く入っ
 たりで今後もどうなるかと思いやられる昨今です。
 コンピューター、メールのやりとりなど、堪能な者がおりません。人手も片手間です。利
 用者の皆さんに何かと迷惑がかかるやもしれません。何しろ始めたばかり、皆さんの手取
 り足取りのご協力をまって、いつの日か一人歩きが出来るようにと祈る気持ちです。
 最後に一言、自分で云うのも変ですが、「信用第一」利用者の皆さんに喜ばれるよう少し
 づつ進めていきたいと思います。
                                                 合掌


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