5〜6月ヨーロッパ旅行の思い出(2014年)
5日目


5月30日。

出発が早いので、
ホテルのレストランでは
朝食の準備が出来ないとのこと。
代わりのお弁当を受け取り、
部屋で食べる。

サンドイッチ、
ゆで卵、
りんご(丸のまま)、
パックのコーヒーと
オレンジジュース、
それにラスク。

あいにくの雨。
アルプスの山々も霧の中。
7時20分.、ホテルを出て、
すぐ目の前の駅まで走る。

7時47分
「ヴェルゲルン・アルプ鉄道
(WAB)」の
「クライネ・シャイデック」行きの
登山電車発車。

緑豊かなアルプスの草原の
急勾配を登って行くと、
あちこちに積雪が見えて来た。
少しずつ霧も晴れ、
朝には見えなかった山々が
目の前に迫って来る。

クライネ・シャイデック駅で
「ユングフラウ鉄道(JB)」に
乗り換える。
8時30分出発。

いよいよ
「ユングフラウ」登山。

終点の「ユングフラウヨッホ駅」
との距離は9.3kmだが
標高差は1400m。
日本で最も急な
勾配がある区間より、
さらに3倍ほど急な傾斜だそうだ。

途中3つの駅があり、
1つ目の駅を過ぎると
トンネルに入る。
「アイガー」と「メンヒ」の中を
くりぬいたトンネルだという。
全長7km。
完成は1912年。
すごいことを考えたものだ。

2つ目と3つ目の駅は
トンネル内にあり、
数分間停車してくれるので、
下車して駅舎の窓からの眺望を
楽しむことが出来る。


グリンデルワルト駅。
標高1067m。
建物の向こうに
プラットホームがある。
フランスのリヨン駅のように
特に改札もなく、
電車を待っている間、
ホームで写真を撮ったり、
道路の反対側のお店を
覗きに行ったり。


駅の発車案内表示。
「ベルナーオーバーライント鉄道
(BOB)」の
「インターラーケン」行きと、
WABの
クライネ・シャイデック行きの
時刻が表示されている。
時間差2分ほど。
 2方向から到着した列車同士の
乗り継ぎの利便性を考えたダイヤに
なっているようだ。
この駅は行き止まりで、
到着した電車は
また同じ方向へ
戻っていくことになる。


WABの登山電車。
発車後、
標高797mの「グルント」まで下り、
そこでスイッチバックして、
標高2061mの
クライネ・シャイデックを目指す。
かなりの急勾配。
ラックレールの上を
一生懸命登っていく。
私達が乗った車両は
貸切になっていた。
向かい合わせ式座席で、
山頂側の人がずり落ちないよう
山頂側と山麓側で座面の傾きが
変えてあるそうだ。


クライネ・シャイデック駅。
駅名は「小さい峠」という意味。
WABとJBの始発駅で、
写真でしか見たことのない
かわいい赤い電車が
私達を待っていた。
車内にはモニターがあり、
観光案内放送もあった。
その車内放送は7ヶ国語だったが、
下りの際の日本語だけが
なぜかアニメ調。
なんか恥ずかしく思っていたら、
最後に、
「ハイジが案内する
ユングフラウ鉄道にご乗車いただき
ありがとうございましたぁ。」
ユングフラウ鉄道
全線開通100周年記念の
ハイジの声による
特別アナウンスだった。


ユングフラウ(ドイツ語で乙女)は
スイスベルン州の
「ベルナー・オーバーラント地方」にある
アルプス山脈の山で、
「ユングフラウ山地」の
最高峰。
同じ山地の
他の2つの高峰である
アイガー、
メンヒとともに、
「オーバーラント三山」と
呼ばれている。

9時30分
ユングフラウヨッホ駅到着。

標高3454m。
ヨーロッパで最も高い鉄道駅。
地下駅であり、
その名も「トップオブヨーロッパ」
という施設を併設している。

一番の目的地は
標高3571mの
「スフィンクス展望台」。
高速エレベーターで
108mを一気に25秒で上る。

その頃には空は晴れ上がり、
ガラス張りの展望台の外へ
出ることが出来た。

360度の大パノラマ。
モノトーンに青を加えた、
迫力ある壮大な景色。
昔から多くの人が憧れ、
命をかけて登って来た場所に、
こんなにも簡単に立ち、
見下ろしているという不思議。

高速エレベーターで
また地下に降り、
アミューズメントパークのような
観光施設を楽しむことにする。


ユングフラウ鉄道の車窓より。
クライネ・シャイデック駅を
過ぎると
いきなり緑の景色から
モノトーンの景色に変わる。


トンネル内の駅
「アイガーヴァント駅」の
展望窓より。
この駅は
あの有名な
アイガー北壁に作られている。


スフィンクス展望台。
1996年完成。
氷河上から突き出た
ピナクル(岩の尖峰)の頂きに
今にも落ちそうな感じで
乗っている。
ここからさらに突き出た
屋外のテラスから撮影。


スフィンクス展望台の
テラスから見た
「メンヒ」。
メンヒとは修道士の意味。
見る角度によって表情を変える
不思議な山としても
知られているそうだ。


案内図を頼りに、
一通り回ったが、
氷河の高原「プラトー」と
氷河の洞窟「アイスパレス」に
時間をかけた。

山登りなので
ズック靴を
履いていたのだけれども、
雪や氷の上は
それでも危なっかしく、
転んで怪我でもしたら
みんなに迷惑をかけると思い、
慎重に慎重に。

アイスパレスは
2人の山岳ガイドが掘った
氷河の中の洞窟で、
1934年に完成。
総面積は1000平方メートルで、
内部には
自然の作り出した空間や
通り道があり、
順路には
手すりが設けられている。

神秘的な空間。
氷河の中を歩いているのだと
思うと、
緊張&感動。
ところどころに
氷の彫刻などが置いてある
アートギャラリーのような
場所もあった。

ユングフラウヨッホを満喫し、
お土産も買い、
11時10分
また赤いJBに乗って
山を降りる。

ハイジの声に見送られて、
クライネ・シャイデック駅で下車。

ここにはホテルや
レストランやショップがあり、
私達はここでランチ。
ランチのメニューは
アルペンマカロニ。
ペンネのような大き目のマカロニを
ミルクで和えたような感じ。

13時WABの出発まで時間があるので
ショップで買い物。

チロリアンテープを
自分のために購入。
本場のアルプスだからと考えたのだが
チロル地方というのは
同じアルプスでも
東部の方だということを後で知った。
無知露呈。

この買い物の間、
夫はひたすら写真撮影。
雪の残る斜面を
高山植物や鳥を追って
かなり下りていったらしい。


プラトー。
夏場でも雪が積もっている
広大な展望ポイント。
一面の銀世界と
雄大な景色が楽しめる
絶景の撮影スポット
ということだったfが、
お天気が怪しくなり、
ほとんど何も見えなかったが、
雪原を歩く体験は出来そう。
私は足元が不安だったので、
入り口から写真を撮るだけに
しておいた。


アルパイン・センセーションの
エントランス。
「エーデルワイス」の
ライトが素敵で、
いらっしゃいオーラ満載。
ビジュアルとサウンド、
イルミネーションを駆使した
アトラクション。
ユングフラウ鉄道の歴史を
体感できるとあったが、
今回は先を急ぐことにする。


ユングフラウ駅前。
売店や
レストランのエリアに
なぜか日本の赤い陶器のポスト。
日本で一番高いところにある
富士山五合目簡易郵便局と
姉妹提携しているからだそうだ。
もちろん現役。
ちなみに
標高2305mにある
富士山五合目簡易郵便局には
スイスの四角く黄色い郵便ポストが
置いてあるそうだ。


クライネ・シャイデックから
再び
ヴェルゲルン・アルプ鉄道で、
グリンデルワルト駅の1つ手前の
グルント駅まで降りていく。
下へ行くほど霧が晴れ、
再び
美しいアルプスの牧草地が
目の前に開けてくる。


グルント駅では
昨日からお世話になっているバスが
待ってくれていた。

13時40分
グルントを出発。
約230km離れた
スイス東部の
「ザンクトガレン」へ向かう。

標高700m。
スイスで最も高い場所にあり、
「ザンクトガレン州」の州都である。
7世紀に
アイルランド人修道士
「ガルス」が作った小屋から始まった。
学術都市として、
また繊維産業都市として
栄えたそうだ。

「ザンクトガレン大聖堂」を
見学した後、
街をそぞろ散策。

建物それぞれが
おもちゃのようにかわいくて、
建物も道路もきれいにしている。

古い建物だけでなく、
近代的な内装の
お洒落なお店もあり、
大通りには路面電車も走っている
近代都市でもある。

圧巻は
(私が思っただけかもしれないが)
道端にあった公衆トイレ。
無料の男女共同トイレで、
そのわりには、
ステンレスをふんだんに使った内外とも
きれいだったが、
その使用方法にビックリ仰天。

便器は
直径6〜70センチくらいの
ステンレスで出来たロート形。
便座はといえば、
取っ手が付いたそれらしきものが
頭の上にまで跳ね上がっていて、
取っ手を持って下げてから、
また跳ね上がらないように、
タイミング良く
お尻の下に敷かなければならない。
油断すると
大きなロートの中に落ちそう。
使用後の水は
大きなロートの中を
濁流のごとく渦巻いて消えて行った。
こわかった。


ザンクトガレン大聖堂。
旧市街の中心的存在。
8世紀には
学問の総本山として
中世ヨーロッパに
その名を轟かせていたという。
併設の修道院図書館は
世界最大級の
中世の図書館として有名。
この修道院と図書館は
世界遺産に登録されている。
今の建物は18世紀に建設された。


ザンクトガレン大聖堂の内部。
まばゆいばかりの
豪華絢爛バロック様式。


街の風景。
中央は
「聖ロレンツォ教会」の尖塔。


家の外壁に絵なんて、
珍しいこと。
それとも
よくあることなのだろうか?
日本では見たことのない
特徴ある出窓も。


18時20分
ザンクトガレンを出発。
ドイツに向かう。

途中「ボーデン湖」に沿って、
スイスからオーストリア、
オーストリアからドイツへと
2つの国境を越える。
検問のようなものが
あった気もするが、
バスに乗っている私達には
特に何もなし。

今回の旅行は
3ヶ国だが、
おまけにもう1ヶ国
足を踏み入れることが出来て、
なんだか感動。


ベルン以来の
ザンクトガレンのクマさん。
お洒落なショップに面した広場で
かわいいしぐさをしていた。


オーストリアのSAにて。
せっかくなので、
バスから降りて
オーストリアの地面も踏んでみた。


オーストリアのSAから
見た風景。
おそらくオーストリアの最西端。
向こうの近代的な建物は
ヨーロッパ随一の
羽毛精製会社、
「KAUFFMANN(カウフマン)社」。


スイスの3日間
お世話になったバス。
長距離&長時間。
山道&高速。
1人で頑張ってくれた
スキンヘッドでこわもてで大男の
ドライバーさんに感謝。
気の利いたお礼の言葉を言いたいのに、
「ダンケ」以外に
何も言えないなさけなさ。


ザンクトガレンから約200km。
ドイツの
「ガルミッシュパルテンキルヘン」の
ホテルに到着。
22時になっていた。

「GRAND HOTEL SONNENBICHL
(グランド・ホテル・ゾンネビッシェル)」
JTB評価DX、SP、STのSP。
7段階評価の上から3番目。
予定されていたホテルが取れず、
かなり不便な場所のホテルに
変更になったと聞いていた。
地理的に不便な分、
ホテルの格は
グレードアップしたようだ。

ホテルのレストランで
遅いディナー。
品数は多くはなかったが
(それなりの旅費だから)、
こぎれいで美味しく、
じゅんぶん満足。
レストランの豪華さにも満足。
さらに、
ウエイターさんの律儀さと
おもてなしのマナーにも満足。

ドイツの国民性って
日本人と通じるところがあると、
改めて思った。

ガルミッシュパルテンキルヘンは
人口3万人の小さな都市だが、
冬季オリンピックや
アルペンスキーの開催地として
世界的に有名だそうだ。。
さらに、
「リヒャルト・シュトラウス」が
晩年をすごしたことでも有名だそうだ。

ドイツにある
スイスのような街といわれ、
ホテルの周りには
山々と牧草地が広がっている。

素敵な街、
素敵なホテルだったが、
滞在時間が短くて、
全く味わうことが出来なかった。
残念。


ホテルの部屋の鍵。
立派。
重い。
中世の騎士かな?
埴輪のような・・・。


スイスのホテルより
さらに広くて、
大きなベッドが3台。
家具も立派で、
長期滞在用なのか
大きな洋服ダンスや
チェストまで置いてあった。
豪華だが
すべて新品ではなく、
扉の建てつけも悪いし、
床は歩くとギシギシ音がする。
古いものを大切に使っている
という気がして、
かえって新鮮な気がした。
ベッドメイキングに特徴あり。
ドイツ仕様らしい。


バスルームも広くて、
きれいで、
設備も万全。


朝ホテルのテラスにて。
内も外も素敵!
のひとこと。
ここでモーニングでも出来たら
きっと思い出に残ることだろう。


2014年6月の
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1日目 成田から出発。フランス着。
2日目 モン・サン・ミシェル。
3日目 パリ市内、ベルサイユ。
4日目 スイスへ。ベルン、グリンデルワルト。
5日目 ユングフラウ、ザンクトガレン。ドイツへ。
6日目 ホーエンシュバンガウ、ヴィース、ロマンチック街道、ディンケルスビュール。
7日目 ローテンブルク、ハイデルベルク。フランクフルト空港。
8日目 フランクフルト出発。羽田着。