5〜6月ヨーロッパ旅行の思い出(2014年)
3日目


5月28日

お天気はどん曇り。
時折雨がパラつく。

8時20分にホテルを出て、
バスで
「ルーブル美術館」に向かう。
この日は職員の会議(実質スト)が
あるので、
9時の開館が
遅くなるかもしれない
ということだった。

美術館到着9時20分。
案の定
まだ開いていなかった。
大勢の来場者と共に
ずっと待っていたが、
何の情報もなし。
近場の他の観光地を
先に見てから
戻って来ようということになった。

10時10分。
またバスに乗る。
ガイドさんの
説明を聞きながら、
車窓から
市内の様子を楽しんだ。

世界でも有数の大都市。
それでいて
クラシックで美しい町並み。
たくさんの車。
フランスの車種に混じって
日本車も
けっこうたくさん走っていた。


こんなクラシックな
アパルトマンが
隙間なく並んでいる。
重厚な石壁に灰色の瓦屋根。
その屋根の上には
たくさんの煙突。
「メリー・ポピンズ」を
思い出す。


パリには一軒家はほとんどなく、
人々は古いアパルトマンを
修理・改築しながら
住んでいるようだ。
1階は店舗。
それがどれもとってもお洒落。


「シャンゼリゼ通り」にある
Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」本店。
バスの中からなので、
残念ながら
ウィンドウショッピングさえ出来ず。
その方が
良かったのかもしれないが。


「グラン・パレ」
すてきなたたずまいに
思わずシャッターを押した。
美術館と科学技術博物館に
なっているらしい。
パリ万博の際に建てられ、
古典的な石造りに
鉄製のアールデコの装飾が
アクセントを添えている。
周りにはすばらしい彫刻が
施されていて、
団体行動でないならば、
絶対入ってみたい1品。


パリ市内の道路は
「Place(広場)」と
呼ばれる場所を中心にして
放射状に走っている
ことが多い。
個人で地図を見て歩くと
確実に迷うだろう。

そんな広場には
大きな彫刻や銅像が
置いてあることが多いので、
それを目印にすれば
良いのかも。

最初にバスから降りたのは
「凱旋門」。
前日の
モン・サン・ミシェル同様、
想像していたよりも
ずっと大きく、
繊細な彫刻に驚いた。
なぜか
アジア系の人ばかり・・・。

凱旋門から続く
「シャンゼリゼ通り」も
歩いてみたかったけど、
それはかなわず。

次に降りたのは
「シャイヨ宮」。
そこのテラスは
「エッフェル塔」を眺める
絶景ポイントだそうだ。

シャイヨ宮は
1937年の
「パリ万博」の際に建築された。
新古典主義建築の様式で、
湾曲した双翼の形をしている。
その中央部がテラスになっていて、
「トロカイデ広場」から
エッフェル塔への眺望が
確保されているというわけ。


「ディエナ広場」
「ジョージ・ワシントン」の銅像。
アメリカの初代大統領が
なぜフランスに?
アメリカから
寄贈されたものらしいが。


「コンコルド広場」
パリの中心部、
「チュイルリー公園」と
シャンゼリゼ通りに挟まれて
位置する。
フランス革命前は
「ルイ15世広場」と呼ばれ、
革命時
「ルイ16世」や
「マリー・アントワネット」等の
処刑が行われた。
革命後は
「革命広場」と改められ、
現在は
コンコルド広場が公式名。
フランスの激動の歴史を
ずっと見てきた場所。
真ん中に見えるのは
「クレオパトラの針」。
エジプトの「ルクソール神殿」に
あったものだが、
あの「クレオパトラ」とは
何の関係もないそうだ。


凱旋門とは
「戦勝のアーチ」という意味で、
パリには多数存在するが、
単に凱旋門といえば、
この「エトワール凱旋門」をさす。
この凱旋門を中心に
シャンゼリゼ通りをはじめ、
12本の通りが
放射状に延びていて、
その形が
星(エトワール)のように
見えるので
この凱旋門の広場は
「エトワール広場」、
凱旋門は
エトワール凱旋門と名付けられた。
ただし、
現在この広場は
「シャルル・ド・ゴール広場」と
呼ばれている


シャイヨ宮のテラスから見た
エッフェル塔。
高さ324メートル。
フランス革命100周年を
記念して、
1889年の
パリ万博のために作られたが、
無骨な外見のため
多くの芸術家が
建設に反対したそうだ。
当初は20年後に
解体することになっていたが、
なんだかんだで現在も健在。
どころか、
今ではパリのシンボルとなっている。
同じ鉄塔である東京タワーと比べて、
細かい骨組みが多い気がしたが、
ガイドさんの話しによると、
鉄の種類の違いによるものらしい。


ルーブル美術館が
開いたという連絡が入り、
バスで向かう。
すでに11時を過ぎていた。
2時間内覧の予定が1時間ちょっと。

全部見るのに3日はかかると
いわれる美術館。
ほんの一部しか
見られないことは
初めから分かっていたが、
それも駆け足で回ることになる。
ガイドさんも必死。

後で調べて分かったことだが、
館内は
「リシュリュー翼」、
「シュリー翼」、
「ドゥノン翼」と
分かれていて、
私達は
ドゥノン翼を見学したようだ。


ルーブル美術館
地下駐車場への入り口付近。
バスの中から撮影。


エントランス地下の
「逆さピラミッド」。
「ルーブル・ピラミッド」を
縮小して上下逆にしたデザイン。
ショッピングセンター
「ルーブル・ド・カルーゼル」
前にあり、
鉄とガラスで出来ている。


大きな通路の両側にも
絵画がいっぱい。
写真で見たことがあるものも。
それに、人もいっぱい。
ゆっくり鑑賞する時間はなく、
追い立てられるように、
次、次、次・・・・・。


どこか忘れたが、
天井の彫刻と絵画。
もともとは宮殿であったことを
思い知らされる。


半地下のエントランスから
1階まで上がると
目の前に「ミロのヴィーナス」。
本物!
この時、本当に、
ルーブル美術館にいることを
実感した。

所蔵されている
美術品はもちろん、
元宮殿という建物自体が
歴史を感じさせ、
大きさと豪華さにもため息。

見学したコースの記憶は
定かではないが、
1階の彫刻群を見た後、
2階のフランス絵画へ。
「ダリュの間」、
「モナリザの間」、
「モリアンの間」と
流れて行ったように思われる。

その後2階から1階へ
下って行った階段。
きれいだなとは思ったが、
急いでいてよく見られず。
後で調べてみたら、
「モリアンの階段」といって、
美術館一の美しい場所
なのだそうな。

そんな見逃しや、
ゆっくり見たくても
時間がなくて、
心残りがいっぱい。


「ミロのヴィーナスの間」と
いわれているが、
部屋というより
通路の一角のような・・・。
そんなところに
世界的に超有名な彫刻が・・・。
写真もOKだし・・・。


ダリュの間の
「ナポレオンの戴冠式」。
あまりの大きさに絶句。


モナリザの間の
「モナリザ」。
この美術館の看板だけあって、
特別待遇のよう。
遠巻きにロープがはってあり、
スタッフが見守っていた。


ダリュの間の様子。
続く モリアンの間とともに、
19世紀の
フランスの大きな絵画が並ぶ。


次に向かったのは
「ヴェルサイユ」。
パリから南西約20キロ。

途中
「アルマ広場」下のトンネルを通る。
あの「ダイアナさん」の乗った車が
激突したという柱を見る。
「謎だらけだ」とガイドさん。

「ヴェルサイユ宮殿」そばの
レストランでランチ。
前菜は
エスカルゴのオーブン焼き。
専用のトングとフォークで食べる。
意外に美味しく、
残ったニンニクの利いたソースを
パンに付けていただくと
これまた美味。
これまで避けてきたのを後悔した。

15時。
憧れのヴェルサイユ宮殿見学。
1682年に「ルイ14世」が
建てた宮殿。
フランス古典芸術を結集させた
絶対王政のシンボルとして
「ブルボン王朝」の華麗な文化を
今に伝えている。
30年前から
宮殿と庭園を含めて
世界遺産登録されている。

見学時間は約1時間。
本宮殿と
庭園のごく一部しか
見ることが出来なかったが、
絢爛豪華な内装とともに、
「ルイ王朝」全盛期の
空気を感じ取るには十分だった。

あちこちで
修復工事が行われていたが、
何百年にも渡って
古いものを維持していくのは
大変なことに違いない。
モン・サン・ミシェルも
凱旋門も工事中だったっけ。


庭園の一部から
宮殿を眺める。


「大理石の中庭」より。
修復済みの建物を眺める。


「関係項―ベルサイユのアーチ」。
高さ12メートル・
長さ30メートルの
円形のステンレス鉄板で、
両端に石が置かれている。
あまりに現代的で
変だなと思っていたら、
この夏限りの
現代作家のものだった。
毎年
ヴェルサイユ宮殿で
現代美術展が
開催されており、
2014年夏の展示は
韓国の芸術家「李禹煥」。
その10点の作品の中で、
最大級のもの。
残り9点は、
庭園のあちこちに。


100万平方メートルともいわれる
広い広い庭園の一部。
ルイ14世が造らせた
幾何学模様の大庭園は、
フランス式庭園の最高傑作と
称されている。
庭園にはかつて
1400を超える噴水があったそうだが、
現存しているのは約600。
水は「セーヌ川」から引き込んでいる。
はるかかなたに
「グラン・カナル(大運河)」を望む。
「ラトナの泉水」から
大運河まで続く道は
「王の散歩道」と呼ばれる。
宮殿の正面は東を向き、
庭園の大運河は
西の先に延びていて、
宮殿の正面から太陽が昇り、
西の大運河に沈んでいくよう
正確に計算されて造られている。
ところで
手前はラトナの泉水のはずだが?
修理のため
大理石の彫刻群は
完全に撤去された後だった。


内部は驚くほどきらびやか。
絵といい、
彫刻といい、
調度品といい、
すばらしいかぎりである。

かの有名な
ルイ14世、16世、
マリー・アントワネットが、
家臣とともに
ここで日常を送っていたという。
このギラギラした空間で生活なんて、
日本人はきっと無理よね。

聞くところによると、
豪華で贅沢な生活にもかかわらず、
決して清潔ではなかったとか。
基本的にトイレはなく、
専用の椅子やおまるが使われ、
中身は庭に捨てられたとか。
女性のふんわりしたスカートは
その時を隠すため、
ハイヒールは汚物を踏まないため、
香水は臭さを紛らわせるため、
考案されたものだとか。

これらは
ヨーロッパ全土に
通じることだそうだが・・・。
あまりにがっかりなお話し。

昔「ベルサイユのバラ」の
漫画本に夢中になった私は、
ヴェルサイユ観光を
とても楽しみにしていた。
でも、この場所で
あのような出来事が
繰り広げられていたなんて、
想像が出来ない。
もちろんフィクションなのだけど・・・。

16時ヴェルサイユ出発。
これから「セーヌ河」の
世界遺産クルーズ。
エッフェル塔近くの
「バトー・パリジャン」の
乗船所で船に乗り込む。

昼間何とかもっていたお天気が
あいにくの雨になっていた。
オープンデッキも
透明フードも役に立たず。
日本語の音声ガイドはあったが、
よく見えないので
全くおもしろくなかった。

楽しみにしていた
パリ及び近郊観光。
いろいろ残念な結果になってしまった。
ルーブル美術館のスト。
そのための見学時間短縮と
免税店立ち寄り中止。
雨のセーヌ河クルーズ。


ベルサイユ宮殿 入口の階段。
セキュリティーチェックを受けて
白亜の階段を登る。


「王室礼拝堂」
宮殿に造られる礼拝堂は
伝統的に2層式で、
階上は王族や宮廷要人のための席、
下階はそれ以外の
信者のためのもの。
すばらしい天井画は
「世界の贖罪の約束をもたらす
栄光の中の神」という
題名だそうだが、
ドームの内側に描かれているのに、
正面から見ると
平面画に見えるように工夫されている。
その下の祭壇上のパイプオルガンも
実に豪華絢爛。


「ヘラクレスの神格化」
という天井画がある部屋のため、
「ヘラクレスの間」と呼ばれている。
142体ものオリンポスの神々が
ヘラクレスの凱旋を出迎え、
ヘラクレスが十二の徳行により
神々の列にまで
昇華する様を描いているのだそうだ。
イタリアの「フレスコ画家」の
傑作に匹敵するほどのものだが、
これは画布を
壁に糊で貼り付けたもので
非常に骨の折れる仕事だったようだ。
コーナーの部分は
立体感が際立つ騙し絵。
今風にいえば3D。


「鏡の回廊」
全長73m、幅10.5m、
高さ12.3mの回廊で、
庭園側の壁に17の窓があり、
その反対側の壁には
578枚もの鏡が
壁一面を覆っている。
窓から入ってきた光彩を反射し、
部屋全体が明るく
照らされる仕組み。
当時、鏡は金より貴重で、
数十センチ四方の鏡で
1000万円位の
価値があったそうだ。
クリスタルのシャンデリアが
いっそうきらびやかさを
引き立てているが、
現在飾られているのは
レプリカだそうだ。
1919年に
「ベルサイユ条約」の
調印がなされた場所でもある。


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1日目 成田から出発。フランス着。
2日目 モン・サン・ミシェル。
3日目 パリ市内、ベルサイユ。
4日目 スイスへ。ベルン、グリンデルワルト。
5日目 ユングフラウ、ザンクトガレン。ドイツへ。
6日目 ホーエンシュバンガウ、ヴィース、ロマンチック街道、ディンケルスビュール。
7日目 ローテンブルク、ハイデルベルク。フランクフルト空港。
8日目 フランクフルト出発。羽田着。