上:設立当時 / 下:現在 |
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ピンカートン探偵社のマーク ハメットが勤務していた事でも知られるピンカートン探偵社はアメリカ最大の規模と歴史を誇り、かつては要人警護や諜報活動など、政府の非公式な仕事にも携わったといわれる老舗の探偵社である。私立探偵を意味する「プライベート・アイ」はこのマークに描かれた開いた目が語源になったと言われる。目の下に書かれている”We never sleep”は同社の有名なキャッチフレーズで、パロディに使われることも多い。 |
●ここでは、チャンドラーによって書かれた映画脚本、チャンドラーに関する研究書など、小説以外でチャンドラーが主題となっている書籍を紹介しています。●紹介している書籍には、すでに絶版となっているものも含まれています。 INDEX - 邦訳作品リスト - 長篇全作紹介 - 中・短篇集紹介 - マーロウ・トリビュート - 登場人物小事典 |
伝記 |
フランク・マクシェイン著 / 清水俊二訳 チャンドラーの文芸代理人で、遺産管財人、そして最後の伴侶となるはずだったヘルガ・グリーンの協力を得て書かれた大作。タイトル通りチャンドラーの生涯を綴った1冊だが、伝記というより資料としての意味あいが強く、純粋にハードボイルド探偵小説作家としてのレイモンド・チャンドラーの足跡を辿ることが出来る。
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書簡集 |
D・ガーディナー&K・S・スミス共編 / 清水俊二訳 残された膨大な書簡や覚え書きなどがテーマ別にまとめられた資料集。出版社とのやりとりや、執筆に関する考えなどが生々しく伝えられており、作家や出版業界の裏側も垣間見ることが出来る。未発表の短篇『二人の作家』、遺稿となった『プードル・スプリングス物語』も収録されている。
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副読本 |
和田誠、船戸与一、矢作俊彦、他 チャンドラーの生誕100年を記念して出版された非常に内容の濃いチャンドラー副読本。未発表短篇『イギリスの夏』も収録されている。何らかの形でチャンドラー作品の邦訳に携わったほとんどの人たちが執筆している。日本でのチャンドラー普及に大きな功績を残した清水俊二氏はこの本が出版された年に亡くなった。 |
各務三郎 編著 元「ミステリー・マガジン」編集長の著者が、想像を絶する労力と情熱を傾けて完成させた(であろう)渾身の一冊。チャンドラーの全ハードボイルド小説に登場するキャラクター約1,300人を網羅し詳細に説明している。その内容の完璧さと、そもそも余程のマニアしか手に取らない(であろう)この本を発刊した勇気には拍手を贈りたい。日本推理作家教会賞を受賞している。
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ロバート・B・パーカー著/浅倉隆男訳 ボストンの探偵スペンサーシリーズで人気のハードボイルド作家ロバート・B・パーカーが、デビュー以前に博士号を取った有名な論文からロス・マクドナルドなどの項を削除し、ハメットとチャンドラー、そしてその背景のアメリカ文学史に内容を絞って新たに書き直されたもの。ハメットの生誕100周年を記念して刊行された。 |
松原元信著 チャンドラーの原文、清水俊二訳「長いお別れ」、村上春樹訳「ロング・グッドバイ」。物語の筋を追いながら、この3冊を対比し、それぞれの違いと特徴を検証した労作。これを読むと、映画字幕で培ったシャープさを身上とする清水訳はいかに大胆な削ぎ落としが行なわれいるのかが分かるのと同時に、村上訳が想像以上に原文に忠実であることもよく分かって興味深い。原文と2訳が併記されているので英語や翻訳の勉強にもなる。
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山本光伸著 副題は「清水俊二vs村上春樹vs山本光伸」。ラドラムやヘミングウェイなどで知られるプロの文芸翻訳者である著者が、原文と清水俊二訳、村上春樹訳に加え自らの新訳を並べて紹介しながら、『The Long Goodbye』の魅力を読み説き、正しい解釈を探るという趣向。さながら英語教材、翻訳者養成テキストのような体裁で面白い。先に出た『3冊の「ロング・グッドバイ」を読む』とほぼ同趣向であり、ファンのみならずプロにとっても清水訳と村上訳という別方向への大きな振れ方が、いかに「放っておけないもの」なのかがよく分かる。
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脚本 |
レイモンド・チャンドラー(脚本)/ 小鷹信光訳 ユニヴァーサル社のために書き下ろされたオリジナル脚本。脱稿はしたものの制作予算等の関係で映画化は実現しなかった。チャンドラーはこのプロットをフィリップ・マーロウ物に流用することを思いつき、大幅に書き改めた後、長篇第7作「プレンバック」として発表した。なお、オリジナル脚本は発見されるまでの37年間、ユニバーサル社の倉庫で眠っていたという。 | |
レイモンド・チャンドラー(脚本)、マシュー・J・ブラッコリ編/ 小鷹信光訳 1946年パラマウント配給、邦題「青い戦慄」の映画脚本。監督ジョージ・マーシャル、主演はアラン・ラッドとヴェロニカ・レイク。チャンドラー唯一の書き下ろし脚本で、アカデミー脚本賞にもノミネートされた。巻末にマシュー・J・ブラッコリらによるコラムと資料が収録されている。 |
レイモンド・チャンドラー&ビリー・ワイルダー(脚本)/ 森田義信訳 ジェイムズ・M・ケイン原作、ビリー・ワイルダー監督により1944年に公開された映画脚本。日本では1953年に公開された。フイルム・ノワールの古典的傑作と今日でも評価の高い作品だが、この脚本完成を巡るチャンドラーとワイルダーの確執は今も語り草となっている。ちなみにこれがチャンドラーのハリウッドでの初仕事だった。巻末にはウィリアム・F・ノーランによる「マーロウと過ごしたLAの一日」が収録されている。 | |
チャンドラーの映画出演 意外と知られていないが、チャンドラーは「深夜の告白」にカメオ出演している。主役のフレッド・マクマレイ扮する保険外交員ウォルター・ネフが同僚の保険調査員バートン・キース(エドワード・G・ロビンソン)の事務所を出ると、廊下の椅子に座って雑誌を読んでいる紳士がいるのだが、よく見るとチャンドラーだ。 |
ジュナブル・教材 |
レイモンド・チャンドラー / 福島正実訳 短篇『山に犯罪なし』"No Crime in the Mountains"(1941年)の福島正実訳によるジュナブル版。探偵の名はエバンズ。このシリーズは児童向けであるにも係わらず、ダシール・ハメット、E.S.ガードナー、ニコラス・ブレイクなど、マニアックなラインナップとなっているのが興味深い。ハードボイルドの草の根開拓にも一役買っているかも。
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レイモンド・チャンドラー / 青木信義訳 1946年に始まったNBCのラジオドラマ『フィリップ・マーロウの冒険』(マーロウの声はヴァン・ヘフリンが担当)の後を継ぎ、CBSで1947年から1951年まで放送された『新・フィリップ・マーロウの冒険』("THE NEW ADVENTURES OF PHILIP MARLOWE"・マーロウの声はジェラルド・モア)の一話"THE EAGER WITNESS"を題材としたCD-ROM付の英語教材。
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レイモンド・チャンドラー / 藤井ひろこルビ 独特のレトリックやスラング、イディオムが頻出し、日本人には難解といわれるチャンドラーの文章だが、原文の上に日本語ルビが振られた本書なら、多少英語が苦手でも最後まで読み通せるかも。グリム童話からヘミングウェイまで揃った同シリーズには、ライアル「深夜プラス1」、マクベイン「警官嫌い」、パーカー「初秋」などもラインナップされている。 |
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