なぜ男たちは愛する妻や恋人に暴力をふるうのか
      〜DV・モラハラ夫とはどんな男性か〜


1 アルコールのせいだ
加害者曰く「酒を飲んで酔っ払っていたからだ」。妻は「お酒さえやめてくれれば暴力もやめてくれるはず」と期待する。しかし、加害者はどんなに酔っていても外では暴力を振るわない。暴力を振るえる場所を選び、妻や恋人を支配コントロールするために意図的に家の中で暴力を振るっているのです。暴力を振るうのはアルコールのせいではなく彼がバタラーだからである。

2 ストレスがたまってるからだ
男性も女性も誰でもストレスがあります。ストレスがたまってるからといって、みんなが暴力を振るうわけではない。彼は女性や子どもに暴力を振るってよいという信念の持ち主だからである。

3 暴力を振るうのは妻や恋人のせいだ
「相手(妻や恋人)の態度が悪いからだ」「妻が俺を怒らせるから」「俺は能無しの妻を躾けてるんだ」「物事が上手く行かなかったのは妻のせいだ」と、女性に暴力を振るった責任を転嫁します。

4 彼が子どもの時に虐待されたからだ
暴力は連鎖するといわれていますが、子どものとき虐待されたり、両親のDVを見聞きして育っても、まったく暴力を振るわない人たちが大勢います。

5 自己表現がうまくできないからだ
家の中で暴力を振るう男性たちは、社会の中では適切に自己表現をし、問題を解決するため話し合うことができます。彼は他人が見聞きすることができない家の中で、自分にとって都合のいいようにするため暴力を選んでいるのです。家では非常に自己中心です。

6 病気だからだ
たとえば風邪を引いたとしたら、外では咳が出ないとか、熱が上がらないというようなことはできません。彼は暴力を振るえる場所(家の中)と人(妻や恋人)を選んでるのです。不健康なのは彼の「女性を虐待してもよい」という信念及び考え方です。

7 内ヅラと外ヅラを上手に使い分ける
外ではとても優しそう。強面でいかにも暴力を振るいそうな顔はしてない。社会的に地位があったり、立派な服装をしていたり、まじめな外観をしている。その外ヅラに騙され「あんな良い人が暴力を振るうはずがない」「悪いのは妻の方だ」と他人に思わせる。

8 「おれの女」「おれのモノ」意識をもつ
おれのモノである妻や子に何をしても俺の勝手だろうという信念の持ち主である。

9 固定的性別役割・ジェンダーに囚われている
「夫が外で働き食わせるから、妻は家を守り、夫の言うことを何でも聞くのは当然だ」
「男らしさ」「女らしさ」の思い込みであるジェンダーに囚われている。性別役割分業の強烈な支持者であり、女性を一段低く見ている女性差別者である。

10 暴力を全面否定する
1〜9を読んでも「この男、なんて酷い奴なんだ」と他人事としか思わない。自分はこんな暴力は振るわない。自分の暴力を否定する。

11 暴力を止めようとしない
暴力によって得られる利益を手放さない。


〔参考図書〕
『DV・虐待 加害者の実体を知る 〜あなた自身の人生を取り戻すためのガイド〜』
ランディ・バンクロフト著 高橋睦子 中島幸子〔訳〕山口のり子〔監訳〕(明石書店)
『平気でうそをつく人たち 〜虚偽と邪悪の心理学~』 M・スコット・ベック著 森英明〔訳〕(草思社)
『女性に対する暴力・国連人権委員会特別報告』
ラディカ・クマラスワミ著 クマラスワミ報告書研究会訳 (明石書店)
『グローバル化と女性への暴力〜市場から戦場まで〜』 松井やより著 (インパクト出版会)